バー開業に必要な資格・資金から経営のコツまで開業準備を徹底解説
更新日:2023.10.5
投稿日:2022.10.11
落ち着いた雰囲気の中で好みのお酒を楽しめるバーは、居酒屋にはない居心地の良さがあります。バーテンダーとの会話も心地よく、「自分だけの一杯」を探し出す楽しみは、ほかの飲食店では味わえない醍醐味です。
バーを開業すれば、お酒の魅力を多くの人に伝えながら、酒をとおしてお客さんとのコミュニケーションを楽しめます。大好きなお酒で人に喜びを与えられることから、バーに憧れ、「自分の店を持ちたい!」と考える人も多いでしょう。また、バーテンダーならではのカッコ良さに惹かれて、開業を目指すかもしれません。
しかし開業には多くの資金とノウハウが必要です。いつまでにどんな準備をすべきか認識し、入念に準備を行わなければ、
・資金を集められない
・開業しても客が集まらない
・開業までの空家賃や人件費が膨らむ
などの問題が起こります。とくにコロナ禍では平時以上の慎重さが要されることから、正確な開業準備が求められます。バーは軌道に乗れば、利益率も高いため成功しやすい事業だからこそ、最初が肝心です。
そこで、本稿ではバーの開業で知るべきことを一つひとつ説明し、確実な開業をサポートします。バーの業態の選定方法から、必要な資格の取得、資金の調達方法、立地の選び方などを紹介します。
これを読めば、行動の全体像を意識しながら、効率よく準備を進めらるでしょう。
目次
バーの開業手順・7ステップ
バーの開業には資金の準備や物件の選定だけでなく、資格の取得や備品の購入などさまざまなことを手際良く行わなければなりません。
途中で挫折しないよう、手順をしっかり理解しながら、効率よく準備を進めましょう。
開業準備は以下の順序で進めるのがおすすめです。
- 自分にあった業態の選定
- 開業に必要な資格取得
- 開業許可の取得方法を確認
- 開業に必要な資金の内訳と効果的な調達方法を確認
- 物件の選定
- 内装工事
- 必要な備品や導入すべきサービスを検討
①から順に説明します。
開業前に知っておきたいバーの種類
バーといっても、じつは5つ以上の業態があり、それぞれに特徴があります。
- オーセンティックバー
- ショットバー
- スタンディングバー
- ダイニングバー
- ミュージックバー・ダーツバーなど
どのような店を開きたいかにより、物件の探し方や内装工事の方法が変わります。準備を始める前に、開業したいバーの業態を明確にし、店のコンセプトを具体化します。
オーセンティックバー
プロのバーテンダーを有し、お酒と静かな雰囲気を楽しむ本格的なバーです。接待は行わず、カラオケや遊具の配置も行いません。日本オーセンティックバー連盟によると、オーセンティックバーは
異性による接待を伴う遊興施設としてのバーとは一線を画した、レストラン、居酒屋等と同類の営業許可証を持つ飲食店
引用:オーセンティックバーの定義について|日本オーセンティックバー連盟
と定義づけられています。
ショットバー
「ボトルキープではなく、グラス1杯単位(1ショット)でお酒を売るバー」の総称です。
しかし、現在はほとんどのバーが1杯単位の値段を設定しており、この定義に当てはまります。「気軽さ」や「カジュアルさ」を前面に出したバーの総称だと認識するとよいでしょう。
スタンディングバー
立ち飲みで、気軽にふらっと立ち寄れるバーです。飲み放題無制限2,500円~など、比較的低料金で楽しめる店が多いのが特徴です。
もちろん、1杯だけふらっと飲みに立ち寄ることもできます。その入りやすさから、会話や社交を楽しむ場としても使われます。
ダイニングバー
揚げ物や炒め物など、食事メニューが充実しているバーです。一般の居酒屋やレストランのように利用できます。「お酒を飲むついでに食事も・・・」という用途に対応します。
ミュージックバー・ダーツバーなど
付加価値を売りにするバーです。音楽の演奏やダーツ、ビリヤード、マジックショー、シューティングゲーム、スポーツ観戦など、さまざまな業態があります。
バー開業に必要な資格と申請書類
バー開業に必要な資格は、店が入る建物の規模で変わります。
収容人数が30人未満の建物に出店する場合は1つ、30人以上の場合は2つの資格が必要です。物件が決まっていない場合、2つ必要だと認識しておくとよいでしょう。
有資格者を引き連れ開業することもできますが、自ら取得しても大きな手間はかかりません。いずれも1〜2日の講習で取得できます。
開業の申請書類を出すときに資格の証明が必要なため、円滑に準備を進められるよう、あらかじめ取得しておくことをおすすめします。
ここでは資格の詳細を説明します。また、開業前の書類手続きを素早く行えるよう、申請場所ごとに書類を分類してご案内します。
バー開業に必要な資格はこれだけ!
