ペット関連の市場規模は伸び続けており、2024年には1兆8,000億円に達すると見られています。コロナ禍で多くの業界が苦戦を強いられる状況でも、ペット業界は堅調な伸びを維持しました。
儲かるビジネスを探しているなら、ペットビジネスはぜひチェックしておきたい業界です。
本記事では飼っている柴犬を愛してやまない筆者が、「思わず財布の紐を緩めたくなるサービス」と感じるビジネスを紹介します。
儲かるペットビジネスを見つけるポイントや、生体相手だからこそ難しいペットビジネスを成功させる秘訣もまとめました。
ペットオーナーの気持ちに寄り添い、必要とされるビジネスを見つけるヒントとしてご活用ください。
ペット関連ビジネスの市場規模は巨大です。競合が多いため闇雲に参入しても儲けられません。儲かるペットビジネスを見つけるには、ここで解説する3つのポイントに注目してください。
一般的にペットの飼育にかかる費用は、犬が15万~35万円・猫が10万~17万円(いずれも年間)といわれます。
(参考:【2021最新版】ペットにかける年間支出調査 |ニュースリリース
一般社団法人ペットフード協会「令和2年(2020年)全国犬猫飼育実態調査」)
ところが資金に余裕のある富裕層には、桁違いの費用をペットにかける人がいます。以下は、富裕層向けに提供されているペット向けサービスの一例です。
- ペット専用部屋へのリフォーム
- オーダーメイドのペット用高級家具・ベッド
- ブランドものの首輪やリード、洋服
- ペット用エステ
- マンツーマンのしつけトレーニング
世界の富裕層が集まるニューヨークでは、犬の散歩ビジネスで「時給1万円」「年収1,000万円以上」を稼ぐ人もいます。
儲かるビジネスを始めたいなら、リターンを得やすい富裕層をターゲットにするのが近道です。
ペットを大切な「うちの子」と位置付ける富裕層の思いに応えるサービスを考えてみましょう。ペットにとっての快適な暮らしや飼い主の安心、健康・長寿を叶えるサービスなどが歓迎されます。
儲け(利益)は、売上高から経費を差し引いた残りです。売上に占める利益の割合を利益率といい、利益率の高さは儲かるビジネスに欠かせない条件です。
利益率を上げるには、経費の最小化が重要です。「それならば経費(人件費)節約のため個人でペットビジネスを始めればよい」かといえば、そうではない点が難しいところです。
個人でも開業できるペットシッターやトリミングサロンでは、確かに人件費は節約できます。しかし、遠からず売上が伸び悩むでしょう。
ペットシッターやトリミングサロンは「単価×頭数」で売上が決まるにもかかわらず、個人営業では一日に手掛けられる頭数に限界があるためです。
「経費は最小に」「売上は大きく」、この2点を両立できるビジネスを探すよう心がけてください。
儲け続けたいなら、リピート利用が見込めるビジネスを選ぶことは必須です。
買い切り型の商品・サービスでは常に新規顧客を開拓し続けなければなりません。営業活動のための広告宣伝費や人件費が売上を圧迫し続け、儲かる状態とは程遠くなってしまいます。
反対にリピート客が多いと、利用者を新規開拓する広告宣伝費用を節約できます。自分とスタッフのリソース(人的資源)を販促活動以外に割り当て、事業拡大も可能になるでしょう。
ペットビジネスで儲けたいなら、「いつも必要・いつもお願いしたい」と思ってもらえるサービスであるかも検討しましょう。サブスクリプション型の配送サービスや、定期的に必要になるケアなどがビジネスのヒントになります。
関連記事:ペットビジネスのアイデア10選|アイデアを考える際のポイントは?
