起業に向けた行動ができない人のよくある特徴と解決法
更新日:2023.10.4
投稿日:2023.10.4
起業したいのに、準備が進まずに悩んでいませんか。
なぜ起業に向けて前進できないのでしょうか。もしかすると入念な準備作業が、かえって前進にブレーキをかけているかもしれません。必要のないことに時間を費やしている可能性があります。
この記事では、起業したくても前進できない人の特徴を説明し、解決に導きます。該当項目を確認することで、行動できないブレーキを排除できるでしょう。
利益が出せない考え方と有効な解決法も説明します。
経営者に適切なマインドがなければ、開業後の経営に苦労します。起業準備をとおし、利益の出せるマインドを形成していきましょう。
目次
起業に向けて前進できない人の特徴3つ
起業に向けて前進できない人の特徴を3つ紹介します。
- 勉強やセミナーに時間をかけすぎる
- 起業に向かない人間関係を構築してしまう
- 時間を有効活用できない
起業に向けて前進できない人は、必要のないことに時間を費やしている可能性があります。ブレーキとなる行動に自覚的になり、本当に必要なことに労力とお金をかけましょう。
勉強やセミナーに時間をかけすぎる
起業への不安が高まるあまり、勉強やセミナーに時間をかけすぎる人がいます。
時間をかけるほど、起業へのモチベーションが下がるかもしれません。「とりあえず一歩踏み出す」意識で、多少強引にでも準備を進めたほうがよいでしょう。
経営の知識や仕事の専門性は、事業を進めながらでも深められます。
知識の習得には終わりがない
知識の習得には終わりがありません。専門性や経営ノウハウを、「ここまでで良い」と判断するのは困難です。
勉強すればするほど、上のレベルがあることに気づかされるでしょう。
- 延々と勉強を繰り返す
- 上位の資格取得を目指す
など、いつまでもインプットが終わりません。
本当に必要な要素を見極める
大切なのは、本当に必要な要素だけを見極めることです。
筆者も起業時は、税務関連の勉強に時間をかけました。ひとり起業が不安だったからです。
実感として、半年間の勉強よりも、税務署主催の新設法人用の説明会に一度出席するほうが、ためになりました。
要点をついているからです。わからない部分にピンポイントで知識を仕入れれば済む話でした。
専門家レベルの経営知識は、大半の業務には不要です。仕事を進めながらでも学べます。あらかじめ勉強するのではなく、仕事でスキルアップさせる姿勢を持つと良いでしょう。
最低限力がついていれば、起業に踏み切れます。
起業に最低限必要な2つの力
起業には、2つの力が必要です。高いレベルでなくても構いません。最低限のことができれば良いのです。
- 商品やサービスをつくれる力
- 経営の基礎知識(経理や事務のノウハウ)
多くの起業家は、①を最初から満たしているでしょう。自信があるからこそ、起業を考えます。
万一未経験で挑戦する人がいたら、起業は少し待ってください。アルバイトや副業として働き、商品やサービスをつくれる知識やノウハウを習得しましょう。
②で最低限知っておきたいのは、以下の3つです。
- 日々の帳簿の付け方
- 給与計算のしかた(社会保険や所得税の知識を含む)
- 起業の事務手続き
起業準備や税務のハウツー本を数冊読めば、不自由しないでしょう。最近では、Webの動画にも優良な情報があります。
技術を高めるには可能な限りのチャレンジを
仕事で技術を高めるには、少し難しいと感じるレベルの案件も引き受けましょう。チャレンジ要素のない仕事を続けても、専門性は伸ばせません。
顧客から要件を聞き、ぼんやり解決策が浮かぶなら、できないことはないでしょう。
Webの仕事に従事する人は、成長する条件が整っています。Webデザインなら、顧客に難しい要望を出されても、似たデザインのサイトでコードが参照できます。
WordPressのプラグインや、無料配布されているスクリプトで実装できることもあります。多少の背伸びでも、解決方法を見つけやすいのです。
ただし、以下の3点は心に留めておきましょう。
- 慣れた仕事よりも時間はかかる。納期を長めに設定する
- 書籍があったほうが進めやすい場合もある。出費は覚悟する
- コストパフォーマンスは度外視する(慣れない仕事で、時給換算すると悲惨なこともある)