バー開業に最低限必要な資格は、「食品衛生責任者」です。
店が入る建物全体の収容人数が30人を超える場合、これに「防火管理者」の資格が加わります。いずれも店舗経営に必要な資格で、各店舗に1人配置しなければなりません。
食品衛生責任者
食品衛生法(※2)により、各店舗に1人「食品衛生責任者」の配置が義務づけられています。
都道府県ごとに講習会を実施しており、1日の講習で修了できます。場所によっては会場で講座を受けるだけでなく、オンラインで取得できる場合もあります。
なお、次の資格保有者は、既に資格要件を満たしているため、受講の必要がありません。
- 栄養士
- 調理師
- 製菓衛生師
- 食鳥処理衛生管理者
- 畜場法で規定する衛生管理責任者・作業衛生責任者
- 畜場法で規定する衛生管理責任者・作業衛生責任者
- 船舶料理士
- 食品衛生管理者
参照:食品衛生法施行規則別表第17「一般的な衛生管理に関すること」|東京都福祉保健局
防火管理者
店が入る建物全体の収容人数が30人以上(従業員も含む)の場合に必要です。
消防計画を作成し、防火管理業務を計画的に行います。建物全体の延床面積が300㎡以上の場合は「甲種」、300㎡未満は「甲種」または「乙種」の資格を取得します。
日本防火・防災協会のwebページなどから申し込みを行い、近隣で主催される講座を申し込みます。地域によってはオンラインで受講できる場合もあります。
甲種は2日、乙種は1日で修了します。どこで受講しても、修了資格は全国で有効です。
建物全体の収容人数が30人未満の場合は不要です。
調理師免許は必須でない
バーに限らず、飲食店の開業に調理師免許は不要です。ただし、調理師免許は「食のエキスパート」を証明する資格です。
バーテンダーとして仕事の幅を広げ、よりよいサービスを提供するために、取得を検討するのも良いでしょう。2年以上調理業務に携わっていれば、受験資格を得られます。
バーテンダーの資格は協会が設置
「バーテンダー」を名乗るための資格は存在しません。バーテンダーには深い知識が要されますが、資格は不要です。
ただし、日本バーテンダー協会(N.B.A.)がバーテンダーとして働いている人を対象に、「バーテンダー呼称技能認定試験」を主催しています。
試験に合格すれば「バーテンダー」を「資格」として提示でき、店を訪れる人に安心感を与えられます。
以下のように、さまざまお酒に関する資格・検定があります。
一般社団法人日本ホテルバーメンズ協会(HBA)主催
- HBAカクテルアドバイザー
- HBAビバレッジアドバイザー
- HBAバーテンダー(ジュニア)
ビア&スピリッツアドバイザー協会(BSA)主催
- スピリッツアドバイザー
- ビア・アドバイザー
開業許可はどこで取る?提出場所ごとに書類を理解しよう
物件の選定が終わり次第、余裕を持って書類を提出できるよう、必要書類と申請場所を認識しておきましょう。
保健所に提出する書類
営業開始の10日前までに、飲食店営業許可を取りに行きます。申請には食品衛生責任者の資格が必要なため、必ず資格取得を先に行います。申請書類の提出後、店に検査が入ります。
警察署に提出する書類
管轄の警察署には物件を選定する段階で相談に行くことをおすすめします。住居専用地域など、場所によりバーの営業自体ができない地域があるためです。
物件を獲得したら営業開始の10日前までに、「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」を提出します。
なお、バーの形態が「接待」や「遊興」を伴う場合、「風俗営業許可」も取得しなければなりません。その場合、営業開始の2ヶ月前までに申請を行います。
消防署に提出する書類
建物全体の収容人数が30人未満の店の場合は以下a、bの2種類、30人以上の場合はa~dの4種類の書類を提出します。
a)防火対象物使用開始届出書・防火対象物工事等計画届出書
消防用設備の設置状況を確認する書類です。営業開始の7日前までに提出します。開業にあたり工事を入れる場合、工事開始の7日前までに「防火対象物工事等計画届出書」も必要です。
b)消防用設備設置届出書
消火設備や警報設備、避難設備、消火活動用設備を適切に設置していることを確認する書類です。提出後、店で検査が行われ、検査済証が交付されます。
c)防火管理者専任届出書
