たこ焼き屋(店舗・屋台・移動販売)の開業方法│資格・費用・成功のコツは?
更新日:2023.10.2
投稿日:2022.9.5
たこ焼きは、老若男女問わず人気の高い食べ物です。常連のお客様がつきやすく、安定した集客が見込めることから、たこ焼き屋の開業を検討する方も少なくありません。
たこ焼き屋は工夫次第で初期費用を抑えられ、原価率も低いことが特徴です。飲食業界の中でも、未経験の方でも参入しやすい業態です。この記事では、なぜたこ焼き屋を開業すべきか、開業資金はどのくらい必要で必要な準備は何かをわかりやすく解説します。
目次
たこ焼き屋を開業する3つの営業形態
たこ焼き屋を開業するには、以下3つの営業形態があります。
- 実店舗
- 屋台
- 移動販売
それぞれの特徴とメリット・デメリットを紹介します。どの方法が自分のスタイルに合っているか考えてみましょう。
実店舗(テナント)
実店舗(テナント)とは、固定の店舗を構えた、たこ焼き屋のことです。
街中やショッピングモールなどに出店しているたこ焼き屋を見かけたこと、もしくは利用した経験があるのではないでしょうか。
テイクアウトによる販売だけでなく、購入した商品をイートイン(店内)で食べられる店舗もあります。
実店舗のメリット
実店舗での出店のメリットは、固定顧客が付きやすくなることです。初期費用が高額にはなりますが、固定顧客がつけば安定した売上を得られます。
また、移動販売のように移動しないので、屋台の組み立てや材料を車に移動するなどの手間がありません。材料の仕込みや店内の清掃など、開店準備や閉店作業がシンプルで手軽にできるものばかりです。
実店舗のデメリット
デメリットは、集客できるか否かが立地に左右されることです。公共交通機関の利用者が多い駅前や、買い物・観光客で賑わう通りなど、集客が見込める物件選びが業績を左右します。
屋台(テイクアウト専門)
屋台は、地域のお祭りや花火大会や音楽イベント、縁日などに出店している、たこ焼き屋です。屋台では、焼きそばやホットドッグ、焼きとうもろこしなどが定番ですが、たこ焼きも高い人気を誇っています。
屋台のメリット
屋台での出店のメリットは、規模にもよりますが実店舗より100万円~200万円ほど初期費用を抑えられることです。
また家賃もかからないためランニングコストも抑えられます。ただし、出店料やガス代・材料費がかかります。出店料は1日3000円~1万円、もしくは売上の15~40パーセント程度が相場です。
イベントによっては、それ以上かかることもあります。
屋台はイベントごとに店舗を移動できるので、人が多く集まる場所に出店できます。一定期間で効率的に営業できるのは、屋台ならではの特徴です。
お客様にたこ焼きを作っているところを見せられるため、臨場感が演出でき集客に有利に働きます。
長期間出店であれば設営はそのままにしておいてよいことも多く、イベント期間が終わるまでは開店・閉店作業も手間がかかりません。
屋台のデメリット
一方、出店するイベントによって集客数が変動するため、一定の販売数を安定させることが難しい点も、デメリットとして挙げられます。
また短期間の出店だと「開店準備に時間がかかる」「風にあおられやすい」「夏場の衛生面の管理が難しい」などのデメリットもあります。
移動販売(キッチンカー)
たこ焼き屋の中でも、一番自由度が高い営業形態が移動販売です。食品の調理設備を備えたキッチンカーで各地を移動しながら、たこ焼きの調理・販売をします。キッチンカーは、フードトラックと呼ばれることもあります。
移動販売のメリット
移動販売は、出店場所を好きなように変えられるのが最大のメリットです。人が多く集まる駅前や商業施設・スーパーの軒先などに出店できます。
定休日がないため、実店舗に比べ休みを取りやすいため、自分のペースで飲食店経営をしたい方に向いています。
移動販売のデメリット
一方、移動販売では「実店舗に比べ保健所の許可が下りにくい」「移動するので固定顧客がつきにくい」などのデメリットがあります。
とくに出店場所を見極めた上で、事前に出店の告知をSNSでしたり、出店した際に購入してもらいやすい工夫をするなどの対策が必須です。
たこ焼き屋を開業する3つのメリット
たこ焼き屋を開業するメリットを3つに絞って解説します。
- 顧客ターゲットが幅広く集客しやすい
