フランチャイズの加盟金│相場や経費計上・返済義務を丸ごと解説

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フランチャイズの加盟金│相場や経費計上・返済義務を丸ごと解説

更新日更新日:2023.10.2

公開日投稿日:2022.8.6

 店舗ビジネスの開業から運営まで、必要なノウハウを提供してもらえるフランチャイズのシステムは、脱サラや独立の手段として人気です。しかし多くの場合、フランチャイズの本部に加盟するためには、「加盟金」と呼ばれる初期費用を支払う必要があります。

「加盟金とは一体どんなお金なの?多額の資金が必要?」「フランチャイズに興味はあるけど、加盟金の相場や内容がよくわからなくて、不安」というお悩みを持つ方もいるのではないでしょうか。

本記事では、フランチャイズの加盟金について事前に知っておくべきことを以下の観点から解説します。

・フランチャイズの加盟金の意味/ロイヤリティとの違い

・代表的な6業種(コンビニ・学習塾・パーソナルジム・ハウスクリーニング・宅配弁当・セルフエステ)の加盟金相場

・加盟金以外に必要な開業・運営資金5選

・加盟金支払い前のチェックポイント

フランチャイズの加盟金について正しく理解し、独立への一歩を進めていきましょう。

目次

フランチャイズの加盟金とは?

フランチャイズの加盟金とは?

ここではフランチャイズの加盟店の定義と、ロイヤリティや加盟店に含まれる内容を説明します。

フランチャイズの加盟店の定義

フランチャイズの加盟金とは、加盟者(フランチャイジー) が本部(フランチャイザー)に支払う初期費用のことです。

加盟金を支払うと、本部が提供する商品や経営ノウハウ、商品の仕入れルートなどを利用できるようになります。

つまり、加盟金とは「本部が長年かけて構築したブランドを利用するために支払う費用」と思ってもらうとわかりやすいでしょう。

では、フランチャイズでよく聞く「ロイヤリティ」と「加盟金」には、どのような違いがあるのでしょうか。次の章では、加盟金やロイヤリティに含まれる具体的な内容・異なる点について解説します。

関連記事:フランチャイジーとは?フランチャイザーとの違い、魅力やデメリットも解説

ロイヤリティとの違い

ロイヤリティとの違い

加盟金とロイヤリティの違いは、以下のとおりです。

加盟金ロイヤリティ
支払うタイミング加盟時(契約締結時)の1回のみ支払う店舗のオープン後、定期的かつ継続的に支払う
目的開業初期費用に充てられる商標や店名の使用権や、本部のノウハウ指導・サポートを受ける権利を得るため

加盟金は、フランチャイズ本部と契約を締結する際に加盟者が支払います。支払いはこの1回のみで、開業までに必要な準備費用に充てるケースが多く見られます。

一方ロイヤリティとは、フランチャイズ契約中に継続的に支払う費用のことです。商標やロゴ、店名を使う権利や運営や経営のノウハウ、研修、指導などを受ける権利の対価として支払います。

加盟金に含まれる内容

加盟金にどのような費用が含まれるかはフランチャイズ本部によって異なりますが、一般的な内容は以下のとおりです。

◎ 加盟金に含まれる費用

  • 開業までの市場調査費用
  • 店舗の立地調査費用
  • スタッフの研修費用
  • ブランド・店名・ロゴの使用料
  • 開業までの広告宣伝費用
  • その他、必要な支援提供料(備品購入補助、開業時の応援スタッフ派遣など)

フランチャイズは、入念な市場調査や有利な立地・物件探しなどの本部が持つ出店ノウハウを、開業準備の段階から使える点も魅力の一つでしょう。こうした開業サポートを受けるために必要なのが加盟金です。

加盟金なし・相場より安いフランチャイズもあり

フランチャイズの中には、加盟金なしで加盟できる、もしくは相場よりも安い加盟金で開業できる本部もあります。

加盟金の負担が下がれば、開業資金も抑えられます。そのため、低コストで新しい事業を始められる点が、加盟金が少ないフランチャイズに加盟するメリットです。

ただし、ロイヤリティが相場よりも高いケースや、加盟後にフランチャイズ本部から受けるサポートが少ないケースがあるので注意しましょう。

加盟金の有無や金額で加盟するフランチャイズを決めるのではなく、採算が取れるビジネスモデルなのか、事業の再現性は高いのかを見極めることが大切です。

フランチャイズの加盟金の相場一覧

フランチャイズの加盟金の相場3選

気になるフランチャイズの加盟金の相場は、一体どれくらいなのでしょうか。本章ではフランチャイズ初心者の方でもわかりやすいように人気の高い業種を3つピックアップし、それぞれの加盟金相場を解説します。