建物全体の収容人数が30人以上の場合必要です。営業開始までに届出を行います。30人未満の場合は不要です。
d)消防計画
防火管理者が作成すべき書類です。建物全体の収容人数が30人以上の場合に必要です。火災予防の取り組みや、火災発生時の対処法をまとめます。
バーの開業資金と効果的な調達方法
バーは雰囲気を大切にするため、物件や内装にこだわりたいと考える人も多いでしょう。必要な金額をしっかりと理解し、抑えられるところは抑えることが、経営を円滑に進めるポイントです。
バー開業に必要な資金の目安と、効果的な調達方法を説明します。
開業に必要な資金の内訳
バーの開業時に一番に考えなければならないのは、敷金(保証金)の大きさです。一般の住宅と同様には考えられません。
いくつかの不動産情報サイトを調査すると、首都圏のバーの敷金(保証金)は賃料の6ヶ月分に設定されていることが最も多いことがわかりました。
高いところでは10~12ヶ月分、平均しておよそ6.8ヶ月分と高額です。中には「200万円」など具体的な金額で指定している物件もあるため、どのような物件で開業をしたいかにより敷金は大きく変わるでしょう。
これは原状回復にお金がかかることや、賃料未払いリスクを避けるためと考えられます。このような特徴を理解し、かかるお金を算定します。
バーの家賃相場は55万円
東京都の居抜き物件の家賃を複数の不動産情報サイトで調査すると、中央値はおよそ55万円で、広さや場所によって金額は変わります。10坪前後の広さだと、15万円〜35万円程度が相場です。
バーの敷金(保証金)は6ヵ月分が目安
敷金は、賃料の6ヶ月分が目安です。高いところでは10~12ヶ月分に設定されています。仮に賃料を20万円、敷金を賃料の6ヶ月分とすると、120万円かかります。
そのほか物件取得にかかる費用
物件の契約からオープンまでには準備期間があるため、空家賃が発生します。家賃を20万円で空家賃期間を2ヶ月とすると、40万円が必要です。
また、敷金(保証金)のほかに礼金がかかることもあります。礼金は一般に賃料の2ヶ月分までです。
さらに、不動産事業者への仲介手数料もかかります。こちらは一般に家賃1ヶ月分です。
内外装費
物件を取得したら、あなたが思い描く内外装に工事しなければなりません。工事にかかる費用は以下のとおりです。
- 内装設計、施工費
- 看板施工費
- 厨房などの機器調達、設置費用
- レジや備品などの費用
- 店舗のクリーニング費用
一般にスケルトン物件(店舗の内装設備がなにもない状態の物件)での1坪あたりの工事費の目安は30万円〜60万円ほどです。
1坪あたり1.5〜2席で考えると、20人を入れるには10坪以上必要です。その場合、300万円〜600万円が目安です。
設備や備品がそのままの「居抜き物件」を借りれば、内外装にかけるお金を削減できます。
ただし、そのぶん「造作費」がかかります。造作費の詳細は「状態によっては居抜き物件もおすすめ」で説明します。
物件取得費用合計
ここまでの費用を合計すると以下のとおりです。モデルケースとしてご覧ください。
オープンまでの空家賃(40万円)+敷金(120万円)+礼金(40万円)+仲介手数料(20万円)+内外装費(300万)=合計520万円
物件取得だけでこれだけの金額がかかります。このほか設備・備品の購入や開業後の運転資金の準備なども考えると、資金計画を入念に立てる重要性が感じられるでしょう。
効果的な資金調達方法は、「融資を受けやすい条件」で説明します。
開業後の運転資金があれば安心
開業後にすぐにお店を黒字化できるのは稀です。ある程度の期間、赤字を見越した資金を用意しておけると安心です。
運転資金の目安は家賃の10ヶ月分程度と言われています。家賃20万円ならば、200万円程度です。
融資を受けやすい条件
自己資金が不足している場合、融資を考えなければなりません。融資元は以下にわけられます。
- 日本政策金融公庫
- 信用保証協会
- 金融機関
- 自治体
このうち飲食店の新規開業で最も融資を受けやすいのは、日本政策金融公庫です。新規開業者を対象とし、無担保、保証人無しで融資を行っています。
ただし、融資をスムーズに受けるにはコツがあります。日本政策金融公庫では、飲食店の新規開業者向けに「創業の手引+(プラス)」を公開し、その中で「お金を借りるために今からやるべきこと」を説明しています。
以下の3点がポイントです。