- 飲食業の中では開業資金を抑えやすい
- 開業可能な立地条件が幅広い
これらのメリットのおかげで、たこ焼き屋は飲食店経営が未経験でも参入しやすい業態と言われています。詳しく見ていきましょう。
顧客ターゲットが幅広く集客しやすい
たこ焼きは老若男女問わず人気で、顧客ターゲットが幅広く集客しやすいことがメリットの一つです。
また、食事やおやつ、お酒のおつまみとしても食べられ、持ち帰りもできるのでどんなシチュエーションにも対応できます。
古い調査結果にはなりますが、たこ焼き店の市場調査では、「積極的に利用したい」「まあ利用したい」を合わせた積極的利用意向が、男性52%、女性62%と利用意向の高さが伺えます。
とくに20~30代からの支持が高く、60代を除くすべての年代・性別で、80%を超える人が、たこ焼き屋の利用に対して否定的な意向を持っていないことが特徴です。
飲食業の中では開業資金を抑えやすい
たこ焼き屋開業には、設備投資が他の飲食業に比べて少なく済みます。
カフェやレストランなどでは、キッチン周りの内装・設備工事から、鍋やフライパン、什器などの準備まで、さまざまなものが必要です。こだわれば数百万円から1000万円がかかります。
たこ焼き屋の開業に必要なものは、焼台、たこ焼き機、冷蔵庫などです。すべて用意をしても、数十万円~数百万円ほどの開業資金で済みます。
たこ焼き機にはガス式、電気式や銅板、鉄板など種類がありますが、数十万円でそろえることができるでしょう。こちらも中古のものを利用すれば初期費用を抑えることが可能です。
開業可能な立地条件が幅広い
たこ焼き屋はイートインで飲食できる店舗もありますが、テイクアウトによる販売が一般的です。
テーブル席や椅子は設けず、小さい規模の店舗で開業が可能です。最低でも1.5~2坪以上あれば営業できるため、立地を選ぶときにも選択肢が広がり、より選びやすいメリットがあります。
移動販売では郊外のショッピングセンターのテナントスペースや商店街、イベントや祭りなど、人が集まりやすいさまざまな場所に出店できます。
人件費を抑えやすい
たこ焼き屋は、調理・販売の手間が少ないことや小規模店舗でテイクアウトがメインなので、一人でお店を運営することも可能です。
最初は一人で営業を始めて、利益が出てきたらスタッフを採用する方法がとれます。
アルバイトやパートスタッフを雇用しても少人数で営業ができるため、ホール・調理それぞれのスタッフを要する居酒屋やレストランに比べると、人件費を抑えやすい傾向にあります。
たこ焼き屋を開業した場合の売上目安
たこ焼き屋を一人で運営するのであれば、月の売上は70万~80万円が目安です。50万円を切ってしまうとランニングコストの負担が大きくなり、経営が立ち行かなくなるリスクがあります。
たこ焼きの単価や固定費などは地域によっても差がありますが、一般的にたこ焼きは1パック10個入りで500円程度です。固定費には家賃、光熱費、材料費、梱包材などがあります。
たこ焼きの一般的な原価率は30%前後です。1パック500円で提供するならば、原価150円程度が目安です。
たこ焼き屋の開業に必要な資金
開業にあたりどのくらいの資金が必要なのか、たこ焼き屋の業態別に説明します。
実店舗(テナント)
たこ焼き屋の開業で、一番初期費用がかかるのが実店舗で開業する方法です。物件契約金や内装工事費、物件の補償費、厨房設備費などがかかります。
物件契約金の相場は家賃の半年分から10か月分です。内装・外装の改装費の相場は1坪につき20~40万円ですが、居抜き物件を利用すると費用を抑えられます。
開業資金の金額も場所や規模によって異なりますが、一般的には数百万円~500万円程度です。厨房設備費としては、焼台、鉄板、冷蔵庫の購入が必要です。
こちらは新品でそろえると200万程度かかりますが、中古を利用すれば資金を抑えられます。
屋台(テイクアウト専門)
屋台の場合には、物件契約費や内装がかからないので開業資金を抑えられます。
この3つの営業形態の中で、もっとも初期費用を抑えられるのが屋台での開業です。100万~200万円程度で開業が可能です。
具体的には先述した出店料・ガス代のほか、テントやテントの内幕、ガス(プロパンガス)、給水タンク、テーブル(折りたたみテーブル)、焼き台などの調達費用がかかります。