  • コンビニエンスストア
  • 学習塾
  • パーソナルトレーニングジム
  • ハウスクリーニング
  • 宅配弁当
  • セルフエステ

フランチャイズの加盟金の相場を知りたい方はぜひご覧ください。

コンビニの加盟金

大手コンビニの加盟金相場は、100万~300万円程度 が相場です。コンビニAは110万円、コンビニBでは315万円の加盟金がかかり、ブランドによって金額に幅があります。そのため、加盟金に含まれる内訳やサポート体制、市場・競合の状況などを踏まえ、十分に比較検討してから加盟先を決めるようにしましょう。

コンビニの加盟金に含まれる費用には、次のような項目が挙げられます。

  • 開業前研修費
  • 開業準備手数料
  • 開業時出資金

またコンビニの中には、開業時の商品代金や両替金などの元入金が必要になる場合もあります。目安は150万円程度です。また大手コンビニの中でも加盟金や開業準備手数料を廃止し、加盟者側の負担軽減を図っているところもあります。

学習塾の加盟金

学習塾の加盟金相場は、150万~300万円程度 です。フランチャイズ本部の知名度や事業規模などによって幅があり、有名な学習塾ほど加盟金が高い傾向にあります。また近年人気のオンライン型の学習塾は、加盟金が0円の場合もあります。

学習塾の売上には、商圏にある学校の数や居住する子どもの数が大きく影響します。

そのため、「どこに学習塾を出店するのか」「どれくらいの規模の学習塾を作るのか」などを慎重に決めないといけません。場合によっては、最適な出店場所・物件が見つかるまで、本部と一緒に半年から1年以上かけて探すこともあります。

ただ個人での学習塾開業は、立地や物件選定のほかにも、教育方針策定や教材選定、広告宣伝まですべてを自力で進めなければなりません。開業に必要な一式を提供してもらえるフランチャイズを利用すると、出店までのスピードも速くなるメリットも手に入ります。

パーソナルトレーニングジムの加盟金

パーソナルトレーニングジムの加盟金相場は、100万円~400万円 ほどです。知名度や規模、ジムのコンセプトなどによっても幅があります。

また、加盟金とは別に内装費や設備費、トレーニング機器費も考慮します。内装費や設備費、トレーニング機器費は、ジムの規模によって変動します。マンションの一室を利用した小規模ジムなら300~500万円程度、有酸素マシンやベンチプレス、シャワー室も設置した大規模ジムなら1,000~1,500万円以上かかる場合もあります。

初期投資がかさみがちですが、初期投資を早期回収し黒字化できるよう、店舗運営支援が充実している本部が多いのもパーソナルトレーニングジムの業界の特徴です。

例えば、利用者専用にカスタマイズされたメニューでトレーニングできるパーソナルジムは、フランチャイズを検討している方の中でもとくに人気を集めています。ニーズの高いサービスを提供することで黒字化を実現しやすくなります。

ハウスクリーニングの加盟金

ハウスクリーニングのフランチャイズの加盟金は、20万円~200万円が相場です。

浴室清掃やエアコンクリーニングなど、特定のサービスに特化しているフランチャイズであれば加盟金が安く済む傾向にあります。

特定のサービスに特化しているハウスクリーニングは、個人の小規模開業者が多くを占めています。加盟への参入障壁を下げるために、大手よりも加盟金が安く設定されています。

加盟後の研修制度が充実しているフランチャイズも多く、清掃業務や薬剤の知識から接客ノウハウにいたるまで幅広いサポートが受けられます。

研修が充実しているハウスクリーニングは、業界未経験でも参入しやすい業種です。店舗を構えずに営業を行う「無店舗型経営」が特徴で、毎月の固定費を抑えて利益を伸ばせるメリットもあります。

宅配弁当の加盟金

宅配弁当のフランチャイズ加盟金相場は、0円~200万円が目安です。加盟金0円の企業も多くあります。

加盟するフランチャイズによっては、一括調理された食材を湯煎やレンジ調理、盛り付けを行えば良い企業もあります。こういったフランチャイズは、一から食材を調理する必要がなく、未経験からでも始められるのがメリットです。

