田舎で儲かるビジネス8選|地方で商売をするメリットと注意点
更新日:2023.7.17
投稿日:2023.5.3
目次
リモートワークが普及し、ビジネスの地域格差がなくなりつつある現代では、田舎に関心を寄せる人が増えています。内閣府の調査では「東京圏在住者の49.8%が、地方での暮らしに関心がある」との結果がでています。
(参考:移住等の増加に向けた広報戦略の立案・実施のための調査事業 報告書|内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局)
しかし田舎でビジネスをと本気で考えたとき、「自分にできるのか」「儲かるのか」「田舎に行くメリットはあるのか」など不安が襲ってくるのではないでしょうか。
都市部出身で田舎暮らしの経験がなければ、なおのこと田舎に対するイメージが湧かずビジネスアイデアの具体化も難しいと感じるかもしれません。
本記事では、田舎に住みつつフリーランスとして会社員時代以上の年収を稼ぐ筆者が、田舎に住んでいるからこそわかる田舎ビジネスの本質を解説します。田舎での起業におすすめの商売や田舎特有の注意点もまとめました。
「田舎で儲かるビジネスにチャレンジしてみたい」、その希望を前に進めるヒントが詰まっています。ぜひ最後まで読んでみてください。
田舎で儲かるビジネスの始め方
田舎で儲かるビジネスをしたい人がまず知っておくべきは、田舎でビジネスを始める方法です。といっても「開業届を出す」「物件を取得する」などのありふれた情報ではありません。
3つのポイントに絞りました。
- 田舎はどのようなビジネス・商売が儲かるのか学ぶ
- なぜ田舎でビジネスを始めたいのか考える
- どの田舎で起業したいか検討する
田舎でビジネスを始める際の全体像を考え、方向性を決めるために必要な要点を解説します。
田舎はどのようなビジネス・商売が儲かるのか学ぶ
ビジネスを始めるとき、市場やターゲットを深く理解することから始めるのは成功の鉄則です。
田舎でビジネスを始める場合も、例外ではありません。田舎には都会と異なる価値観やビジネスモデルがあります。最初に田舎ではどのようなビジネス・商売が儲かるのか学ぶ工程から着手しましょう。
田舎で儲かる商売を知る方法を2つ紹介します。
方法1:実際に存在し、栄えているビジネスを調べる
田舎で儲かっている・人気があるビジネスを調べ、傾向をまとめましょう。情報はインターネットでも調べられますが、現地に赴き地域の人の話を聞くとリアルな生の声が入手できます。
縁故のない田舎で話を聞きたい場合は、市町村役場の産業課や観光課、移住推進課が相談窓口になってくれます。
方法2:個人の体験談を探す
移住やU・Iターン、地方起業が盛んな現代は、体験談をブログやSNSで発信している個人も大勢います。個人が発信している体験談を探し、地方ビジネスの現状や可能性をリサーチしましょう。
とくに見つけたいのは「失敗談」です。失敗談には失敗の原因や「こうすればよかった」改善点が多分に含まれています。自分の学びとし、同じ轍を踏まないように努めれば、成功する確率を高められるでしょう。
なぜ田舎でビジネスを始めたいのか考える
都会でも起業はできます。人や資本が集まっている都会のほうが、むしろビジネスを軌道に乗せやすいかもしれません。
それでも田舎でビジネスを始めたいのは、どうしてでしょうか。目的なき起業は方向性が定まらず、失敗の要因となります。田舎で商売を始める目的を明確にしておきましょう。
田舎でビジネスを始めたい人が描く目的は、以下の2つに大別できます。
- 目的1:田舎を活性化したい・田舎の問題を解決したい
- 目的2:田舎で生活するためにビジネスをしたい
目的1と2では、ビジネスの始め方が変わります。
1は「田舎の活性化・田舎の問題解決」が目的のため、地域に密着し地域の人を巻き込んでの起業が必要です。
