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経営上必ずぶつかる組織課題をすくい上げ・解決する方法|実例付きで解説

更新日更新日:2023.10.3

公開日投稿日:2022.12.28

目次

会社の「組織課題」とは

会社の「組織課題」とは

法人には、実現したいものや社会貢献の理想像など、それぞれ目標とする姿があります。それを実現させるため、社員一丸となり業務を推進しています。

しかし、すべての目標が順当に叶えられるわけではありません。複数の人間で業務を推進している以上、どこかでずれは生じるものです。

目指す理想像とのその「ずれ」こそが、会社の「組織課題」です。

・商品が思ったように売れない
・業務の生産スピードが理想よりはるかに遅い
・想定したようには集客できない
・社員がすぐに辞めてしまい、業務が完遂できない

などがよくある事例です。

その原因を探り、有効な解決法を見つけ出さなければ、組織課題はいつまでも「課題」のまま業務推進を阻み続けます。

しかし、すべての組織課題が顕在されているわけではありません。なぜうまくいかないのか、経営者が首をかしげることもあるでしょう。

隠れた組織課題を見つけ出すには、それをすくい上げる工夫が必要です。具体的な手法を次章で説明します。

社内の組織課題をすくい上げる方法

2.社内の組織課題をすくい上げる方法

日々社員が抱えている困難から、今自社が取り組むべき課題を見つけ出しましょう。

それには現場の声をすくい上げる仕組みを構築しなければなりません。本章では、社内で顕在されてない運営課題を見つけるための手法を説明します。

経営者が気づかないところで社員の不満は溜まっている

本文・・・経営者のよくある勘違いに「従業員は無条件に自分についてくる」という思い込みがあります。経営手腕や技術に自信があるから大丈夫と思いたくなりますが、そのおごりで、現場の社員の意見に耳を傾けないのは危険です。

厚生労働省職業安定局が平成26年5月に「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」(注1)を公開しました。中小企業およそ2800社へのアンケートによる分析データが掲載されています。

このデータによると

「提案制度などで従業員の意見を吸い上げている」会社はおよそ58%
「会社の経営計画づくりに従業員の意見を反映させている」会社はおよそ39%

にすぎません。

日ごろから経営に関して社員が積極的に提言を行い、それを経営に反映させている会社はまだまだ少ないのです。

社員が積極的に提言できない会社は、業務遂行上の困難があっても浮かび上がりません。経営者が知ろうとせず、社員も自分の内にとどめてしまうからです。

社員は誰にも相談できないまま、離職してしまうのです。

組織課題を経営者が認識しなければならない

社員が離職してから課題に気づくようでは遅すぎます。

社内に起こり得る問題点を認識し、その解決策を策定する「リスクマネジメント」の一環として、日ごろから社員の困難に目を向けなければなりません。

もっとも、経営者が率先して現場に入り仕事をしている会社では、課題を把握できない事態には陥らないでしょう。

しかし複数の事務所を統括している場合や、社長が会社の顔として営業活動を積極的に行っている場合など、一つの職場に留まるのが不可能なケースもあります。

今は経営者が毎日社員と顔をあわせられても、事業を拡大したときに継続できるかはわかりません。すべての会社で、社員一人ひとりの困難をすくいあげる「仕組み」の構築が必須です。

なお、リスクマネジメントは対外的な困難の解決にも役立ちます。詳しくは『顧客や社員を守る!対外的トラブルを解決する危機管理方法』をご覧ください。

現場の課題をすくい上げる方法

社員となかなか会えないのならば、社員との定期的な面談を社長業務の一環に据えると良いでしょう。

面談では社員に仕事への率直な意見や悩みを話してもらいます。

・今起こっている問題の詳細
・なぜその問題が起きているか
・具体的に個人の仕事や生活にどのような影響が出ているか

などを意識しながら、課題を整理していきましょう。

そのさい、あまり仮説を立てすぎると先入観が邪魔をします。あくまでも社員に主体的に話してもらうことを優先し、経営者の立場からの発言は控えるようにします。それをしないと、先入観ありきの解釈になってしまうからです。

また、立場が違う複数人からの意見を収集することも忘れないでください。立場が違えば、問題に対する見方も変わります。可能であれば、全社員と面談すると良いでしょう。

もしも社員が萎縮して本音を話せないなら、匿名のアンケートを取る形でも構いません。それで社員の本心がわかるのであれば、面談よりも効果的な可能性もあります。

そうして集めた課題を分析し、複数人から共通の意見として挙がるものがあれば、それが今すぐ解決するべき「目の前の困難」です。

なお、社員との面談は、離職の兆候を掴むことにも繋がります。詳しくは『倒産を招く原因は人材不足!社員が離職しやすい職場によくある特徴』をご覧ください。

組織課題の中では言語化できないものもある

社員との面談やアンケートでも課題が明確にならない場合、社員も問題点を認識せずに仕事をしている可能性があります。

よくあるのが、業績の伸び悩みです。社員に聞いたところで、「頑張っている」「精一杯やっている」と言われるだけで、問題が顕在化しません。実際、社員は自分なりに精いっぱい頑張っているのです。