最初は損に感じても、新たな技術を身につけることで単価の高い案件獲得につながり、売上を伸ばせる可能性があります。
起業に向かない人間関係を構築してしまう
起業には、商品(サービス)を広める営業力も大切です。顧客や取引先の開拓につなげようと、手当たり次第に人脈を広げようとする人がいます。
人づきあいには、時間もお金もかかります。人間関係の構築に時間を取られると、いつまでも起業準備が進みません。
起業に必要な人間関係を見極めましょう。
異業種交流会ですぐに顧客をつかめる可能性は少ない
人脈づくりによく利用されるのが、異業種交流会です。起業前から参加できるものも多くあります。
心に留めておかなければならないのは、すぐに客を取れる確率は低いことです。初回にできるのは、名刺交換と、お互いの紹介です。
何回か出席しているうち、徐々に親交が深まり、親しく話せる間柄になるかもしれません。運が良ければ、ビジネス関係にも発展します。
関係構築には長い時間が必要です。お金と時間がない起業家が、準備中に取り組むことではありません。
起業後、地元の商工会や中小企業家同友会に入り、定期的な会合に出席するのをおすすめします。
交流会は仕事を取るより、学ぶ意識が適切
異業種交流会は、ほかの経営者から経営や人生を学ぶ場だと考えるのが適切です。仕事を取ることは優先しません。
多くの会社は、すでに必要な取引関係を構築しています。新参者が割って入るのは容易ではありません。仲良くなっても、ビジネス関係に発展しないケースが多いでしょう。
起業準備者だけの交流会なら、多少仕事を取る勝算があるかもしれません。取引先が固まっていないからです。
ただし、出席者は商品やサービスを売り込みたい人が多いかもしれないと認識しましょう。買う方向に意識を向けさせるのは、難しいかもしれません。
起業に必要な人間関係は顧客と頼れる協力者
起業に必要なのは、事業を軌道に乗せるために欠かせない人です。
- 顧客(取引先企業)
- 事業でわからないこと、足りない要素が生じたときの協力者
が該当します。
顧客は、ターゲットの絞り込みで選定しましょう。具体的な手法は『会社を辞めず半年で起業準備!準備終盤に行う集客力を高める取り組み』で紹介しています。短期間で顧客になり得る人を引き寄せられます。ご一読ください。
ビジネスの協力者は、対等の立場でつきあえる仕事仲間が理想です。
- あなたにはない知識を持った人
- 起業家の先輩
と良好な人間関係を築きましょう。つまずいたとき、協力が得られるはずです。
相手に専門性を差し出すことも忘れないでください。パートナーシップはお互いの協力関係で結ばれます。一方的に支援されているだけは、良好な関係にはなり得ません。
人間関係を可視化しておく
頼れる協力者の発見に向け、これまでの人間関係を可視化しましょう。
- 現状であなたが頼れる人は誰か
- どのような人と今後関係を結ぶべきか
が端的にわかります。
簡単な表に思いつく人を書き込んでみましょう。
横軸には人名と人脈レベルを書きます。人脈レベルは、「高」「中」「低」でわけると良いでしょう。
高:なんでも相談できる相手
中:メールやSNSで繋がれる人
低:顔見知り
など区分けをします。
縦軸には、事業の推進に協力が必要な職業を挙げます。
<人間関係可視化の例>
人 | 人脈レベル | |
---|---|---|
士業 | ||
起業経験者 | 鈴木さん | 中 |
営業マン | 加藤さん、高橋さん | 高、低 |
Web関係者 | 木村さん | 高 |
広告業 | 田中さん | 中 |
インフルエンサー | ||
地元に顔がきく | 清水さん | 低 |
英語がうまい | 渡辺さん | 中 |
人脈レベルが「中」「低」の人と、関係を深められないか模索しましょう。該当者がいない項目は、これからつくるべき人脈です。
時間を有効活用できない
起業準備が進まない人は、時間を有効活用できていない可能性もあります。
会社を辞め起業準備だけに集中できるなら、時間は潤沢にあるでしょう。しかし多くの人は、突然会社を辞められません。会社にいながら準備を進めることになります。
会社員生活との両立には労力がかかります。時間を思うように取れなくても、仕方ありません。
時間を捻出するために、現在の生活を見直してみてはいかがでしょうか。
会社勤めをしながらの起業準備は大変