一方で2は「移住」が目的であり、かならずしも田舎に根付いてビジネスを始める必要はありません。リモートでできる都会の仕事を請け負いつつ、住まいの拠点を田舎に移せば目的達成です。
「田舎でビジネスを始めたい」との漠然とした思いが、1・2のどちらに該当するか、区別しておきましょう。
「田舎ビジネス」の目的を見分ける方法
正方形の付箋か白紙を用意します。そこに自分自身が「田舎でビジネスを始めたい」と考えた理由を、最低10個書き出してください。
10個の理由がそれぞれ1と2のどちらに当てはまるか、分類します。分類された理由が多いほうが、あなたの田舎ビジネスの目的です。
関連記事:田舎でビジネスを始め成功した実例8選|儲かる秘訣も解説
どの田舎で起業したいか検討する
「田舎」と一括りにいいますが、田舎にも2種類あります。どの田舎を選ぶかによってもビジネスの成功角度が変わるため、田舎をよく知ったうえで慎重に検討しましょう。
◎ 2種類の「田舎」 | |
田舎A | 人口数千人~2万人規模。都市部からの交通利便性も良くなく、過疎化が進むエリアもある「村」のイメージ |
田舎B | 人口5万人~10万人規模。交通の便も良く、都市部からの流入も多い。国道沿いに一通りのサービスが揃っている「地方都市」のイメージ |
のんびり暮らしたい人が描く田舎はAかもしれません。ただし、ビジネスには「ヒト・モノ・カネ」が不可欠です。人口も資本も少ない田舎Aでビジネスを成功させるには、労力が必要だと考えてください。
「田舎」の言葉から連想しやすいAタイプだけでなく、Bタイプの田舎も候補に入れてみてください。スピード感を持ってビジネスを軌道に乗せられるイメージが湧きやすくなるはずです。
目的にあった田舎ビジネス・商売を選ぶ
ここまでで、田舎でビジネスを始めたい目的や自分にあう田舎のタイプ、また田舎で儲かる商売の事例がわかってきました。調べてきた情報を掛け合わせると、あなたがやるべきビジネス像がみえてきます。
以下は、ここまで調べた内容をマトリックスにまとめた例です。参考にしながら、自分の進む道を明確にしてみましょう。
目的1 | 目的2 | |
田舎A | 田舎の人間関係が大切。役場や近隣の力を借りて起業周りを巻き込む力が必要 | リモートで案件受注でもOK。環境の不便さがないか要チェック(光回線やネット銀行対応ATMの有無など) |
田舎B | 商工会議所や地域の起業家のつながりも利用できる。SNSを通じ地域の個人事業主との連携もビジネスチャンス | 不便のない生活が可能。都市部案件で培ったノウハウを地域企業のサポートに役立てる発展的起業も可能 |
田舎で起業して儲かるビジネス4選
田舎で起業する場合に、ビジネスチャンスがあり儲けやすい仕事を4つにまとめました。
- 地域創生にかかわるビジネス
- 中小企業の後継者問題を解決するビジネス
- 生活にうるおい・幸せを提供するビジネス
- 生活の利便性を高めるビジネス
どれも田舎特有の課題や改善を提供できるビジネスです。やりたいことがあるかチェックしながら、読み進めてみてください。
地域創生にかかわるビジネス
「課題はあるが、解決できる人材・手法が不足している」と悩む地方自治体や田舎の中小企業はたくさんあります。田舎が抱える特有の問題を解決し、地方創生にかかわるビジネスは各所から引く手あまたになれる可能性があります。
ビジネスとして成立させられれば持続的な支援が可能となり、問題の解決だけでなく田舎の発展を創造できるかもしれません。
以下は地方創生ビジネスのアイデア例です。
- 不動産・まちづくり・空き家再生
- 中小企業のIT化・DX化サポート
- 観光資源の発見とブランディング・プロモーション支援
- 付加価値を創造するためのマッチングサービス(人と人、人とビジネスなど)
中小企業の後継者問題を解決するビジネス
地方にある企業の99.9%は中小企業です。さらに全国の中小企業のうち52.6%が廃業を予定しており、うち29.0%は「後継者がいない」ことを理由に、廃業を考えているとの現状がわかっています。