ここからはサービスのバリエーションが多い犬を中心に、儲かるペットビジネスを厳選して5つ紹介します。
- 犬の幼稚園・保育園
- 手作りフレッシュフードの配送
- ペットシッターマッチングサービス
- ペット可賃貸物件の経営
- ペット整体
儲かるペットビジネスは、飼い主が思わず利用したくなる・財布を開きたくなるサービスであることが大切です。
犬の幼稚園・保育園とは、犬のしつけや社会化をサポートするサービスです。犬を預かる設備があるメリットを活かし、ドッグホテルやトリミングを同時に手掛ける店舗もあります。
犬の幼稚園・保育園は、都市部での室内飼いが増えるにつれ拡大しています。「無駄吠えしないように」「トイレをきちんとできるように」しつけてほしい、とのニーズがあるためです。
東京都のある犬の保育園運営業者の売上高を見ると、2009年の7,800万円から2021年には2億7,000万円と拡大しています。市場には実際に堅調なニーズがあるとわかる事例ではないでしょうか。
<犬の幼稚園・保育園開業の要件>犬の幼稚園・保育園の開業には「改正動物の愛護及び管理に関する法律」の基準を満たすスペースが必要です。
また犬の訓練や預かりには都道府県への「動物取扱業」の届け出と「動物取扱責任者」の登録が必要です。 |
(参考:令和3年6月1日より施行される改正動物の愛護及び管理に関する法律のお知らせ|東京都
第一種動物取扱業者の規制 [動物の愛護と適切な管理]|環境省 )
ペットを家族の一員と考え、「大切なペットにおいしい食事を与えたい」「健康に良い自然素材のフードを与えたい」と考える飼い主が増えてきました。
室内飼いのペットが増え、人の食事のおいしそうなにおいに慣れたペットが、ドライフードを好まなくなるケースも見られます。
そのようなニーズに応える手作りフレッシュフード市場が、いま伸びています。「うちの子専用」にオーダーメイドのフレッシュフード配送サービスも登場しました。
ペットの健康をつくる食事に配慮するトレンドは続くと見られ、富裕層だけでなく一般の飼い主からの需要も期待できます。
<ペット用フレッシュフード配送開業の要件>ペットの食に関する知識とフードを加工する場所(提携工場)は必須です。
またフードの品質に監修を与えてくれる獣医師がいると、信頼の裏付けとなります。 |
いつも一緒にいる大切なペットだからこそ、留守を預けるペットシッターは本当に信頼できる人であってほしいと、飼い主は思います。
そのような飼い主の不安を解消するビジネスとして、ペットシッターマッチングサービスはいかがでしょうか。
マッチングサービスのメリットは、サービスの基盤ができればペットシッター以外にも対象を広げやすい点です。ペットサロンや獣医、散歩代行とのマッチングなどアイディア次第で稼げるチャンスを広げられます。
またマッチングサービスは店舗を構えずとも開業でき、スタッフ人件費も最小で済む点も儲けやすい理由です。ユーザーへの認知拡大と、提携サービス探しをクリアできれば高い利益率が期待できます。
賃貸でもペットを飼いたいとの借主のニーズは根強く、物件を「ペット可」にした途端に満室になったとの事例もあります。「エントランスに犬の足洗い水栓あり」「猫専用物件」など付加価値をつけやすい点も、ペット可賃貸物件の特徴です。
ペット可の賃貸物件を経営し、家賃収入で儲けるペットビジネスもおすすめです。
賃貸物件の経営では、つぎの2点が課題になります。
- 初期費用がかかる(物件取得、ペット用に改装 など)
- 入居者同士のトラブル対応(鳴き声、衛生面、建物損傷 など)
「建具の硬度にこだわる」「定期借家契約にし、敷金は償却にする」など、想定できるトラブルを回避する事前策を立てておきましょう。
ペットの長寿化が進み、ペットの健康に対する意識が高まっています。
「できるだけ健康に良いケアをしてあげたい」「関節や筋肉の衰えを遅らせたい」などのニーズに応えるサービスが、ペット整体です。
ペット整体はペットの筋肉や関節のバランスを整え、正常な骨格状態に近づけて健康増進を図ります。
また整体院に有料のドッグランを併設すれば、ペットに運動機会を提供しつつ売上を上げられます。「健康」のイメージを共有できる散歩代行との相性も良く、多角的な経営も可能です。
<ペット整体開業の要件>整体を施術できる人が必要です。オーナー自身がペット整体を学ぶか、施術できるスタッフを雇用しましょう。
開業までに、都道府県に「第一種動物取扱業」開業の届出と「動物取扱責任者」の任命が必要です。 |
(参考:動物取扱責任者の資格要件について|さいたま市)
