多店舗展開のデメリットを解決し最適な時期に出店する方法

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多店舗展開のデメリットを解決し最適な時期に出店する方法

更新日更新日:2023.10.3

公開日投稿日:2022.11.23

今回は、複数の店舗を展開していく「多店舗展開」をテーマに、シリーズで記事をお届けします。

現在、多店舗展開に興味はあるものの、

・経営上のメリット・デメリットがわからない
・出店すべきタイミングが掴めない

などの理由で二の足を踏んでいる経営者の方も多いのではないでしょうか。

適切な時期に多店舗展開を行えば、広いエリアで新規顧客を獲得でき、認知度が向上します。会社の名前と良い評判が広まり、会社全体の売上向上も見込めるでしょう。

一方で、時期を誤り前のめりに出店してしまうと、費用ばかりがかさんで経営を圧迫しかねません。多店舗展開どころか、既存店舗もろとも倒産の危機に瀕する可能性があります。

したがって、多店舗展開を考えるなら、メリット・デメリットと出店の基準を知ることが大切です。知識をつけ、自社に適切な時期を見極め出店すれば、成功の確率が上がります。

そこで2回にわけ、多店舗展開のノウハウを以下の流れでご説明します。

<本稿の内容>
①多店舗展開のデメリット
②多店舗展開を行う判断基準

<次稿の内容>
③多店舗展開で享受できるメリット

この順で説明するのには理由があります。

メリットだけを知り多店舗展開に取り組んでしまうと、失敗する可能性が高くなります。デメリットとそれを解決する方法を理解し、適切な出店時期を判断してこそ、成功を収められます。メリットを享受できるのはそれからです。

したがって、多店舗展開の手法を理解するには、本稿からお読みいただき、次稿の『事業拡大を加速させる多店舗展開のノウハウ』に移っていただくのが適切です。

説明を裏付けるのは、私たちDokTechの運営元である「こどもプラスホールディングス」の経験と実績です。

弊社は放課後等デイサービスのフランチャイズ事業本部として、多数の加盟店様の多店舗展開を支援してきました。そのすべてが経営に成功し、利益率が30%に迫る事業所も珍しくありません。

多店舗展開にさいしては、本部所属の運営アドバイザーであるスーパーヴァイザー(巡回専門員)」が、各加盟店の経営状況を見極め、適切な時期と手法をアドバイスしています。