(参考:地域の雇用と産業を支える中小企業の実像|日本政策金融公庫総合研究所
「中小企業の事業承継に関するインターネット調査(2019年調査)」結果|日本政策金融公庫総合研究所)
別の調査でも、中小企業約26万社のうち後継者の不在率は61.5%に上るとしています。
(参考:全国企業「後継者不在率」動向調査(2021年)|帝国データバンク)
日本の中小企業の課題である後継者問題を解決するビジネスは、田舎でのニーズが期待できるのではないでしょうか。後継者問題を解決し次世代につなげられれば、中小企業が持つ独自性の高いサービスや唯一無二の商品を製造するノウハウ伝承も実現します。
◎ 中小企業の後継者問題を解決するビジネスアイディア
- M&Aを仲介し、事業継承の道筋をつくる
- マッチングサイトを開設し、広く後継者を募る
- 従業員の研修・教育サービスを提供し、後継者に育てる
- 株式公開を支援し、企業の認知度を高める
- 企業のブランディング戦略を支援し、魅力をアピールする
生活にうるおい・幸せを提供するビジネス
田舎の生活は良くも悪くも平凡です。
変化や刺激に乏しく、マンネリを感じる人も少なく在りません。目新しいサービスやオシャレな店舗に憧れを抱く人も一定数存在します。田舎での起業には、田舎の生活に「うるおい・幸せ」を提供するビジネスも向いています。
都市部との交通利便性が良く、都市部からの移住者が多い地域はさらに成功しやすいでしょう。
筆者が住む地域(東京から新幹線で90分・人口5万人)でも、首都圏からの移住増加とともに新しい価値観が地域に広まっています。新しい店舗やサービスを歓迎する土壌ができあがり、東京と同じクオリティの繁盛店が見られるようになりました。
田舎で商売を始めるなら、「地域の人に好まれる」「地域の人の“ちょっとした憧れ心”を刺激する」の2点を満たすビジネスを考えてみてください。
関連記事:起業するならどの業種?おすすめランキング16種!分野選びの注意点も解説
◎ 田舎の生活にうるおい・幸せを提供するビジネスの例
- インテリアにこだわったおしゃれなカフェ
- ドッグラン併設のレストラン
- 本格派ハードパン・クロワッサンが売りのパン屋
- 地産地消にこだわったオーガニックな弁当屋
- SNSに映える商品を取り揃えた雑貨店
関連記事:レストランを開きたい!小さな飲食店の開業に必要な準備・資金
生活の利便性を高めるビジネス
都会なら「あって当たり前」がない場合も多いのが田舎です。ターゲットとする田舎をリサーチし、住む人が「あったらいいな」と感じるビジネスを始めるとヒットする可能性があります。
利便性はQOL(Quality of life・クオリティ オブ ライフ、生活の質)の向上にもつながるため、田舎でも歓迎されやすいでしょう。
おすすめはその地域にまだないフランチャイズ店舗の開業です。フランチャイズは日本中どの地域でも売上を確保できるよう「多くの人にとっての便利」「均質なサービス」をパッケージ化しています。地域の人には利便性向上のメリットがあり、開業する人には始めやすい点がメリットです。
フランチャイズは多くの業界に採用されています。地域に合ったサービスを選びやすい点も魅力の一つです。
◎ 田舎でフランチャイズを開業するアイデア例
- 飲食業(有名店だが、まだ店舗がない地域ならニーズが見込める)
- 清掃業(高齢者が多い地域でニーズが期待できる。終活ニーズも見込める)
- 教育業(高い出生率の割に教育サービスが不足している地域にニーズが見込める)
関連記事:初心者でも始めやすいフランチャイズが知りたい!厳選15業種を一挙解説
田舎に住みリモートで稼ぐビジネス4選
都市部のリモート可能な案件なら、田舎で仕事に就くよりも高単価の報酬を手にできます。リモートで稼ぎやすい仕事を4つ、紹介します。
- アプリのテスター・ゲームデバッカー
- ウェブ検索結果品質評価者オ
