わかりやすい操作マニュアルの作り方|初心者でも簡単に作成できるポイント
更新日:2023.9.3
投稿日:2022.9.5
マニュアルは作成後、従業員によって実務で活用され、社内へ浸透していくことが重要です。マニュアルの中でも、とくに操作マニュアルは、具体的でわかりやすい操作方法の説明が求められます。
業務マニュアルや規範マニュアルなどとは記載するべき内容が異なり、どうすれば使ってもらえるマニュアルに仕上げられるか、マニュアル作成者にとって悩みの種となりがちです。
操作マニュアルは、企業にとっては財産の一部です。人材研修や働きやすい職場づくりに欠かせません。この記事では、操作マニュアルの基本的な役割と、作成方法を6つのステップで紹介します。
操作マニュアルの作り方について、大切な6つのポイントをお伝えします。また社内で活かされるために心得ておきたい点も解説します。「操作マニュアルをはじめて作成する」「わかりやすい構成にできるか不安」という方は、ぜひご一読ください。
目次
操作マニュアルとは
操作マニュアルとは、機械や情報処理システムなどの操作方法をオペレーター(機械や器具の操作員)に説明するためのマニュアルです。
操作マニュアにより業務がはかどり、属人化リスクを防げる
オペレーターは、はじめて担当になった業務を行うときや、日々の仕事で操作手順の確認をするとき、トラブル発生時の対処方法を知りたいときに操作マニュアルを使用します。
このような場面で操作マニュアルが手元にあると、マニュアルを参照することによって、スムーズに作業をしたり問題を解決したりできるようになります。
さらに操作マニュアルを使うことで、新入社員や新任のオペレーターでも、熟練のオペレーターと同等レベルの作業が可能です。
企業にとっては業務の属人化を防げる上に、管理者などが質問を受ける時間も短縮されるメリットが期待できます。
また、マニュアルにはほかにも業務マニュアルや規範マニュアルなどさまざまな種類が存在します。まずは、操作マニュアルとほかのマニュアルの何が違うのかを比較解説します。
業務マニュアルとの違い
業務マニュアルでは、業務全体のイメージやフローに加え実際の作業手順を具体的に説明します。
また、業務マニュアルは社内教育や業務効率化を目的として作成され、組織改編や業務内容の変化に大きく影響されるため、更新頻度の高さが特徴です。
一方で操作マニュアルは、機械や情報処理システムなどの操作方法が記載されており、業務マニュアル内に組み込まれているケースが多々あります。
業務マニュアル内に「機械を起動する」作業がある場合、「機械を起動する」方法を具体的に説明するのが操作マニュアルです。
機械を起動するのに必要な一連の手順を操作マニュアルでは説明します。例えば、以下のような具合です。
①メインブレーカーをONにする
②機械内に原料が入ってないことを確認する
③機械の主電源をONにする、結果:青いランプが点灯し起動音が鳴る
また、操作マニュアルは、機械や情報処理システムに機能が追加されるときなどに更新されるため、業務マニュアルに比べ更新頻度が低い傾向にあります。
規範マニュアルとの違い
規範マニュアルは、企業理念や経営基本方針、社是・社訓、社員の行動規範などをまとめたものです。企業の方向性を定め、内部統制力を向上させるのに活用されます。
つまり、企業に所属する従業員向けに、考え方や行動に迷ったときの判断基準をマニュアル化したものです。また、各種法令や社内規定を盛り込む場合もあり、コンプライアンスマニュアルとしての役割も担います。
操作マニュアルとの違いは、作業方法ではなく考え方やルールを示すものであるため、具体的なフローなどではなく、抽象的な部分に特化しているという点です。
関連記事:マニュアルとは?手順書との違い・業務マニュアルの作成ポイントを紹介
わかりやすい操作マニュアルの作り方・6ステップ
操作マニュアルの作り方を6つのステップにまとめました。ステップごとに作成することで、見やすくわかりやすいマニュアルとなります。
- 作成する操作内容を決め対象者を設定する
- 全体の構成・デザインを決める
- 操作手順を洗い出す
- 手順ごとに説明文を記述する
- Q&A表を作成する
- 問い合わせ先を載せる
ここから具体的に解説していきます。
作成する操作内容を決め対象者を設定する