そのノウハウをもとに、多店舗展開を目指す皆様へ最適な手法をお伝えします。
注意点を知り、出店時期を判断する材料にしていただけます。

目次

最初に知っておきたい多店舗展開のデメリットと解決法

1.最初に知っておきたい多店舗展開のデメリットと解決法

「知らない土地に出店してうまくいくものなの?」

「多額の資金がかかるぶん、リスクのほうが大きいのでは?」

などの声をよく耳にします。

これらの疑問はもっともで、多店舗展開には経営を脅かしかねないデメリットがあります。

しかし、デメリットは「どうにもならないもの」ではありません。解決する対策がとれ、取り組み次第ではメリットに変化させることさえできます。

まずはしっかりとデメリットの内容を理解し、それを解決できることを確認しましょう。

必要コストの増加

新店舗出店には、既存店舗と同様に以下の費用がかかります。

<新店舗出店にかかる費用>・保証金(敷金)・店舗改装費・機械設備費用・家賃・水道光熱費・人件費・広告宣伝費・当面の運転資金 など

既存店舗よりも家賃が高い地域に出店する場合、開業時以上の費用を準備しなければなりません。

とくに飲食店の出店では、保証金が家賃の6〜10ヶ月分に設定されていることが多く、家賃の違いが大きく影響します。

もしも家賃が10万円高い地域に進出するとすれば、保証金だけで60万円〜100万円が余分にかかります。開業時に700万円かかると、合計800万円ほどが必要です。

広告宣伝費と運転資金は少なく見積れる

ただし、既存店舗と商圏が重なるエリアに出店する場合は、以下の費用は開業時より少なく見積もれます。

  • 広告宣伝費
  • 運転資金

これは既存店舗で培った知名度や人気を活かせるためです。新店舗出店時に、一度広告を打つだけで集客できる可能性もあります。

事業を軌道に乗せやすいため、「知らない土地」に出店するときほど運転資金もかかりません。

経営状態に余裕があり、新店舗出店に必要な資金をすぐに用意できるなら、コストに頭を悩まさずに済みます。しかし自社の資金が不足している場合、金融機関からの融資など資金調達の対策が必要です。

多店舗展開を焦るあまり、資金に余裕がない状態で出店すると、大きなリスクを背負い込みます。

新店舗が予定どおり軌道に乗らない場合、資金繰りが悪化し、既存店舗もろとも経営難に陥る可能性があるのです。資金が潤沢になるまで、出店は見送るべきでしょう。

甘い予測を立てず、会社のキャッシュフローの状況をしっかりと把握した上で、資金計画を練ることが大切です。

新たな出店先での集客が難しい

「新しい土地で自社の力を試したい」と既存店舗から離れた場所での新店舗出店を考えている方もいらっしゃるでしょう。

その意気込みがある方は営業や集客のノウハウを確立し、自信があるからこそ挑戦するのだと推測できます。しかし、以下のリスクは覚悟しておかなければなりません。

  • 商圏が変化することで、培ったブランド力が通用しない
  • 顧客の開拓を一から行うことになる
  • 地域性の違いにより、既存店舗と同じ商品展開、販売方法ではうまくいかないことがある

これらの現実を直視せず出店すると、「こんなはずじゃなかった」と苦汁をなめることになります。

知らない土地への出店は、市場リサーチ(※1)をしっかりと行い、自社が成功する確証が持ててから進めるべきです。

既存店と商圏の重なるエリアでの出店がおすすめ

新しい地域で店舗を立ち上げるリスクを避けたければ、既存店と商圏の重なるエリアでの出店をおすすめします。

近隣から徐々に店舗網を拡張し、最終的に「知らない土地」まで規模を広げればよいのです。

近隣での出店なら、既存店舗が培ったブランド力や信用を活かせます。

「同じ店がこっちにもできてより便利になった」

とお客さんに好意的に受け取ってもらえるでしょう。
※1)市場リサーチの具体的な手法は『儲かるエリアと競合他社のリサーチ方法|開業前の調査が経営の成否をわける』で解説しています。商圏が異なるエリアに出店する場合、正確なリサーチが出店の成否をわけます。こちらの記事が大きく役立ちます。

近隣エリアで多店舗展開を行った成功例

私たちも放課後等デイサービス「こどもプラス」の運営で、商圏が重なるエリアから多店舗展開に取り組んでいます。

たとえば茨城県つくば市の直営教室では、同じエリアで出店を続けた結果、つくば市内で6教室を展開するに至りました。

放課後等デイサービスの場合、児童福祉法で定められた定員が存在するため、一つの教室が満員になると、利用できない児童が出てしまいます。

その受け入れ先という「確実な需要」があるため、多店舗展開がしやすい業種です。

教室が増えたおかげで、

  • 各教室に対象年齢を設けられる
  • 教室ごとに違ったサービスで役割をわける

などの特色を打ち出すことができ、それがさらなる利用者の増加に繋がりました。

1店舗ごとに役割を分担する大切さ

実は近隣に出店する最大のメリットは、この「役割分担」です。

新店舗が既存店の単なる「コピー」だと、共喰いのリスクが生じます。会社全体の顧客数が変わらないまま、既存店舗の顧客が新店舗に分散してしまうと、結果として新店舗が既存店舗の顧客を奪った形にしかなりません。新店舗を出したのなら、会社全体の顧客数は増えなければならないのです。