- ンライン診療のオペレーター
- 翻訳者
「田舎移住が目的で、とくに自分でビジネスを興したいわけではない」人には、田舎に住みつつリモートで働く方法がおすすめです。
アプリのテスター・ゲームデバッカー
アプリのテスターは、日々開発される新しいアプリの動作を確認し見つけた不具合を報告する仕事です。ゲームデバッカーは発売前のゲームをプレイし、バグや不具合を見つけ報告します。
どちらも在宅でできるうえ、労働時間の自由度が高い点が魅力です。またスマートフォン・パソコンとインターネット環境があればでき、経費がほとんどかかりません。売上がほぼ収入となるため、儲けやすい仕事です。
報酬相場
アプリのテスターやゲームデバッカーの報酬体系は、2つに分けられます。
- 時給制
- 日給制
報酬の相場は、つぎのとおりです。
◎ アプリのテスター
時給 1,000~2,500円
※「英語の仕様書が読める」「テスト仕様書(項目)が作成できる」など、専門スキルがあるほど高額案件を受けられます。
◎ ゲームデバッカー
時給 1,300~2,600円
日給 6,700~8,500円
※ システム開発ができると月給制(25万~60万円)の仕事も請け負えます。
ウェブ検索結果品質評価者
ウェブ検索結果品質評価者とは、検索結果の品質向上を目的として検索結果を評価し、フィードバックを送信する仕事です。
ユーザーの検索語句と、そのキーワードのより表示された検索結果が合致しているかをチェックします。世界最大手検索エンジンであるGoogleが検索結果の品質向上への取り組みを進めており、世界中の評価機関からの依頼があります。
仕事は完全在宅で進められます。英語の資料やシステムを使う場合もあるため、英語力がある人のほうが有利です。就業時間は自由に決められるケースが多く、経費もかからないため田舎でもできる儲けやすい仕事です。
報酬相場
ウェブ検索結果品質評価者の報酬体系は、時給制の案件が多めです。
時給 1,800~2,000円
オンライン診療のオペレーター
コロナ禍で普及が進んだオンライン診療を担当する医師をサポートする仕事がオンライン診療のオペレーターです。オンライン診察前後に患者をフォローするほか、カルテの代理入力、患者への生活指導、予約管理などを担当します。
オンライン診療を入院・外来・在宅に次ぐ4つ目の診療概念と位置付ける医師もおり、通院が困難な高齢者や在宅医療の増加とともにさらなる拡大が期待されています。医療機関が少ない田舎での利用も見込まれていて、田舎ビジネスとも相性の良いジャンルです。
自宅からテレビ電話で医師・患者とつながり、診療サポートをします。完全在宅での就業が可能で、勤務時間以外に別の仕事で稼いでも大丈夫です。
報酬相場
オンライン診療のオペレーターは時給制の案件が多めです。
時給 1,200~1,600円
翻訳者
在宅でできる翻訳の仕事は安定した求人数があります。英語や中国語を中心に、ドイツ語やスペイン語、韓国語、スワヒリ語など多くの言語の翻訳求人を見つけられます。得意な外国語を活かした仕事をしたい人に向いています。
翻訳のジャンルもさまざまです。技術書や医学論文、マニュアルなどの専門的な分野から、ニュース・ゲーム・マンガなど身近なテーマまで案件を見つけられるため、できる仕事から初めてみても良いでしょう。
報酬は、専門知識が必要になるほど高額になります。
報酬相場
翻訳者は時給制・月給制の案件が多めです。
時給 1,200~3,800円
月給 25万~55万円
ほかのみフリーランスになるためのノウハウを学びたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
田舎でビジネスを始めるメリット
敢えて都会ではなく田舎でビジネスを始める人が多いのは、そこにメリットがあるからです。田舎でビジネスを始めるメリットは、いったい何でしょうか。3つのメリットを解説します。