まずは、作成する操作内容を決めます。例えば、圧縮機やコンベヤの操作方法が挙げられます。
操作内容が決まったら、対象者(操作を担当するオペレーター)を設定します。
想定する対象者の理解度によって、使用する用語(専門用語の有無)や問い合わせ先(点検・保守会社や社員など)など、全体の構成が変わります。
操作マニュアルの読み手の理解度が低ければ、専門用語を減らし、問い合わせ先は現場リーダーにするなど、状況に適した配慮と工夫を実施します。
全体の構成・デザインを決める
次に全体の構成を決めます。対象者にとってわかりやすいものとなるよう、操作手順の詳細を組み立てる前に、全体を通してどのような構成(見出し)やレイアウトするかを検討しましょう。
フォーマット、書式、目次など大枠を固めておけば、あとは各項目の説明文を当てはめていくだけになります。
デザインの方向性やテイストも考えておくと後が楽に進みます。綿密な検討の上、全体の構成やレイアウトを組み立てましょう。
操作手順を洗い出す
操作手順を洗い出します。「スタートボタンを押す」「レバーを上げる」「操作台に材料をセットする」など、操作をする上で発生する手順をすべてまとめてください。
機械やシステムがきちんと作動するよう、手順は漏れなく記載する必要があります。
手順ごとに説明文を記述する
続いて操作手順ごとに説明文を記述していきます。説明文は、端的に伝えたいポイントを絞ります。一文を一つの動作に対応させると、手順が理解しやすくなります。
長文や複雑な表現が含まれると、読み手に誤解や迷いを与え、オペレーターがミスする要因となってしまいます。
また、1段落あたり3文程にし、操作が切り替わるごとに余白を入れるなど、視覚的に理解が進むようにする方法を取り入れましょう。
Q&A表を作成する
操作マニュアルは、はじめて業務を行うときや操作手順の確認およびトラブル発生時の対処方法などを知りたいときに使用されます。
特に、トラブル発生時は、オペレーターがすぐに対処方法を見つけられるようにしなければなりません。
よくあるトラブルは「Q&A表」を作成しておけば、すぐに対処方法を索引できるようになります。さらにオペレーター自身でトラブルを解決できるようになるでしょう。
Q&A表の内容が充実していれば、手待ち時間や社員への問い合わせに要する時間が短縮されるなど、企業にとって大きなメリットとなります。
問い合わせ先を載せる
説明文やQ&A表などを読んでも解決できないようなトラブルが発生するかもしれません。
このケースの対策として、操作マニュアルにはトラブル発生を担当者に報告するための問い合わせ先を記載しましょう。
問い合わせ先があれば、Q&A表を用いて解決できなかった際すぐに担当者へ報告できます。
これが、オペレーター向けのマニュアルであれば、問い合わせ先は社員(現場リーダーなど)となります。
社員向けのマニュアルであれば問い合わせ先が保守・点検会社となるかもしれません。状況に応じて使い分けましょう。
関連記事:見やすいマニュアルの作り方|構成・レイアウト・図表のポイントを簡単紹介
操作マニュアルを管理・作成するためのツール
管理マニュアルを管理・作成する際におすすめのツールを3つ厳選しました。
- iTutor
- Teachme Biz
- WZLecture
それぞれの概要や特徴、強みを解説します。
iTutor
iTutorは、導入企業数1,800社にのぼるマニュアル作成ツールです。
マニュアル化したい内容と同じ操作をPCの画面上でおこなえば、操作内容が自動でスライド化されます。
作成されたスライドに文字を入れたり、レイアウトを調節したりするだけで簡単にマニュアルが完成する仕組みです。
動画マニュアルの作成にも対応しており、動画を取り込んで編集すればドキュメントやHTML5での出力も可能です。
パワーポイントに近い操作画面で、ツール使用者が感覚的に操作しやすいように設計されています。マニュアル作成にかかる時間を大幅に短縮できる点がiTutorの強みです。
主なプラン | 料金 |
スタンダードエディション | 495,000円~ |
プロフェッショナルエディション | 660,000円~ |
Teachme Biz
Teachme Bizは、2022年度マニュアル作成支援市場売上No.1のマニュアル作成・共有ツールです。