これを避けるには、弊社の事例のように各店舗に独自の特色を持たせると良いでしょう。

たとえば同じ喫茶店をつくるにしても、

  • 既存店はコーヒーやケーキの種類が豊富
  • 新店舗はランチメニューを充実させる

など差別化を図れば、「お茶」なら既存店、「ランチ」なら新店舗と利用者が使い分けできます。地域のニーズをとらえて差別化をすれば、各店舗の評判が上がり、会社全体の利益も大きくなるでしょう。

業務管理が大変になる

多店舗展開を行うと、大変になるのが業務管理です。複数店舗を経営するには、会計管理や販売管理をまとめる体制が必要です。経営の全体像が見えないまま店舗ごとに業務管理を任せると、

  • 手元のお金(小口現金など)を使いすぎる
  • 必要以上に材料を発注する
  • 会社全体での在庫がわからない

など、さまざまな問題が生じます。

この対策として、社内に管理部門をつくり、本部機能を持たせることをおすすめします。全体の統括を本部が責任を持って行う方式です。

業務を取りまとめる本部があることで、従業員にとっては仕事の流れがわかりやすくなります。発注ミスや経理上の問題などは起こらなくなるでしょう。

人材確保に手間とコストがかかる

新店舗を出すには、店舗を回せるだけの従業員数を確保しなければなりません、新たに求人を出し、採用活動を進めるのは大変です。

実は、この問題も出店先を既存店舗の近隣エリアに絞ることで解決します。近隣であれば、現有の職員が行き来する形で仕事を回せるからです。

シフトの組み方を工夫し、それでも人材が足りなければ、新たな職員を雇用します(※2)。

限られた人数で多店舗を運営する事例

「こどもプラス」でも、既存職員で複数教室を回せる体制を構築しています。

プログラミングなど専門性を有する指導科目の提供日を、教室ごとにずらして設定しているのです。指導可能な職員が教室間を行き来することで、限られた人数でも複数教室を運営できます。

これには職員をそれぞれの適性にあわせ配置できる利点もあります。プログラミングが得意な職員は、ある程度その指導に特化できます。

利用者にはより質の高いサービスが提供できる一方、職員のモチベーションアップにも繋がります。

※2)シフトの組み方で対処ができない場合は、職員の採用活動に着手します。採用活動の成果は、新店舗の経営に大きく影響します。

採用活動の円滑な進め方は、『無料求人広告で安定的に人材を確保する裏技&適切な人材配置の方法』でご案内しています。こちらを読むことで、失敗を避けられます。

多店舗展開を行う判断基準

2.多店舗展開を行う判断基準

多店舗展開で成功するには、デメリットを打ち消す対策を練った上で、適切な時期を判断します。

新店舗出店を判断する鍵は3つあります。

  • 余裕のある資金
  • ブランディングの成功
  • 職員への十分な社員教育

です。

3つの条件を満たしたときが、新店舗出店の適時だと考えると良いでしょう。

このうち、「資金」については1章でお伝えしたとおりです。資金調達がうまく行えないうちは、出店を見送るべきです。

「ブランディングの成功」と「職員への社員教育」も条件を満たさない限り、出店を安易に進めるべきではありません。

本章で詳細を説明します。

既存店舗で十分な実績をつくる

私たちは多店舗展開を「これまでの実績の延長線上にあるもの」と考えます。既存店舗で十分に実績をあげ、その評判と信頼を利用し店舗網を拡大するのです。

そのため、既存店舗で十分な顧客を獲得し、安定的な売上が見込めない限りは多店舗展開を行いません。

さらに言えば、既存店舗の利用者が増え、顧客の利便性に不足が出るまで待てば、成功の可能性がより高くなります。

たとえば飲食店なら、

  • 食事やサービスへの高い評価が得られており、多数の固定客がいる
  • 「とんかつと言えばこの店!」など、ブランドイメージが確立されている
  • 曜日に限らず常に行列ができる