①勤務経験
技術力や店舗運営のノウハウを持ち、「どのような実績を残したか」が問われます。販売促進策などの実績をメモしておくと、借入時に役立ちます。
②自己資金
計画的に資金を貯められることを証明します。また創業意欲を目に見える形で示す材料にもなります。
③諸支払い
融資審査時には公共料金や家賃、ローンなどの支払状況を確認されます。支払いが遅れることのないよう心がけましょう。
このほか、創業計画書、事業計画書が明確に書かれていることも重要です。「このお店にならお金を貸しても大丈夫」と思ってもらえるよう、具体的に記すようにしましょう。
関連記事:個人事業主が事業計画書を作成する6つのメリットと具体的な書き方
助成金・補助金の積極活用
助成金・補助金を積極的に活用することもポイントです。都道府県や自治体単位で募集していることが多く、日ごろから情報を集めていれば、活用できるものに出会える可能性が上がります。
たとえば東京都では東京都中小企業振興公社が募集する「創業助成事業」が利用できます。300万円を助成限度額とし、創業初期に必要な費用の3分の2以内の範囲で助成されます。
関連記事:開業で活用したい補助金・助成金8選│申請のポイント・注意点も解説
バーの開業は立地が肝心!物件の効果的な選び方
どんなに良いバーであっても、立地が悪ければ人は集まりません。ターゲットの客層を集められる物件を慎重に選定しましょう。
立地は成功を左右する
バーは雰囲気を気に入ってもらい、固定客を多くつくることが成功の鍵です。それにはお店のコンセプトと客のニーズがあう場所に出店する必要があります。
たとえば隠れ家のような落ち着いた雰囲気のバーを開きたい場合、駅前の喧騒の中は良い場所と言えません。利便性を失わない範囲で、静かな場所を慎重に選ぶ必要があります。
物件選びに外せない3つのポイント
物件を選ぶさいには、以下の3つのポイントを重点的に確認します。
- 店のコンセプトとの合致
- ターゲットの客層が訪れる場所か
- 競合店の状況
出店予定地域に出向き、人の動きを観察するとよいでしょう。
店のコンセプトとの合致
店のコンセプトにより、出店すべき場所は変わります。たとえば仲間同士で朝までゆっくり話せるスタンディングバーや、騒いで遊べるダーツバーであれば、駅からの利便性や、周りに娯楽を提供する施設が多い場所が最適でしょう。
逆に落ち着いたオーセンティックバーを開くのであれば、周りの喧騒を感じさせない路地裏や、地下や高層階の物件を選ぶなど工夫が必要です。
ターゲットの客層が訪れる場所か
一つの街の中にも、若者が多く訪れる場所や、家族連れが多い場所、年配者が集まる場所などの傾向があります。ターゲットの客層が多い場所を絞り込みながら、より適切な場所を探します。
たとえば学生街でオーセンティックバーを開業してもうまくいきません。オフィス街の中でも、落ち着いた大人が訪れる路地やビルを探し当てましょう。
競合店の状況
目処をつけた場所にすでに競合店がある場合、あなたの店に優位性があるか見極めなければなりません。
あなたの店にしかない特色など、差別化を図れるポイントがあるのならば、勝負に出ても成功する可能性があります。
たとえば誰にも負けない焼酎の知識を活かしオリジナルカクテルを多数つくれる、お酒にあう新鮮な魚介類を肴として提供できるなど、際立つ要素があれば客を惹きつけます。
もし勝算がない場合は場所を選定し直しましょう。
状態によっては居抜き物件もおすすめ
コンセプトにあった立地であれば、一から内装を考えるのではなく、居抜き物件を選定するのもおすすめです。大掛かりな工事をせずに開業できます。ただし、2つ注意点があります。
居抜き物件には「造作譲渡契約」が必要
居抜き物件に付属する設備や備品は、前オーナーの所有物です。あなたの店で使用するには、「造作譲渡料」を支払う必要があります。
値段は設備や備品の規模により異なりますが、使用できるものが多いほど膨らみます。それでも自分で一から揃えるよりは安く、手間もかかりません。
1坪あたりの内装工事費がスケルトン物件は30万円~60万円なのに対し、居抜き物件では一般に15万円~30万円で済みます。前オーナー次第ですが、無償譲渡の物件もあります。
退去をするには理由がある
バーの居抜き物件は、何らかの理由でバーが閉店(移転)した場所です。その理由が業績の悪化や客足の減少などの場合、あなたの店も同じ軌跡を辿る可能性があります。