自宅開業も可能ですが、調理場所をプライベートキッチンとわけて確保する必要があります。

加盟金が0円でも設備費に100万円以上かかる場合があるため、加盟金以外の開業資金目安も必ず確認しておきましょう。

セルフエステの加盟金

セルフエステのフランチャイズ加盟時にかかる加盟金は、100万円~300万円が相場です。

一般的なエステサロンでは、従業員を複数名雇用する必要がある一方で、セルフエステは店舗と機材があれば無人でも運営できる魅力があります。

受付や機器の使い方をフォローする従業員など最低限の人員で経営できるため、毎月必要な人件費が大幅に削減できるのも特徴です。

店舗物件や機材の準備に必要な開業資金は、200万円~1,000万円程度かかります。

セルフエステのフランチャイズは、フェイシャルサロンだけではありません。脱毛や痩身、メンズ向けサロンなど、コンセプト次第でさまざまな顧客にアプローチできるでしょう。

フランチャイズのロイヤリティの相場

フランチャイズに加盟した際に支払うロイヤリティは、毎月3万円~15万円程度が相場です。しかし、ロイヤリティの支払い方式が契約内容によって異なるため、あくまで目安と理解しておきましょう。

ロイヤリティの支払い方は契約内容によって異なりますが、大きく分けて3種類です。

  • 売上に応じて変動する「売上歩合方式」
  • 売上から仕入れ原価を差し引いた粗利に応じて変動する「粗利分配方式」
  • 毎月一定金額を支払い続ける「定額方式」

粗利分配方式でロイヤリティを支払うのは、コンビニエンスストアのフランチャイズがほとんどです。ほかの業種では、売上歩合方式もしくは定額方式でロイヤリティを本部に支払います。

ただし、加盟金同様、ロイヤリティ0円で経営できるフランチャイズもあります。フランチャイズに加盟する際は、加盟金の金額だけでなくロイヤリティの有無や支払い方式もチェックしておくことが大切です。

フランチャイズの加盟金以外にかかる開業・運営資金

フランチャイズの加盟金以外にかかる開業・運営資金

フランチャイズを始める際に、加盟金以外にもさまざまな資金が必要になります。

具体的には次の5つの項目をご覧ください。

  • 保証金
  • 設備資金
  • 開店時の仕入れ・サービス供与額
  • 研修費
  • その他(物件取得費や人材採用コスト)

それぞれの項目を具体的に解説します。

保証金

保証金とは、契約締結時にフランチャイズ本部に預けるお金を指します。

不動産を契約する際の「敷金」に近い性質を持ち、開業後にロイヤリティの滞納などが発生した場合は、保証金から補填されます。敷金と同様に、契約終了時は未払い分などを相殺の上、返還されます。

保証金の相場は100万~数百万円となっています。

設備資金

設備資金とは、内外装工事や什器・備品の購入費用など、開業に必要な設備の購入費のことです。

業種や店舗規模によって、必要な額は大きく変動します。開業前のまだ売上がない段階で出ていくお金のため、資金準備の目途を十分に立てておくことが大切です。

フランチャイズの開業資金準備の方法は、自己資金を用意するほか、「日本政策金融公庫からの融資」「銀行からの融資」「補助金、助成金の利用」などがあります。

開店時の仕入れ・サービス供与額

開店時の仕入れ・サービス供与額とは、開店時に必要な商品の仕入れやスタッフに関する費用のことです。基本的に本部が用意する仕入れルートから商品を購入することになるため、取引先を、フランチャイズ加盟者が自ら探す必要はありません。

店頭で金銭のやり取りがある業態では、釣り銭も準備しておきます。

研修費

研修費とは、開業前にオーナー、もしくはスタッフがフランチャイズ本部で受ける研修にかかる費用のことです。

本部の理念や基本的な運営の仕組み、顧客対応の仕方などを学べるようにしているところが多く見られます。

研修費は加盟金に含まれる場合と、含まれない場合とがあります。また研修地までの交通費・宿泊費は加盟者側の負担になります。

その他(物件取得費や人材採用コスト)

開業の準備が物件探しから始まる場合は、敷金や礼金、保証金などの物件取得費も必要です。またスタッフを新しく採用する予定であれば、求人広告掲載料など人材採用コストもかかります。