などが判断基準です。この状態で、商圏が重なるエリアに新店舗を出せば成功するでしょう。行列が常態化しているならば、顧客にとって新店舗は大歓迎です。

なお、店舗の効果的なブランディング方法は『効果的なブランディングとは?顧客に選ばれ続ける会社の実践的なつくり方』で説明しています。人気店をつくり上げる具体的な手法を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

弊社は「定員の半数を毎日満たせる状態」が判断基準

私たちが運営する放課後等デイサービスでも、利用者の利便性の不足を、多店舗展開の判断材料にしています。

放課後等デイサービスでは、多くの教室の定員は10名です。それを超える児童は原則受け入れできません。

受け入れられなかった児童はほかの事業所に流れ、ビジネスチャンスを失います。なにより「預かりにより保護者を支援する」職務が果たせません。

したがって、私たちは定員の半分の人数を毎日満たせる状態になったら、新店舗の出店を計画します。その状態であれば、近隣エリアで教室の名前が十分に認知されており、良い評判も聞かれるようになります。成功の公算が大きいのです。

現場社員に経営者的な視点が育つ

「2店舗目も自分で管理すればいい」

そう思っている経営者の方もいらっしゃるでしょう。とくに既存店の経営に自信がある場合は、多店舗展開してもうまくいくと思いがちです。

しかし多店舗展開を推進するほどに、経営者のワンマンでは回らなくなります。あなたの右腕となる管理職員を育て、「店長」として運営全般を任せられる体制が必要です。

店長候補を育成するには、社員教育を徹底します。「労働者」としての視点だけでなく、経営側の視点で業務全体を見る目を培います。

  • 自分が携わる仕事はどのようなビジョンを持つのか
  • なにを目的に目の前の仕事をするのか
  • 自分の働きで会社はどのような利益を得るのか

などを普段から意識づけることで、経営を自分の問題として捉え、自ら会社を回していく意識が芽生えます。極端な言い方ですが、社長に比肩する社員が何人も並んでこそ、多店舗展開は成功します。

もしもあなたの会社に人材育成のシステムがないのなら、まずはその構築に努めるべきです。

さいごに

さいごに

新店舗を出店するさいには、以下の2点を意識します。

  • デメリットを理解しそれを解決すること
  • 出店に最適な時期を理解すること

多店舗展開のデメリットと、その対策は次のとおりです。

デメリット①必要コストが増加する

有効な対策:会社のキャッシュフローを把握し、入念に資金計画を練ること。新店舗出店後に手元にお金が残らない状況なら、出店を取りやめる。

デメリット②新たな出店先での集客が困難

有効な対策:既存店舗の商圏エリア内に出店することで、培った評判やブランド力を活用できる。自社店舗で顧客を奪い合わないよう、店舗ごとに特色を出す。

デメリット③業務管理が困難

有効な対策:管理部門を設立し、一括して管理できる仕組みを構築する

デメリット④人材確保が困難

有効な対策:近隣エリアでの出店ならば、職員の融通が可能。シフトの組み方を工夫し、適性にあわせ職員を配置する。

これらの対策を実践し、デメリットを打ち消した上で新店舗出店の準備を進めましょう。

なお、新店舗出店を判断する目安は、

  • 余裕のある資金
  • 既存店舗のブランディング
  • 職員への十分な社員教育

のすべてを満たしたときです。このうち一つでも欠けると、リスクが大きいため出店をおすすめしません。自社の状況を見極め、出店に踏み切りましょう。

なお、出店後に享受できるメリットと、成功のポイントは『多店舗展開のメリットを最大限に活かした経営手法と具体的な実行方法』でご説明します。本稿とあわせてご覧ください。

私たちは、フランチャイズ事業本部として、多数の加盟店様の多店舗展開を支援し成功に導いてきました。そのノウハウをもとに、多店舗展開を目指す皆様の力になります。

業種に応じた具体的な施策をアドバイスしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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DokTech編集部
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