居抜き物件になった理由を明らかにし、本当にその場所で成功できるのか、立地条件や人の流れを慎重に見極めなければなりません。
開業するバーの雰囲気にあった場所で、かつターゲットとする人の流れもあるならば、恐れる必要はないでしょう。
お金がないバーの開業でも工夫したい内装のポイント
バーは雰囲気作りが大切なため、内装にはできるだけこだわりたいところです。しかし、こだわりすぎるとお金がいくらあっても足りません。
そこで、バーの顔となる部分を中心に内装を考えます。カウンターや照明は店の印象を決定づける重要な点です。バーを手掛けたことがある業者に依頼し、内装工事例を参考にしながら、詳細を煮詰めていきましょう。
また、トイレなど水回りを綺麗にすることも心がけます。あまりにも古く汚れやすい場合は、積極的に工事を入れましょう。どんなに店が良くても、トイレが汚ければ客が離れる原因になります。
バー開業を円滑に進めるために導入したいもの
物件や内装工事など開業への大枠が整ったら、店舗営業に必要な設備や備品を揃えます。
設備備品やテーブル周り、グラス、水まわり用品など揃えるべきものは少なくありません。一覧にしてチェックリストにしておくと、わかりやすく準備の漏れがなくなります。
バー開業に必要な備品
バー開業に必要な設備・備品は以下のとおりです。
設備備品
看板、マット、傘立て、時計、ハンガー、ワインセラー、掃除用具、トイレ関係など
テーブル周り
灰皿、おしぼり、コースター、テーブルマット、トレイ、予約プレートなど
バーテンダー備品
アイスペール、アイスピック、アイストング、マドラー、ワインオープナー、ワインストッパー、ワインクーラーなど
食器・グラス
皿、フォーク、スプーン、キッチンクロス、タンブラー、各種グラス、ロックなど
調理用品
包丁、まな板、洗剤、スポンジなど
事務備品
請求書、領収書、伝票、封筒、文具、キャッシュトレイ、伝票ホルダー、レジ、ゴム印、レジなど
キャッシュレス決済の導入で利便性が上がる
これから開業するには、決済方法の幅を広げることをおすすめします。QR決済や電子マネーを使う人も多く、これらに対応したレジを導入することで、利便性が高まります。
とくに「持ち合わせがないけど、ちょっと飲みたい」という需要に対応することは重要です。多少の決済手数料がかかっても、支払い方法を広げておくことで、リピート客が増えます。
QR決済
スマートフォンを使用した決済手段です。導入が簡単なのが特徴です。PayPay、楽天ペイ、au PAY、d払いなどがあります。
電子マネー
カードやスマートフォンをかざす決済手段です。Suicaなど交通系カードや、楽天Edyなどがあります。
いずれも店側の手数料は3〜4%程度です。クレジットカードの処理を含め、一括で対応できる端末を導入すると便利です。
未経験でも安心!バー経営の失敗を防ぐ3つのコツ
未経験でもバー経営の失敗を防ぐ3つのコツを説明します。
- 信頼関係を構築し常連客を多くつくる
- いちげんさんが入りやすい雰囲気づくり
- 集客のノウハウは常にアップデート
開業後に経営を円滑に進める秘訣も覚えておきましょう。開業直後に雰囲気作りを失敗すると、いつまでも客足は伸びません。
多くの人にバーを好きになってもらい、リピートしてもらえるよう、信頼関係の構築と新規顧客の開拓に努めましょう。
信頼関係を構築し常連客を多くつくる
ターゲット層を研究し開業しても、どのようなお客さんが来るかはわかりません。大切なのは、一人ひとりに店を好きになってもらい、お酒をとおして信頼関係を構築することです。
あなた自身がお酒に精通し、お客さんに好みのお酒を提供できることや、料理の味がおいしいことは最低条件です。それ以外に以下のように接客術に工夫をしましょう。
初来店のお客さんには丁重な対応を
初対面での印象は、飲食店に限らず重要です。とくにバーはマスターとお客さんとの距離感が近いため、最初に良い印象を与えられれば、気に入ってもらえる可能性が上がります。お客さんは、
- 歓迎されている
- 特別な客として扱ってもらえる
などの感覚を持つと、「また来よう」という気になります。
そのためには、小さな気遣いを忘れず丁重な対応を心がけることが重要です。
「天気が悪い中、ありがとうございます」
「寒い中、わざわざお越しいただき感謝いたします」