物件取得費や人材採用コストは、フランチャイズ本部によっては全額負担してくれたり、一部補助してくれたりするところもあります。

*業態ごとの開業資金は、こちらの記事でご案内しています。
フランチャイズで始める農業|開業資金やオーナーの年収・業界の将来性
フランチャイズの居酒屋の開業方法を直伝!資金や資格・本部選びのコツ
フランチャイズで憧れのカフェを開業する方法・経営のコツ

フランチャイズ加盟金を経費計上するときの勘定科目

フランチャイズ加盟金は、確定申告の際に経費計上できる費用です。ここでは、フランチャイズ加盟金を経費計上する際の勘定科目や仕訳処理の方法、消費税の取り扱い方を解説します。

フランチャイズ加盟金は繰延資産として扱う

フランチャイズの加盟金を経費計上する際は、繰延資産として扱い、勘定科目は「長期前払費用」とする方法が一般的です。

繰延資産は、事業経営のために支出した費用の中で、効果が1年以上継続するものを指します。年度をまたいで費用化することが認められています。

創立費や開業費、開発費などが代表的な例で、フランチャイズの加盟金も繰延資産です。

フランチャイズ加盟金の償却年数

フランチャイズの加盟金は、5年の償却期間で計上することが一般的です。

繰延資産を計上する場合、効果が継続する年数で分割して「減価償却」を行ったうえで経費計上します。

減価償却とは、支出した資金の影響や効果を受ける年度で支出金額を分割し、経費計上する会計処理です。

開業時に購入したパソコンなら4年、複合機なら5年のように、耐用年数であらかじめ償却年数(分割する年数)が定められています。

ただし、フランチャイズ加盟金の場合、契約の期間が5年に満たない場合は契約期間に応じて償却期間が変動するので注意しましょう。

例えば、フランチャイズ契約の期間が3年なら、償却期間も3年となります。

フランチャイズ加盟金が少額の場合は支払手数料で仕分ける

フランチャイズの加盟金は、少額であれば支払手数料の勘定科目で一括計上できます。支払手数料で経費計上できる加盟金の目安は、20万円です。

加盟金を支払った年度の経費に計上すれば良いため、次年度以降は加盟金を経費処理する必要がなくなります。

フランチャイズの加盟金は、20万円未満であれば支払手数料で計上し、20万円以上は繰延資産として計上しましょう。

加盟金の仕訳の処理方法

フランチャイズの加盟金を経費処理する際、勘定科目は「長期前払費用」もしくは「支払手数料」で計上します。以下は、加盟金100万円と15万円の仕訳処理の例です。

◆100万円の加盟金を長期前払費用で計上する場合(普通預金から支払い)

借方貸方摘要
長期前払費用1,000,000普通預金1,000,000フランチャイズ加盟金の支払い

◆15万円の加盟金を支払手数料で計上する場合(普通預金から支払い)

借方貸方摘要
支払手数料150,000普通預金150,000フランチャイズ加盟金の支払い

ただし、長期前払費用は期末に減価償却を行って会計処理しなければなりません。支出したタイミングでは、上記の記載方法で経費処理し、期末には減価償却して計上しましょう。

◆期末に100万円の加盟金を償却処理する場合

借方貸方摘要
長期前払費用償却200,000普通預金200,000フランチャイズ加盟金の支払い

計算式は、フランチャイズ加盟金の金額を償却年数(ここでは5年)で割った100万円÷5=20万円です。

ただし、フランチャイズ契約の期間が2年であれば償却処理後の金額は50万円、3年であれば33万3334円(1円以下切り上げ)となります。

フランチャイズ加盟金の消費税

フランチャイズ加盟金は、課税仕入れに該当するため消費税の対象です。課税仕入れとは、事業で使用する資産を購入・借り入れることをいいます。

フランチャイズの加盟金が課税仕入れに該当するのは、加盟金を支払う対価としてフランチャイズ本部から経営ノウハウの提供を受けることが資産の購入と判断されるためです。

消費税の計上は、課税仕入れを行った年度に行います。償却処理の有無や期間を問わず、加盟金を支払った年度に消費税を全額計上しましょう。

フランチャイズ加盟金を支払う前に注意するべきポイント

フランチャイズ加盟金を支払う前に注意するべきポイント

フランチャイズ事業の一番初めに支払うことになるのが加盟金ですが、支払う前に注意しておきたいポイントが4つあります。

  • 加盟金以外に必要な情報をチェックする
  • 加盟金を支払うタイミングに注意する
  • 加盟金が高いから良い支援を受けられるわけではない
  • 加盟金を一度支払ったら基本返ってこない