会社員生活を続けながらの起業準備は、思う以上に大変です。まとまった時間がほしくても、なかなか休めない人も多いでしょう。
「今日はこれをやろう」と心に決めても、帰宅後には気力がなくなっていることもあります。
毎日の時間配分ができないままでは、準備は進みません。本業に悪影響を与える可能性もあります。
生活ログで時間を管理する
時間をつくるには、生活ログが有効です。生活ログとは、日々の気づき・発見をアプリやブログなどに残すことです。一週間の流れの記録で、日々のルーティンを見直しましょう。
ログを取ると、無駄な時間が見えてきます。
- 周りにあわせて毎日2時間残業している
- 飲み会や外食の回数が多すぎる
- 夕食後の休憩時間が長い
起業するまでの辛抱と考え、無駄な時間は起業準備に変えましょう。
生活をきっちり管理する姿勢は、起業後にも役立ちます。時間の管理ができない人は、仕事を円滑に進められません。取引先にも信頼されないでしょう。
起業準備中に要改善!利益を出せない人の特徴
起業準備では、利益を出せるマインド形成も心がけます。
起業後に事業がうまく行かない人は、マインド形成に失敗しています。経営者に必要なマインドを、十分身につけずに起業しているのです。
利益が出せない経営者の特徴を学びましょう。
お金を稼ぐことに罪悪感がある
利益が出せない人の中には、お金を稼ぐのに罪悪感がある人もいます。「お金をもらったら悪い」「高いお金は設定できない」と感じてしまうのです。
起業初心者がお金への罪悪感を持つのは、珍しくありません。理由は2つあります。
- 会社員は顧客から売上を直接もらった経験がない
- 自分に自信がない
罪悪感を払拭するには、自分ではなく商品やサービスに自信を持つことが有効です。商品・サービスを適正価格に設定し、良質なものを提供することが、否定的なマインドの解消につながります。
会社員は人から大金を直接受け取ることに慣れていない
会社員がもらうのは、会社からの給料です。仕事の量や成果をもとに、給料が高いか安いかは判断できます。
しかし、顧客から直接売上金額をもらう経験はありません。何百万もの大金を直に受け取るのは慣れていないかもしれません。
Webサイトの構築なら100万円程度で受注することも少なくないでしょう。
ところが、今まで会社員として月給30万円だったWebデザイナーが、受注額を妥当と感じられるかは疑問です。「高すぎる」と判断するのではないでしょうか。
会社員感覚のまま独立すると、受注金額を低く設定しがちです。「会社員と仕事量が変わらないのに100万円はもらいすぎだ。30万円でいいや」と考えます。
しかし、経費を加味すれば高い金額ではありません。チームでプロジェクトに携わったのであれば、100万円の売上からコーダーやシステム開発者にも給与を支払います。
外注のライターやイラストレーターもかかわっているかもしれません。開発期間も考えると、決して高くはありません。
会社員感覚は早々に捨てないと、適正価格を判断できないでしょう。
自信がない人ほど「儲けにならない」値段を設定する
起業して間もないころは、自信のなさから低い価格をつける人もいるかもしれません。安い価格で顧客の期待レベルを下げようとするのです。
「安ければ、レベルが低くても顧客に受け入れられるだろう」と期待します。結果として、儲けが出ない値段設定で、自分の首を絞めることになります。
筆者も起業したばかりのころは、安価で仕事を請け負っていました。他社の価格を知らなかったわけではありません。
自分に自信がなく「高いお金は取れない」と感じていたのです。仕事が増えても、貧乏なままでした。
あるとき先輩起業家に言われたのは、「技術を安売りするな!」という言葉です。良いものが提供できるなら、技術に誇りを持たなければなりません。誇りがあれば、安価な取引はできないでしょう。
適正価格の提示は、取引先にもプラスに働きます。提示価格には、技術力や自信が裏打ちされます。「私はこの値段以下の製品はつくりません」と宣言しているのと同じです。
儲けにならない商売では、仕事を続けられません。適正価格の提示で離れる顧客がいる場合、仕方がないと割り切るべきでしょう。
適正価格を客観的に考える
適正価格は、あなたの主観ではなく、客観的なデータで決定すると良いでしょう。