マニュアル作成のテンプレートを完備しています。テンプレートに画像と文字を入れるだけで作成できる手軽さが特徴です。
作成したマニュアルはステップ(1段階ずつ手順が表示される)構造になっており、内容の変更も容易です。16種類の言語に自動翻訳もできます。
PDF出力やQRコードでの共有、タスク配信にも対応しています。アクセスログ解析でマニュアルの浸透状況を確認できるのも強みです。
作成したマニュアルを組み合わせてコースを作成できるため、従業員研修にも活用できます。
マニュアルの検索機能も便利です。マニュアルをフォルダで分別管理できる機能や、キーワード検索できる機能が備わっており、探しているマニュアルをスムーズに見つけられます。
主なプラン | 料金例 |
スタータープラン | 月額59,800円 |
ベーシックプラン | 月額119,800円 |
EZLecture
EZLectureは、動画マニュアル、操作マニュアルが簡単につくれるツールです。動画やドキュメント出力に対応しています。
4つの学習モード(オートデモ、チュートリアル、プラクティス、テスト)のマニュアルが同時作成できるのも特徴です。
チュートリアルやオートデモ、確認度テストなど、対話型のコンテンツが内製により作成できます。
月額料金制ではなく、ライセンス買い切り型です。購入後のアフターフォローも受けられます。
複数のPCで作成したい場合は、PC台数に応じたライセンスの購入が必要です。
主なプラン | 料金例 |
1ライセンス | 350,000円(税別) |
3ライセンス | 840,000円(税別) |
操作マニュアルを作成する6つのポイント
操作マニュアル作成に向けて心得ておきたい以下6つのポイントがあります。
- 目次を設定する
- 目的別に分ける
- 操作方法と結果を分けて記述する
- 一文は短くシンプルにする
- 図表・イラストを挿入する
- 不要な操作を載せない
操作マニュアルを作成後、社内で活用されなければ意味がありません。操作マニュアルを作成することで、十分な効果を得られるようポイントを確実に抑えておきましょう。
目次を設定する
目次にはすべての見出しを入れましょう。操作マニュアルの内容が充実していても、知りたい内容が見つからなければ使う気にはなりません。
目次を設定すると、知りたい内容が記載されたページ数がすぐにわかるため、読み手にとっては嬉しい限りです。
マニュアルを使うタイミングは「不明点があり対処方法をすぐに知りたい」ときです。知りたいことが、目次からすぐに見つかるようなレイアウトを心がけてください。
目的別に分ける
マニュアルの説明文は「目的別」に分ける書き方がおすすめです。ここでは、情報処理システムにおける在庫情報管理の操作方法を例に挙げます。
例えば、「在庫情報」というボタンがある場合、「在庫情報ボタン」を押してから起こるメニューの説明を一つずつ行うのではなく、目的別に操作方法を説明します。
つまり、「在庫数を変更する」「新しい商品を在庫登録する」などの見出しを並べて、それぞれに説明を記載するイメージです。
マニュアル作成者は、機器やシステムの機能に捉われてしまいがちで、機能の流れで説明を記載する傾向があります。
あくまでも、読み手が求める目的に沿う形で説明を組み立て、わかりやすい操作マニュアルを作成しましょう。
操作方法と結果を分けて記述する
はじめて機械を操作するオペレーターは、「操作した結果が正しかった」のかがわからないと不安になってしまいます。
そのため、操作方法と結果をセットで記載した上で、見やすくするために、両者を分けて記載する方法がおすすめです。
例えば、圧縮機で対象物を圧縮する操作の場合は以下のように組みあわせて記載します。
<操作方法>
対象物を①にセットし、②のレバーを下げ、③のボタンを押す
<結果>
④のプレス部材が降下し、対象物を圧縮する
説明は、簡潔にわかりやすくし、読み手が操作方法を理解するのに必要だと思われる情報のみ記載するようにしましょう。
一文は短くシンプルにする
一文が60文字以上になると読み手に敬遠されてしまうため、一文50文字以内を心がけ、シンプルな表現を目指しましょう。
説明文を作成する中で、どうしても一文が長くなってしまうことがありますが、そういった場合は項目別に箇条書きする方法をおすすめします。
