フランチャイズ店とは?チェーン店や直営店の違いとあわせて解説
更新日:2023.10.2
投稿日:2022.9.8
飲食店やコンビニエンスストアなどでは、「フランチャイズ店」と呼ばれる店舗が多くありますが、具体的にはどのような店なのでしょうか。ここでは、フランチャイズ店の特徴や経営上の主なメリット・デメリットを解説します。
フランチャイズ店とあわせて、よく耳にするのがチェーン店(チェーンストア)です。ファミリーレストランや牛丼など飲食チェーンが馴染み深いかもしれませんが、その多くがフランチャイズ店の形態を採用しています。しかし、フランチャイズ店ばかりではありません。フランチャイズ以外でチェーン展開をする事業の種類も解説します。
店舗がチェーン展開することで得られるメリットとは何なのか、同じチェーン展開でも直営店とフランチャイズ店では何が違うのか、分かりやすく解説します。
目次
フランチャイズ店とは
フランチャイズ店とは、フランチャイズに加盟をした事業者が営む店舗のことです。
フランチャイズは、フランチャイザーと呼ばれる本部とフランチャイジーと呼ばれる加盟店が、フランチャイズ契約を結び、店舗展開が行われるビジネスモデルです。
フランチャイズ本部の役割
フランチャイズ契約では、本部は加盟店に自社の商標やサービス、経営のノウハウなどを提供し、加盟店はその対価として、本部に加盟金やロイヤリティを支払います。
本部は、集客や収益増加のための分析に基づき、販促活動や商品開発、運営マニュアルの作成や改善など、主に店舗運営の土台作りを行います。
フランチャイズ加盟店の役割
加盟店は本部のノウハウやアドバイスに従い、商品・サービスの販売などの店舗経営やスタッフの育成を行うなど、現場の業務に専念できます。
フランチャイズ店は本部から経営サポートを受けられますが、店舗の集客や運営すべてを委ねるわけではありません。
また、フランチャイズ店のオーナーは、現場の従業員にすべて任せて、何もしなくて良いわけではありません。売上・集客アップのために適切な経営努力をすることが求められます。
フランチャイズ本部と加盟店が業務を分担することで、短期間で経営の基盤が整いやすく、効率的な店舗運営が実現されやすくなります。
そのため、フランチャイズ店は店舗経営の初心者でも始めやすい事業形態と言えるでしょう。
フランチャイズ契約を結びビジネスを展開する場合、本部と加盟店は、それぞれに独立した事業者であり、ビジネスパートナーとなります。
フランチャイズ店の人気業種3選
私たちの身の回りには、多くのフランチャイズ店があふれています。その業種はさまざまですが、代表的な3業種について解説します。
小売業
小売業は、メーカーや卸売業から仕入れた商品を一般消費者に販売を行う業種です。
- スーパーマーケット
- 薬局
- チケットショップ
- 書店
- ブランド品買取店
などがあります。
フランチャイズ展開で代表的なコンビニエンスストアは、運営のノウハウがしっかりと確立されていることから、初心者でも比較的チャレンジしやすいと言えます。
小売業は、地域の顧客を対象とした店舗が多いため、地域に貢献したいという人に向いています。在庫の売れ行きなど人気の動向や、日々の売上の変動が目に見えわかることが、経営の醍醐味として挙げられます。
飲食業
飲食業は、ファミリーレストラン、カフェ、居酒屋、ファストフードなど、多くの店舗がフランチャイズ展開をしています。
昨今増えている総菜や弁当などのテイクアウトやデリバリー専門店なども飲食業に分類されます。
提供する商品(メニュー)がすでに確立されていることから、他店ですでに人気の味をそのまま提供できるメリットがあります。
「子どものときに家族で外食をするのが好きだった」「料理は食べるのも作るのも好きで、自分が調理したものを誰かに食べてもらって喜んでもらいたい」という人が向いています。
すでに飲食業界での就業経験がある人であれば参入しやすいでしょう。
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サービス業
サービス業では美容院、クリーニング店、スポーツジム、学習塾や幼児教室などの教育系のほか、福祉や介護関係の事業所など、幅広いジャンルの店舗や事業所がフランチャイズ展開をしています。
在庫を大量に抱えるリスクが少ないのがサービス業のメリットです。
小売業や飲食業のように形あるものではなく、サービスの提供やコミュニケーションをとおして、人に喜んでもらうことにやりがいを感じられる人に向いています。
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フランチャイズ店とチェーン店の違い