インターネット上には、さまざまな業界の相見積もりを取れるサービスがあります。あなたの商品(サービス)の見積もりを取ってみましょう。競合他社がつけている値段が、安いほうから順に表示されます。
一覧からあなたが扱う商品の特性や、売上規模が近い事業者を見つけ、どれくらいの価格を設定しているのか確認しましょう。最低価格を下回らないよう、あなたの商品に値段を設定します。
取引のさい、毎回きっちり見積書をつくるのも大切です。見積書には、値段設定の詳細を示します。なににどれくらいのお金を設定するべきか、冷静に考えるきっかけになります。
事業に必要な投資をおこなわない
人材採用や設備投資など、事業に必要な投資をおこなわず起業する人がいます。
眼前の経費は削減できても、顧客の満足度は下がるでしょう。十分な商品・サービスを提供できない状態が続けば、顧客が定着せず、事業を軌道に乗せられません。
顧客に十分な満足を与えられることを、起業準備段階で検証しましょう。
人件費に投資せず顧客獲得が遅れた事例
筆者の知りあいの塾経営者は、人件費を削減するため、「自分ひとりでなんとかなるだろう」と起業しました。文系出身にもかかわらず、高校数学や理科も、すべて自分でこなすつもりだったようです。
起業にあたり指導ノウハウを積んだものの、理数系科目でのニーズは満たせませんでした。生徒が定着せず、悩んでいたのを筆者も記憶しています。初年度は映像教材の導入で穴を埋めました。
生徒数が安定したのは、数学の専門家を雇い、しばらく経ってからです。初年度から人件費を惜しまなければ、より早く軌道に乗せられたかもしれません。
事業計画に則り、必要な投資は惜しむべきではありません。
地道な信用構築をおこなわない
地道な信用構築を軽視する人もいます。商品の改良や開発をするときに、
- 顧客の声を反映しない
- 顧客からフィードバックを受ける仕組み自体がない
など、顧客のほうを向くことがありません。仕事への自信とプライドがあるため、
「良いものを作っていれば、顧客はついてくる」
「自分の技術が支持されないはずがない」
と、顧客の反応が気にならないのです。
どんな事業も、一人ひとりの顧客の満足があって成り立ちます。一人ひとり地道に信用を得ることで、リピーターやファンが増えていきます。
何千人、何万人の不特定多数を相手にする事業でさえ、支えているのは一人ひとりの顧客です。満足がなければ、事業は成功し得ないことを忘れてはなりません。
顧客を大切にし、できる限り一人ひとりと丁寧に向きあう姿勢が大切です。地道に信用を構築してこそ、大勢から指示される会社がつくれます。
最初の1円を稼ぐことに注力する
一人ひとりの顧客を大切にするために、起業準備で心がけてほしいことがあります。最初の一円を稼ぐのに、全力を尽くすことです。
最初の一円を稼ぐには、商品を買ってくれる顧客を見つけなければなりません。
商品(サービス)の提供体制を整え、最善の状態をつくりあげます。顧客のニーズと真剣に向きあい、顧客の利益を考えて動く時間です。
最初の一円を稼ぐ努力で、顧客を意識したビジネスが構築できます。信頼関係を大切にし、一人ひとりに寄り添う姿勢が身につくでしょう。
商品が売れれば、築き上げたビジネスの正しさが証明されます。2人目・3人目にも、同じように丁寧に寄り添いましょう。
顧客から反応を得ることで、事業を推進する自信がつきます。顧客を満足させるノウハウも蓄積されるでしょう。
さいごに
起業に向けて前進できない人は、知識の習得や人間関係の構築に時間を使いすぎている可能性があります。
起業準備に使える時間は限られています。少しでも時間が多く取れるよう、本稿の注意点を心に留め、準備に取り掛かりましょう。
起業準備の詳細は以下の関連記事で解説しています。会社員を続けながら、半年で起業できるコツがわかります。あわせてお読みください。
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著者情報
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フランチャイズ経営者やフリーランス、法人役員など、多種多様なキャリアをもつメンバーでお届けしています。
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