など、お店に来てもらえた感謝や、心からの歓迎の気持ちを素直に言葉にしましょう。
リピーターの顔を覚え積極的に会話する
お客さんとの雑談で得た情報は、大切に記憶するようにします。リピーターとして店を訪れてくれたとき、
「○○の仕事はどうですか?」
「お体が悪いとおっしゃっていましたが、その後いかがですか?」
など、覚えた情報をもとに積極的に会話を膨らますようにすれば、お客さんは「自分を特別で大切な客として歓迎してくれている」と感じます。
その気持ちから、お客さんは心を開き、何度でもお店を訪れるようになるのです。
ときには感謝の気持ちをお酒や料理で表す
常連になったお客さんには、感謝の気持ちを持ち続けるようにしましょう。
毎回である必要はありませんが、料理を一品サービスする、特別なお酒を出すなど、お客さんになにかサービスができると良いでしょう。
お客さんは「大切にされている」「いつも気にかけてくれる」という気持ちを実感し、ますます店を好きになります。
このようにして常連客が多くできれば、客単価が上がり、繰り返しの来店により経営が安定します。
いちげんさんが入りやすい雰囲気づくり
開業当初は誰もが「初めてのお客様」です。初めての人にも開かれた雰囲気でなければ、人は集まりません。
格式を重んじるあまり、「いちげんさんお断り」のような雰囲気を作らないようにしましょう。まずは気軽に飲みに来てもらうことが重要です。
入りやすい店にするには、以下を心がけましょう。
情報をきちんと開示する
メニューや価格帯が入口でわかるよう、ボードを置くなどの工夫をします。とは言え、オーセンティックバーなど、看板やボードの設置が店の雰囲気とあわない場合もあります。その場合はホームページできちんと情報を開示しましょう。
とくに、
- メニュー
- 価格
- 内観
- 外観
- 雰囲気のわかる写真
などの掲載は必須です。
入口を広くし店内の雰囲気がわかるようにする
入口が狭く、中の様子がわからない店には入りたくありません。バーの場合は店の雰囲気がわかる扉のデザインにし、なるべく幅を広く取ると良いでしょう。内装をデザインするときに、扉も一緒にデザインすることで、統一感が出て雰囲気が伝わりやすくなります。
清潔感を出す
店の入口や、店舗へのアプローチに使う階段やエレベーターなどは常に綺麗にするよう心がけます。飲食店で清潔感がない店は論外です。
集客のノウハウは常にアップデートを
店舗営業を続けていくうち、さまざまな成功例や失敗例が積み重なります。その蓄積された一つ一つは経営のノウハウとなります。
常にさまざまなことを吸収しながら、知識をアップデートしましょう。一つのやり方に失敗しても、視点を変えれば新たな経営手法が見えてくるかもしれません。
【集客に役立つ関連記事】
まとめ
バーはお酒をとおしてお客さんとのコミュニケーションを取れる、酒好き憧れの職業です。
しかし開業には多くの資金と手間がかかり、一つひとつを確実に準備しなければ出鼻をくじかれます。本稿でお伝えした重要なポイントをふまえながら、自分らしいバー開業を実現させましょう。
開業準備での重要ポイントは以下のとおりです。
- 多様な業態から、自分にあったバーを具体的に構想する
- 物件の選定を行う前に、食品衛生責任者、防火管理者の資格を取得する
- 保健所、警察署、消防署に提出する書類と提出時期を確認する
- 物件取得で520万円、運転資金に200万円が必要。融資は日本政策金融公庫がおすすめ
- 店のコンセプトに合致し、ターゲット層が訪れやすく、競合が少ない場所を選定する
- 内装では居抜き物件を選ぶと節約になる
- 必要な備品一覧を作成する
- キャッシュレス決済を導入する
面倒でも一つひとつをしっかりと行うことで、円滑に準備作業が進められ、構想どおりの店をつくり上げることができます。
アフターコロナで外食の需要が戻ったとき、安心してゆっくりお酒を楽しめるバーは、再び酒好きの人達の憩いの場になるでしょう。
その日のために、店づくりを着実に行い、少しずつブランディングを進めていきましょう。
私たちDokTechは、フランチャイズや独自・開業のサポート業務を専門としています。開業準備にお困りごとがあれば、「実現可能な独立」をサポートいたします。どうぞお気軽にお問いあわせください。
著者情報
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