競争が少なく、腰を据えて商売に取り組みやすい
田舎は都会に比べて競争が激しくありません。
人が少ないため企業数も少なく、必然的に競合となる企業も減るためです。また田舎では提供されているサービスのバリエーションも限られます。もし競合となる先行他社があっても「少し付加価値をつける」「目線を変えたサービスを提供する」などの工夫だけで独自のサービスを提供できます。
競合が少なく、腰を据えたビジネスを考えやすいのも田舎ならではのメリットです。都会のように「生き馬の目を抜く」風潮もなく、ビジネスを長い目で見て育てることもできます。
運営資金を抑えやすい
気になる資金面も、田舎は都会より抑えやすい傾向にあります。店舗や事務所の賃料やスタッフの人件費が、相対的に低いためです。
実際、どれくらい差が出るのか比較してみましょう。東京都港区と長野県長野市で同程度の店舗(スタッフ含む)を構えた場合のランニングコストを算出しました。
東京都港区 | 長野県長野市 | |
事務所賃料(10坪・1か月あたり) | 26万~41万円(26,000~41,000円/坪) | 7万~15万円(7,000~15,000円/坪) |
スタッフ人件費(3人・最低賃金で雇用・1か月あたり) | 1,072円×8時間×20日×3人=514,560円 | 908円×8時間×20日×3人=435,840円 |
1か月のランニングコスト合計 | 約80万~90万円 | 約50万~58万円 |
※ 賃料の平均坪単価は2023年3月時点
※ 最低賃金は2022年10月1日以降
東京都と長野県のランニングコストには、1か月あたり約30万~40万円の差があるとわかりました。同じだけ売上があったと仮定すると、利益率は当然長野市のほうが大きくなります。
利益率の高さは儲けやすさに直結します。低コストで運営できる田舎は、都会よりも儲けやすいと考えて良いでしょう。
移住や起業を対象とする助成金・補助金を利用できる
田舎への移住・起業にはさまざまな支援金が用意されています。助成金や補助金を利用し、資金面の負担を軽減しながらビジネスを始められるのも田舎起業のメリットです。
代表的な支援金は、内閣府が行っている「起業支援金」「移住支援金」です。
◎起業支援金
地域の課題に取り組む「社会性・事業性・必要性」の観点をもった起業などを支援。最大200万円。
<おもな条件>
- 東京圏以外の道府県または東京圏内の条件不利地域での起業
- 起業する地域に居住(予定含む)
◎移住支援金
地域の重要な中小企業などへの就業、社会的起業を目的とした移住者を支援。最大100万円、単身者は最大60万円。
<おもな条件>
- 東京23区に在住・通勤する人が、東京圏外へ移住し、起業・就業する
- 移住先が地方創生移住支援事業を実施している都道府県・市町村である
そのほか、自治体独自の支援金を受けられる場合もあります。くわしくは移住・起業を希望する地域の産業課・移住推進課にお問い合わせください。
関連記事:開業で活用したい補助金・助成金8選│申請のポイント・注意点も解説
田舎で商売する際の3つの注意点
メリットが多い田舎ビジネスですが、始める前に知っておきたい注意点が3つあります。
- 地域のニーズを事前にリサーチする
- 地域のしきたりや人間関係を大切にする
- 身の丈・商圏規模に合った商売を始める
これを知らずに田舎ビジネスに参入すると、事業がうまく進まず行き詰まる要因にもなるため、しっかり押さえておきましょう。
地域のニーズを事前にリサーチする
田舎には、その地域固有の価値観や雰囲気があります。住む人のニーズや「何に価値を置くか(お金を出すか)」にも影響する、無視できない要素です。
「都会風で個性的なサービスが歓迎されるのか」「サービスが明確で安心できるフランチャイズが好まれるのか」など、地域にあうビジネスの方向性をリサーチしましょう。