すると、項目ごとに操作方法を記述できるため、一つひとつの操作をシンプルな文でわかりやすく説明できるでしょう。
わかりやすい説明文は読み手の理解度向上につながり、質の高い操作マニュアルの実現へと導きます。
図表・イラストを挿入する
必要に応じて図表・イラストや写真などを挿入し読み手の視覚に訴えましょう。
なぜなら、図表・イラストは文字に比べ一目で得られる情報量が多く理解度が深まるからです。
特に機械や情報処理システムの操作方法は、実際の取り扱い方などを図や写真を用いて示したほうが読み手の理解が深まります。
また、電子版の操作マニュアルであれば、アイコンをタップすることで解説動画や作業イメージの映像が流れるなどの工夫ができます。
動画は、一連の流れを動きつきで確認できる上に、理解できなかった部分は巻き戻しができるので非常に有効なツールです。
不要な操作を載せない
機械や情報処理システムの操作マニュアルを作成する上で、すべての操作をマニュアルに載せる必要はありません。不要な操作の記載は不要です。
情報が多すぎると、視線が多くなり読み手に迷いが生じることで、本当に必要な情報が頭に入らない可能性があります。
したがって、「読み手にとって本当に必要な情報(求められる結果を得るための操作なのか)なのかどうか」を考えてから作成し、リリースをしましょう。
フランチャイズ(FC)ビジネスにおけるマニュアルの重要性
フランチャイズ(FC)ビジネスの運用をする上でマニュアルは不可欠です。加盟店(フランチャイジー)の誰が見ても意味を理解できるような内容であることが欠かせません。
フランチャイズ加盟者は、フランチャイズビジネスにおいて、その業界の未経験であることも珍しくありません。
ビジネスを成功させるためにロイヤリティを支払い、機械や情報処理ステムの操作方法を記した操作マニュアルを含むさまざまなマニュアルを手に入れます。
マニュアルなどを提供する対価としてロイヤリティを受け取るのですから、フランチャイズ事業本部は、フランチャイズオーナーから加盟して失敗したと思われないためにも、その重要性を理解し高品質なマニュアルを作成しましょう。
操作マニュアルの重要性
フランチャイズ(FC)ビジネスにおいて、操作マニュアルが占める重要性は高いとされます。
なぜなら、コンビニや飲食店には、会計システムや在庫システム、レジやハンディなど操作方法がわからないと仕事にならない機器が溢れているからです。
従業員は店長やほかのスタッフに毎回操作方法を聞くわけにもいかないため、操作マニュアルを参考にして作業します。
操作マニュアルはフランチャイズ(FC)ビジネスで業務を進める上で欠かせません。
したがって、フランチャイズ(FC)ビジネスへの参入を検討している方は、操作マニュアルが充実しているかどうかも検討材料にすべきでしょう。
マニュアルを活用する
フランチャイズ(FC)ビジネスにおいてわかりやすいマニュアルを作成しておけば、加盟店に対する導入教育や研修およびスムーズな立ち上げなどで効果を発揮します。
フランチャイズ(FC)ビジネスでは、ノウハウや商標権の使用に対してロイヤリティが発生しますが、マニュアルもその一部です。
加盟店が働きやすい環境は、結果として事業本部の利益向上につながるため、現場(飲食店や販売店など)で活用しやすいマニュアルを作成し、双方にメリットを生み出す関係を目指しましょう。
まとめ
操作マニュアルは、業務マニュアルや規範マニュアルなどと異なり、一つひとつの操作による結果が記され、手順通り進めることで確実に「正解(機械の正常動作など)」へと導くものです。
しかし、閲覧頻度や更新頻度が少ないことから、その重要性の割に優先度が低くなる傾向があります。わかりやすい操作マニュアルの作成は企業にとって目の届きにくい課題といえます。
だからこそ本記事で解説した「心得ておきたいポイント」を参考に、わかりやすい操作マニュアルを作成し、「初期教育の充実」や「機械操作などの属人化防止」を目指しましょう。
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著者情報
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