チェーン店とは、店舗の商品、デザイン、サービスなどを同一ブランドで統一し、多店舗展開している店舗のことです。
チェーン店は同一の経営方針に基づいて運営されていますが、チェーン店の運営形態には3パターンあります。
チェーン店の種類(フランチャイズ店・直営店・ボランタリーチェーン)
- フランチャイズ店
- レギュラーチェーンと呼ばれる直営店(子会社)
- ボランタリーチェーン
本部と加盟店がフランチャイズ契約を結んで展開しているフランチャイズ店は、その中の1つの形態です。
つまり、フランチャイズ店とは、フランチャイズ契約に基づいて展開している店舗のことであり、チェーン店とは、フランチャイズ店のほか、直営店やボランタリーチェーンなど異なる形態も含め、チェーン展開している店舗の総称です。
平成26年の商業統計調査によると、全国の小売業の事業所77万5196件のうち、チェーン組織に加盟しているのは6万5345件でした。そのうちフランチャイズ店が4万9860件、ボランタリーチェーンが1万5485件でした。
(参照:調査の結果|商業統計|経済産業省)
このチェーン店の数字には、直営店は含まれていませんが、ボランタリーチェーンよりもフランチャイズ店の店舗数がはるかに上回ることがわかります。
以下では、それぞれの特徴を説明します。
直営店(子会社、レギュラーチェーン)
直営店(子会社)は、レギュラーチェーンとも呼ばれ、本部と各店舗は単一資本で同一法人、または親会社と子会社という関係性をもちます。
店舗の人材確保や運営資金などすべて本部の管轄で行います。
したがって、本部の費用や業務の負担は大きくなることがデメリットである一方、店舗の収益がそのまま本部の収益になることがメリットです。
直営店(子会社)では、新商品を試験的に展開させるテストマーケティングや、効果的なキャンペーン・イベントの検証など、さまざまなテストを行い、成功のノウハウを蓄積していくことで、それを直営店だけでなくフランチャイズ店を展開する場合にも活かしていくことが多くあります。
店舗の人員は本部の人員でもあるため、経営方針の統一が図りやすく、安定感を求める人に向いています。
ボランタリーチェーン
ボランタリーチェーンは、独立した事業者同士が連携し、チェーン店として運営する形態です。
仕入れや物流、設備投資などを共同化することで、商品単価や輸送におけるコスト削減が期待できます。
ボランタリーチェーン事業者同士の横のつながりが強く、“本部のノウハウやマニュアルに沿って運営する”というフランチャイズほどの制約はありません。
スケールメリットを活かしながら、独自の運営方針に従って店舗運営を行います。
しかし、他の事業所とオペレーションを協業するため、完全に自由なわけでなく、また、各店を統制する本部機能がフランチャイズ店に比べると弱いと言えるでしょう。
店舗ごとの商品・サービスなどに差が生じないように配慮しなければなりません。
ボランタリーチェーンでの店舗展開は、チェーン店としての知名度がフランチャイズに比べると低く、集客や店舗運営に苦労することもあるため、経営手腕がある人が向いています。
関連記事:チェーン店の定義・種類・事例|フランチャイズとの違いも解説
フランチャイズ店と直営店(子会社)に共通する3つのメリット
チェーン店の形態には、フランチャイズ店、直営店(子会社)、ボランタリーチェーンなどがありますが、フランチャイズ店と直営店(子会社)は、どちらも本部の方針に基づいて運営されます。
チェーン店となることでどのようなメリットがあるのでしょうか。フランチャイズ店と直営店に共通するメリットを解説します。
仕入れ・物流コストの削減が期待できる
通常、チェーン展開して店舗が増えることで、商品の仕入れも増加します。
大量の商品を本部が一括仕入れをすることにより、仕入れ単価当たりのコスト削減が期待できるのです。配送においても同様に 大量の商品を本部が一括発注することで物流コストの削減につながります。
ボランタリーチェーンでも、こういったコスト削減は可能ですが、直営店・フランチャイズ店に関しては、本部の独自のノウハウや流通網が確立されている点が、最大の特徴です。
物流コストの削減に効果的なのは、特定の地域に複数店舗を展開する「ドミナント戦略」です。
店舗同士の距離が近いことから、商品の配送を効率的に行えることがメリットで、コンビニエンスストアなどでよく見られます。
本部のブランド力や知名度を活用して開業できる
本部のブランド力や知名度を活かした店舗展開が可能です。一定の周知や顧客の信頼が得られている中で事業をスタートするため、安定した集客が期待できます。
これは「テレビCMなどでブランドのことを見かけたことがあり、すでに馴染みがある」「過去に同じブランドの他店に訪れたことがあり、商品・サービスの良さを知っている」などの理由が挙げられます。