フランチャイズとは、加盟金とロイヤリティを支払ってフランチャイズ本部が持つブランド力や看板、運営ノウハウを利用できるビジネスモデルです。
ペットビジネス業界でも、さまざまなサービスがフランチャイズで展開されています。
これからペットビジネスを始めるなら、フランチャイズの利用がおすすめです。その理由と、稼ぎやすいビジネスを解説します。
関連記事:フランチャイズ店とは?チェーン店や直営店の違いとあわせて解説
ペットビジネスは、生体を扱います。
飼い主のなかには、我が子以上の愛情をペットに注ぐ人もおり、中途半端なかかわり方は信頼を失墜させます。
またペットビジネスでは、ペット専用の機材・材料の調達が欠かせません。人間用と異なり、独自のルートで仕入れる必要があるものもあります。
これら開業に必要な準備を自分だけの力で進めるのは至難の技でしょう。
ぜひ、成功に必要なノウハウを持つフランチャイズビジネスの利用を検討してみてください。
ペットビジネス業界で展開されているフランチャイズのなかでも、おすすめのビジネスをつぎの項目で紹介します。
関連記事:フランチャイズのビジネスモデル・5つのタイプと失敗しない選び方を紹介
フランチャイズのペットビジネスのなかから、編集部のおすすめを厳選して3つ紹介します。
- ペットシッター
- ペットトリミング
- ペット葬儀・霊園
事業内容や開業資金の目安や将来性など、開業に必要な情報をチェックしてみてください。
ペットシッターは、留守中の飼い主に代わってペットのお世話をする仕事です。
依頼者の自宅に行きサービスを提供するため、店舗や事務所を構える必要はありません。開業にかかる初期費用を抑えたい人に向いています。
ペットシッターと同時に「ペットの散歩代行」「依頼者の家事代行」も請け負い、売上単価を上げ儲ける方法もあります。
ペットシッターの公的な資格はありません。ただし、都道府県に「第一種動物取扱業」の届出と「動物取扱責任者」の選任が必要です。
トリミングは犬の毛をカットし整えるサービスです。シャンプーや爪切りも行います。皮膚や被毛の健康や美しさの維持に欠かせない作業です。
おすすめの開業場所は、つぎの2つです。
形態 | 場所 | メリット |
店舗型 | 大型スーパー・ショッピングモール内に開設 | ・買い物ついでの利用を見込める ・認知されやすく集客に有利 |
移動型 | サービスカーで依頼者宅を訪問 | ・店舗まで連れて行けない潜在顧客を発掘できる ・エリアを問わず開業できる |
競争の激しい地域では、他店との差別化も重要になります。「トリミング中のペットの表情を写真に納め、飼い主にプレゼントする」「犬種に合ったフードや用品を販売する」など、付加価値を高める工夫を取り入れてみましょう。
トリミングサロンの開業は、都道府県に「第一種動物取扱業」の届出と「動物取扱責任者」の選任が必要です。
いまや人間並みに大切にされるペットも珍しくなくなりました。ただ、ペットとの別れはいつかやってきます。
「大切なペットを最後まで丁寧に見送りたい」との飼い主のニーズに応えるのが、ペット葬儀・ペット霊園です。
ペット葬儀・ペット霊園は自然散骨や樹木葬、専用のカプセルで携帯などさまざまなサービスで飼い主の気持ちに寄り添います。
フランチャイズで開業すれば、どのようなサービスが喜ばれるのかもすべて教えてもらえます。
火葬をはじめとするペットの見送り方に関しては、国および地方自治体が条例を制定する動きがあります。常に最新の情報をキャッチアップできるよう、信頼できるフランチャイズ本部を探しましょう。
(参考:業種追加の検討「動物の死体火葬・埋葬業者」について|環境省
ペット霊園規制条例 | 法制執務支援 | 条例の動き | RILG 一般財団法人 地方自治研究機構)
日本では、犬猫の飼育頭数が子どもの人口を超えています。またペットを単なる飼育動物ではなく、人生のパートナーや生きがいと考える人も増えてきました。
ペットに対する飼い主の意識変化は、ビジネスチャンスでもあります。
「うちの子をもっと大切にしてあげたい」「うちの子をもっと元気に、かわいくしてあげたい」との飼い主の気持ちに応えるサービスを考えてみましょう。これまでになかった斬新なサービスを思いつくかもしれません。
生体を取り扱うペットビジネスの開業には、専門知識と技術が必要です。
すべてを自力で準備するのは時間がかかるでしょう。開業・運営ノウハウがあるフランチャイズビジネスの利用も前向きに検討してみてください。
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