このような場合は、主観的な評価をやめ、目標をすべて数値化すると良いでしょう。たとえば目標売上額を数値化しておけば、現在の売上額とどれくらい差があるかわかります。

そこからさらに、

①目標達成のため、一人の社員が上げるべき売上額を設定する
②現在の各社員の売上額を把握する

ここまで行うと、どの社員が目標にどれだけ足りていないかわかります。そして、その不足こそが経営課題として浮かび上がります。

売り上げが足りない社員をただ責めることや、「もっと頑張れ」と励ますだけでは、課題は解決しません。

  • なぜ目標を達成できないのか
  • 達成するにはどう動けば良いか

などを組織全体で考え、業務の推進方法を改善していきます。すべての社員がそれぞれの目標売上額を達成できるよう、会社全体で取り組むのです。

このように潜在する課題は、数値で可視化することで浮かび上がります。

代表的な組織課題を解決する具体的な方法

3.代表的な組織課題を解決する具体的な方法

本章では、組織課題を解決する具体的な手法を説明します。

現場で社員が抱える困難のうち、よくありがちなのが、

  • 人間関係のストレス
  • 業務負担の多さ

です。実はこの2つの困難は、互いに影響しあう関係です。

業務量が多く事業を円滑に推進できない会社では、人材をうまく使えていない可能性があります。各社員に適切に仕事を割り振れていないため、仕事が特定の社員に集中し、回らなくなるのです。

そのような状態は、社員の精神状態にも影響します。業務負担過多の社員は、仕事への重圧で塞ぎ込みます。

いっぽう、仕事がない社員は「必要とされていない」無力感に苛まれます。そのように互いに協力しあえず悩みを抱える会社では、人間関係が良好なはずがありません。

業務負担や人間関係を理由に、いつ誰が離職してもおかしくはないのです。

本章で紹介する手法を取り入れ、各社員が充実して働ける環境をつくり上げれば、社員の離職を防ぐことができ、業務効率も向上します。

社員が抱える困難の解決には「チーム作り」が鍵

適材適所で仕事を行うには、個人個人ではなく、会社全体を一つの「チーム」と捉え事業を推進する必要があります。

具体的には、全体の業務スケジュールを策定し、「時間配分」と「役割分担」を決めるのです。

私たちが手掛ける放課後等デイサービスでも、職員の負担が大きな課題になっていました。「仕事が多すぎて手が回らない」「業務負担が原因で有資格者が離職した」といった同業者の声も頻繁に耳にします。

しかし、弊社は「時間配分」と「役割分担」を行い、チームで仕事にあたることで、業務負担の問題を解決しました。

時間配分

放課後等デイサービスでは、子ども達が来所する午後〜夕方の時間帯に仕事の軸を据えがちです。

職員が時間の使い方を意識していないと、午前中を漫然と過ごしてしまい、業務負担が午後に集中します。

結果としてサービス提供前に慌ただしく準備することになり、それが「仕事が回らない」という実感を生むのです。

そこで、私たちは一日のタイムテーブルを作成し、「いつ誰がなにをするか」ひと目でわかるよう工夫しました。この結果、職員が自分の働き方を認識し、午後に負担がのしかかることがなくなりました。

現在は多岐にわたる業務を、時間で区分し効率的に行っています。

これはどの業種でも取り入れられる工夫です。時間ごとに区切って仕事を行うことで、短時間勤務の非常勤職員や学生のアルバイトも含め、一つのチームとして仕事を回せます。

たとえば飲食店であれば、昼と夜の間の営業休止時間で、店舗準備だけでなく、広報活動や経理作業に割く時間を設定します。そのさい、次項で取り上げる役割分担も同時に行いましょう。

役割分担

経営者が一人ひとりの個性を理解し、適性に応じて仕事を割り振ることで業務を効率化できます。

私たちが運営する教室では、

・パソコン作業が得意な職員に、保護者あてのお便りや制作物を準備してもらう
・管理業務経験者には管理者の補助に回ってもらう

などの工夫を行っています。

役割分担を行わないと、教室のリーダー的存在である「児童発達支援管理責任者(児発管)」に業務が集中し、仕事が回らなくなる恐れがあります。「チーム」として各人が自分の役割に徹することで、児発管だけが仕事を抱え込む問題は解消されました。