教育がわかりやすい例です。田舎には「公立至上主義」と呼ばれる、地域の公立学校への進学を良しとする雰囲気があります。高校受験でも、私立高校がどんなに高品質なカリキュラムを用意しても公立高校の滑り止めにしかならないのはよくある例です。
この地域で私立中学受験や私立大学受験を売りにする塾を開いても、集客は期待できません。地域のニーズに合っていないためです。
ビジネスでは自分がやりたいことではなく、必要とされることを提供してはじめて売上につながります。
<田舎のニーズを知る方法> 地域ごとのニーズを知る方法の一例を紹介します。 ・人口構成や転出・転入率、高齢化率、進学率など「指標」をチェックする ・交通網や大規模商業施設の誘致状況を調べる(外部価値観の流入度を確認) ・自治体が行っている市民アンケートの結果を見る ・実際に足を運び、話題の店舗やサービスを利用する人を観察する ・数週間~数か月滞在し、住む人の生活を体験してみる(おためし移住も◎) |
地域のしきたりや人間関係を大切にする
インターネットやSNSで「田舎の濃密な人間関係」に関する記事を読んだ経験がある人も少なくないのではないでしょうか。田舎特有の近しい距離感は程度の差こそあれ、どの田舎にも存在します。
2023年2月に福井県池田町(人口2,320人・2023年3月時点)の広報誌に掲載された「池田暮らしの七か条」は、インターネットを中心に話題になりました。田舎固有の近しい人間関係を受け入れ、都会風を吹かすことのないように……との内容は、「田舎の価値観の押しつけだ」と反発も招いています。
しかし、ずっと地方都市に住む筆者は「池田暮らしの七か条」の意図が理解できるとも感じます。都市部から来た人が都会の流儀を押し付けようとし、地域と軋轢を産んだ事例を数多く見てきたためです。
人間関係が近い田舎でのビジネスには、地域の人との良好な関係づくりが欠かせません。田舎に馴染み、田舎の人(=顧客)から愛される状態を目指してください。
都市部からの移住者が多い地域や新しくできた町は、人間関係が比較的あっさりしている傾向があります。田舎特有の距離感が苦手な人は、そうした町を選ぶのもポイントです。
身の丈・商圏規模に合った商売を始める
「ビジネスを始めよう」「やるからには思い切って大規模な商売を手掛けよう」と考えている人は、いったん立ち止まりましょう。ビジネスは身の丈と、商圏に見合った規模で始めるのが成功の秘訣です。
身の丈を超えた商売を始めても、開業や運営に必要な資金がすぐに足りなくなってしまうかもしれません。商圏を無視した規模のビジネスは、収益化に必要な集客をまかなえず立ち行かなくなる可能性もあります。
ビジネスは小さく、手堅く始めましょう。軌道に乗ってきたらスケールアップを検討するつもりでいても、田舎のビジネススピードなら十分間に合います。
田舎・地方都市で独立・起業した経営者・フリーランスの方に、Doktechではインタビューを行っています。ぜひこれから開業するための参考にしてみてください。
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まとめ
田舎で儲かるビジネスを始めるなら、まず「田舎で起業したいのか」「田舎に移住したいのか」を決めましょう。
前者なら地域課題の解決や地方創生、新しい価値提供が起業のキーワードになります。後者なら高額報酬が期待できる都市部のリモート案件を確保しつつ、住みたい田舎を探すのがおすすめの進め方です。
保守的な価値観が残る田舎では、均質でわかりやすいサービスが好まれる傾向があります。有名ブランドの看板で全国均一なサービスを提供するフランチャイズは、田舎で歓迎されやすいビジネスです。
田舎でのビジネスを考えている人は、フランチャイズや独立・起業を真剣に支援するDokTech編集部のメルマガを購読してみてください。きっと、知りたかった情報が手に入ります。
著者情報
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