移動販売(キッチンカー)
移動販売は、実店舗を持つより初期費用を抑えられます。車両費と厨房設備費がかかり、一般的には300万円程度と言われています。
関連記事:キッチンカーの開業!儲かるメニュー・出店場所は?移動販売で儲けるコツ
たこ焼き屋の開業に必要な資格
たこ焼き屋の開業には特別な資格はいりませんが、他の飲食店同様に「飲食店営業許可」と「食品衛生責任者」の2つが必要です。それぞれ説明します。
飲食店営業許可
飲食店営業許可とは、店舗のある地域を管轄する保健所に申請し、審査に合格するともらえる許可です。手順は次のとおりです。
- 着工前に店の図面を持参し相談
- 店舗の完成予定日の10日前に申請する
- 保健所職員による店舗の確認調査
- 営業許可交付
- 営業開始
飲食店営業許可は更新が必要です。取得できても永久的に許可が下りているわけではないので注意しましょう。
食品衛生責任者
飲食店や販売店には、営業許可施設ごとに1名食品衛生責任者が必要です。食品衛生責任者の資格を取るための講習が各地域や都道府県で行われており、1日の講習を受けることで取得できます。
費用はおよそ1万円です。栄養士や調理師の免許を持っている場合は、この講習を受ける必要はありません。
たこ焼き屋の開業を成功させる5つのコツ
たこ焼き屋を開業するためには、注意することがいくつかあります。ここではたこ焼き屋開業を成功させるためのコツを5つ解説します。
店舗の場所は重要!物件選びは慎重に
飲食店の成功を左右する重要なポイントは立地です。
人が集まる場所に出店することが必須です。駅周辺やショッピングモールのそば、観光地の近く、幹線道路沿い、商店街などが候補地として考えられます。
これらの場所にお店を構えれば、おやつやお土産として、たこ焼きを購入してもらいやすくなるでしょう。
住宅地では、道路沿いで人目につきやすい場所を選ぶことで、顧客が散歩や学校・仕事帰りに購入しやすくなります。
余裕があるほど安心!資金の準備と資金計画
たこ焼き屋の経営が傾く最大の理由は、収入と支出の予測を立てた資金計画の綿密さが足りないことです。
- たこ焼きをいくらで提供するのか
- 1日・1ヶ月でどのくらいの売上が見込めるのか
- 固定費や人件費、材料費がどのくらいかかるのか
など開業後の収益の予測はもちろん、運転資金についても計画する必要があります。
特に個人経営では、開業当時は経営が安定しにくいので、少なくとも数か月から半年分の運転資金をあらかじめ用意しておくことが重要です。
競合が多いからこそ、オリジナルメニューが重要
たこ焼き屋は、全国で数百店舗を展開するフランチャイズ企業から個人店まで、競合が多い業種です。
他のお店と同じでは顧客の定着は見込めません。「ここでしか味わえないたこ焼き」を持つことを目指しましょう。
まずは、出店を予定している地域の他店舗では、どんなたこ焼きを提供しているのか、どういったメニューが人気なのかを調査することを推奨します。
集めた情報をヒントに、顧客層に受け入れられそうな、自店独自のメニューを考えていきます。
たとえば
- 観光地であれば「ご当地の食材や調味料を取り入れる」
- 人気レストラン・居酒屋が集まる地域なら「トリュフ塩やポルチーニ茸ソースなどソースにこだわる」
- 若者が多くたこ焼きにエンタメ性を加えるなら「チーズフォンデュ風やアヒージョ風など食べ方を工夫する」
などが挙げられます。
出店する場所や集客が見込める顧客層の特性にあわせて、もっとも受け入れられるメニューを考案し、看板メニューとして売り出します。
オリジナリティや体験を充実させて、集客の工夫をする
たこ焼き屋を開業したら、お客様に店の存在を認知してもらわなければなりません。
従来の集客はチラシを配ることがメインの方法ですが、なるべくコストを抑えつつ拡散もできるようにSNSやホームページも活用しましょう。
最近では、たこ焼き屋を焼く様子をSNSに投稿し続けて、話題を呼んでいるたこ焼き屋もあります。
オリジナリティを追求するのであれば、「たこ焼き屋を焼く、独自のパフォーマンスがある」「看板となる犬や猫を飼う、看板に日替わりでメッセージを書くなど、他店にはない集客をする」といった金額や味以外の「体験」を充実させることも良い口コミに繋がるかもしれません。