ほかの業種でも、各職員に役割を与えることで業務を効率化できます。

前項の飲食店であれば、営業休止時間中に、

  • 夜の仕込み・・・料理長を中心に社員2人で対応
  • 経理作業・・・オーナーの補助として簿記の資格を持つパートのAさんを配置
  • 広報活動・・・パソコンが得意な大学生アルバイトB君がホームページとSNSを更新

などの振り分けができます。時間と担当を決めチームで取り組めば、たとえ業務量が多くても、協力体制で乗り切れます。

チーム作りで対処できない場合はシステム導入も検討を

チーム作りで対処してもうまくいかない場合は、仕事の絶対量に対し社員の人数が足りない可能性があります。人員を増やせば解決は簡単ですが、毎月の人件費を考えると腰が重い経営者様も多いでしょう。

その場合、システムの力を借りるのも一つの方法です。

数多くの便利なシステムがある中で、多くの会社で共通した恩恵を得られるのが経理ソフトです。ソフトを使わずに経理の仕事を進めるには、簿記の知識や経験が必要です。

台帳の使い分けなど細かな神経を使う作業が多く、決算期は忙しくてそれだけにかかりきりになるでしょう。

それが、ソフトを使うだけで以下のメリットを享受できます。

  • 簿記の知識が不要
  • 自動で必要な帳簿を作成し管理してくれる
  • 勘定科目も候補から探せる
  • 決算書類を自動で作成してくれる

これらは多くの経理ソフトに共通して搭載されている機能です。たとえば「弥生会計」なら、最もシンプルな「スタンダード版・セルフプラン」で48,000円です。削減できる時間と手間を考えれば、高くはないでしょう。

小さな会社であれば、経理社員を雇う必要もなく、社長一人で決算まで行えるかもしれません。

システム導入の目的は、あくまでも業務効率化

ただし、一点注意したいことがあります。

システム導入の目的は、あくまでも「業務の効率化」です。システムを活用することで、社員の手数が減らなければ意味がありません。

たとえば便利そうなソフトだからといって、デザインソフトやホームページ作成ソフトを導入しても、社員の手数は逆に増えるでしょう。

今まで広告代理店に頼っていた作業を社内で完結でき、大幅な予算削減になると思うかもしれません。しかし作成には膨大な時間が取られ、経験者以外は勉強も必要です。

しかもでき上がるものはプロには到底およびません。予算削減の目標だけは果たせても、業務の効率化からは逆に遠ざかります。

したがって、ソフトを導入するさいは、

  • 少しの操作を習得すれば誰でも操作できること
  • 業務量削減に確実に効果があること

の2点を強く意識しましょう。予算の削減はそれに付随する効果です。

さいごに

さいごに

会社で頻繁に対応を迫られるのが、現場社員から上げられる組織課題です。

しかし経営者が現場の抱える困難に気づけずに、社員が離職にまで追い込まれるパターンがよくあります。

社員が離職してから困難に気づくのでは、あまりにも遅すぎます。経営者が社員の困難に気づける仕組みを構築し、それをすくい上げなければなりません。

そのためには、面談やアンケートなど、社員が率直な意見を出せる場を設けます。何人かの社員から共通した不満が挙がるようなら、それがあなたの会社の「眼前の組織課題」です。解決策を考えましょう。

なお、面談やアンケートでも浮かび上がらない課題は、潜在されており、社員も認識できていない可能性があります。その場合は、目標や社員の働き、成果などすべてを数値化してみましょう。足りない要素が数値で可視化され、課題が浮かび上がるかもしれません。

社員が直面する困難の多くは、業務を適材適所で割り振れていないことに起因します。

この問題は、会社を一つのチームとして捉え、時間配分や役割分担を行うことで解決します。無駄にしていた時間がなくなり、効率的に業務を推進できるでしょう。

また、業務負担を減らすシステムの導入も効果的な方法です。経理ソフトなど大幅に作業時間を減らせるソフトがあります。負担軽減の大きな力になるでしょう。

私たちは放課後等デイサービスの運営をとおし、全国の教室から報告される困難を見聞きし、その対応策を提案してきました。その豊富な経験で、あなたが抱える困難を解決する手助けをします。

組織課題の解決にお困りの方は、DokTechにお気軽にご相談ください。今すぐ実行可能なアドバイスをいたします。

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【参考文献】

注1(参照:働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書|厚生労働省職業安定局

著者情報

DokTech編集部
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