また、集客面だけでなく人材採用の際も、ブランド力や知名度を活かして、良い人材を確保しやすくなります。
人材募集をする際、「知名度のあるお店で安心して働きたい」「サービスの行き届いたお店で就業経験を積みたい」といった候補者へアピールや訴求しやすい点がメリットです。
本部のノウハウやマニュアルを利用できる
本部で確立されている販売促進のノウハウや運営マニュアルを、フランチャイズ店や直営店では日々の業務に活かせます。
商品やサービスの開発なども本部が行うため、店舗のオーナーは、現場の業務に専念できます。
本部のマニュアルやノウハウが、成功事例に基づいてしっかりと分析された良質なものであれば、チェーン店の経営が成功する確率も高くなるでしょう。
関連記事:フランチャイズのメリット・デメリット│FC業界のプロが解説
直営店(子会社)にはないフランチャイズ店の特徴
フランチャイズ店と直営店(子会社)は、チェーン展開により仕入れにかかるコストや物流コストの削減、本部のブランド力の活用、本部のノウハウやマニュアルの活用ができるなど、共通のメリットが多くありますが、両者の異なる点はどのようなことでしょうか。
フランチャイズ店では、本部と加盟店の業務が明確に分かれていることで、互いの業務に専念しながらスピーディな店舗展開ができます。また、店舗が本部に払うロイヤリティがあることは大きな特徴です。
以下では、直営店にはないフランチャイズ店ならではのメリット・デメリットを紹介しながら、解説します。
フランチャイズ店ならではのメリット
直営店(子会社)にはないフランチャイズ店ならではのメリットは、本部と加盟店の分業により、迅速な事業展開ができることです。以下で詳しく解説します。
本部と店舗で業務を分業し、初心者でも迅速な事業展開ができる
フランチャイズ展開では、本部と加盟店の業務は異なります。
本部は商品開発や運営マニュアルの整備など、主に店舗運営の土台作りを行います。そのため、加盟店は取引先の開拓や販促活動などに頭を悩ませることなく、店舗経営やスタッフの教育など、現場の業務に専念できるのです。
このように、本部と加盟店が業務を分担することで、短期間で経営の基盤が整いやすく、効率的な店舗展開が実現します。そのため、フランチャイズは店舗経営の初心者でもチャレンジしやすい事業形態と言えるでしょう。
フランチャイズ店ならではのデメリット
直営店(子会社)にはないフランチャイズ店ならではのデメリットは、ロイヤリティの支払い義務があること、そして経営の自由度が低いことなどです。以下で詳しく解説します。
本部にロイヤリティを支払わなければならない
フランチャイズ契約では、契約で決められたロイヤリティを本部に支払うことになります。
本部ブランドの活用や、経営ノウハウを得るための対価とも言えますが、額によっては大きな負担となる場合もあります。無理のない額であるか、契約時に条件をよく検討することが大切です。
ロイヤリティの相場としては、飲食業が売上の3~10%、コンビニエンスストアは30~60%、学習塾などは10~30%ほどと言われています。
詳細は本部や業界によって異なるため、業界相場は必ず確認し、合わせて提供されるパッケージ内容になにが含まれるのか、追加で本部から購入する商品などで高額な支払いはないか、詳細を入念に確認しましょう。
マニュアルがあるため、自由な運営はできない
フランチャイズ店は、基本的に本部の運営マニュアルに沿って運営をしなければなりません。
そのため、独自のサービスや商品を提供するなど、オリジナリティのある店舗経営をしたい人にとっては、自由度が低いことがデメリットとなります。
マニュアルに従いながら、できる範囲でオリジナリティを出す工夫が大切です。
まとめ
チェーン店やフランチャイズ店とはなにか、その特徴と主なメリット、デメリットについて解説しました。
私たちの身近でも、幅広い業種のフランチャイズ店があふれていることから、そのメリットの大きさに着目する人が多いことが分かります。
フランチャイズ店は特徴を正しく理解し、メリットを上手く活かして経営することで、初心者でも比較的チャレンジしやすい事業形態と言えるでしょう。
フランチャイズ店のことをもっと学びたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。 フランチャイズはやめたほうがいいは本当?失敗する人の3つの特徴 これから伸びるフランチャイズ7業種!将来性があるおすすめの分野は? |
著者情報
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