また、効率よく出店場所を探せるツールとして、キッチンカーと出店場所をマッチングするサービスがあります。
これはスペースを貸したい人と出店者をつなぐ、移動販売プラットフォームです。
「キッチンカー マッチングサイト」「フードトラック マッチングサービス」などのキーワードを検索エンジンに入れると、該当するサービスが表示されるので、調査してみましょう。
関連記事:SNS集客7つのコツと成功事例!口コミを生み出すポイントも解説
単価が安いからこそ回転率を上げる
たこ焼きには適正価格があります。一般的には1パック500円程度です。顧客単価が安いので回転率をあげることを心がけましょう。
実店舗の営業形態であれば、イートインスペースを置かず、テイクアウト販売のみに絞ることも一つの手です。回転率を上げるためには、キャッシュレス決済の導入などを検討しても良いかもしれません。
また回転率以外にもたこ焼きの個数を4個、6個、8個などバリエーションを持たせて、数が多くて買えないといった女性客も逃さないようにできます。
トッピングのバリエーションを豊富にすれば単価をあげることも可能です。実店舗を持っている場合にも、祭事やイベントに出店するなどの工夫も考えられます。
たこ焼き屋の開業はフランチャイズも選択肢の一つ
たこ焼き屋には個人で経営する以外にもフランチャイズに加盟して経営する方法があります。
どちらにもメリット・デメリットがあり、個人の状況によってどちらを選んだらいいか異なります。ここではフランチャイズ経営と個人経営それぞれのメリット・デメリットを解説します。
フランチャイズ経営のメリット・デメリット
フランチャイズ経営のメリットは、本部のブランド力があるので安定した経営ができ失敗しにくい点、飲食店の経験がない初心者の方でも参入しやすい点です。
デメリットの1つは、加盟金やロイヤリティがかかることです。加盟金の目安は100万円ほど、ロイヤリティは固定額もしくは売上の数パーセントを支払わなければなりません。
開業当初にまとまった資金を準備しなければならないため、負担が大きくなります。
また、ロイヤリティは、売上の3~5%程度を支払うことで、毎月の利益が低くなります。できる限り利益を残したい経営者にとってはデメリットです。
しかし、フランチャイズによっては、加盟金・ロイヤリティがかからない本部も一部あります。各本文の支援内容や売上シミュレーションを確認して、希望条件に適した本部を比較検討しましょう。
もう1つのデメリットは、サービス内容や時間を自由に決められないことです。本部の方針があり時間やサービス内容は細かく決まっている場合が多いでしょう。自分のスタイルに合う本部を選びましょう。
関連記事:フランチャイズのメリット・デメリット│FC業界のプロが解説
個人経営のメリット・デメリット
個人経営のメリットは、サービス内容や運営時間など自分のこだわりを活かせることです。たこ焼きの個数やトッピングの種類などに決まりがないので自由にカスタマイズできます。
またフランチャイズ加盟で発生する加盟金やロイヤリティなどがないため、収益がそのまま経営者の利益になることです。開業資金を抑えることができ、毎月の利益も最大限残せます。
デメリットは、開業後、経営が安定するまでに時間がかかること、経営ノウハウを自分で獲得する必要があることです。
フランチャイズはすでに成功している経営ノウハウを教えてもらうことができますが、個人経営の場合、自分で勉強しなければなりません。
経営の勉強にもある程度の金額や時間の投資が必要かもしれません。
まとめ
飲食店の中では初期投資が少なく初心者も参入しやすいたこ焼き屋について解説しました。
まずはどんなメニューやサービスを提供したいのか、そのサービスを提供するには店舗を持つのか移動販売にするのか形態を考えてみましょう。
経営が不安ならば、フランチャイズ加盟を検討してみても良いかもしれません。自分に合った開業を目指しましょう。
飲食店の開業をもっと学びたい方は、こちらの記事もお役立てください! 居酒屋の開業方法│仕入れから資金・集客・成功ポイントまでを徹底解説 ラーメン屋を開業するために必要な準備|資金・資格・繫盛店づくりのコツ |
著者情報
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