以上について、詳しく解説します。

加盟金以外に必要な情報をチェックする

次の7つは、開業後への影響も大きな重要ポイントです。加盟金を支払う前に、条件を確認しておきましょう。

  • 契約期間
    フランチャイズ契約更新時には、更新料がかかることがあります。契約期間と開始月を確認しておきましょう。
  • 違約金
    違約金とは、契約を「期間中に加盟者都合で解約したい場合」に発生する費用のことです。契約書にある違約金の金額や発生条件を確認します。
  • 競業避止義務
    競業避止義務とは、契約終了後の一定期間、同業での事業開始や競合他社への転職を禁止する規約のことです。一般的なものですが、対象となる期間を確認します。
  • ロイヤリティ
    ロイヤリティの支払い方法を確認します。ロイヤリティには毎月定額を支払う「定額制」と、売上の何割かを支払う「定率制」とがあります。
  • テリトリー制
    テリトリー制とは、一定範囲内での出店を規制する制度のことです。テリトリー制の有無によって商圏への同一ブランド店舗の出店可否が決まります。売上にも影響を与えるため、事前に確認しましょう。
  • 開業後の収支モデル
    本部が提示する収支モデルは、売上が好調だという前提にたっている場合があります。実際は市場や競合の動向によっても変わるため、客観的に妥当な収支モデルか見極めることが大切です。
  • 本部のサポート
    サポートの種類や頻度は、フランチャイズ本部の個性が現れる部分です。同業種でも本部によってまったく異なることも多いため、必要なサポートが期待できそうかチェックしましょう。

加盟金を支払うタイミングに注意する

加盟金は、契約締結時に支払うところがほとんどです。もし契約前に加盟金の支払いを求められた場合は注意しましょう。

詳しくは後述しますが、一度納入した加盟金は、事情が変わっても返還されないことがほとんどだからです。

加盟金を支払った後、「良い土地・物件が見つからないから」と契約締結に進まなくても、加盟金は戻ってきません。あるいは、加盟金を支払い、フランチャイズ契約を締結した後に「契約書の不備や加盟者に不利な条件が見つかった」場合でも、加盟金は返ってきません。

開業までは、いつ不測の事態が起きるか分かりません。大切な資金を無駄にすることがないようしっかり支払いのタイミングを確認しましょう。

加盟金が高いから良い支援を受けられるわけではない

加盟金の金額は、サポート内容に比例しているわけではありません。

コンビニ大手3社を例にすると、「315万円」「110万円」「0円」となっています。このとき、「315万円の本部の方が、支援が充実していて売上も上がりやすいだろう」と考えてはいけません。

加盟金は、あくまで各社が独自で設定している金額にすぎず、他社より支援が充実していて売上も上がりやすいかどうかは、別の問題だからです。

反対に、加盟金が安いからといって、契約しないほうが良いとも言い切れません。なぜなら参入障壁が下がり、店舗数拡大につながるからです。

結果的に店舗は売上が上がりやすくなり、本部はロイヤリティ収入が増え、知名度やブランド力も向上する相乗効果が期待できます。

加盟金を一度支払ったら返金されない

ほとんどのフランチャイズ契約書には「加盟金不返還特約」があり、一度納めた加盟金は基本的に返ってきません。加盟金不返還特約とは、「どのような場合でも、どのような理由でも加盟金は返還しない」ことを意味します。

事業の停止・撤退などの場合は加盟金が返還されることもありますが、それは加盟者側にとっても好ましい展開とはいえないでしょう。

「支払った加盟金は戻ってこない」前提に立ち、契約や開業準備を進めることが大切です。

関連記事:フランチャイズでよくあるトラブル事例|問題点を回避する方法

フランチャイズ加盟金の返還請求が認められた事例1

フランチャイズ加盟金の返還にまつわるトラブルは、時に裁判にまで発展することがあります。実際、平成15年(2003年)には、神戸地方裁判所で加盟金をめぐる裁判になりました。

(参照:裁判例結果詳細 | 裁判所

判決では特約が一部無効とされ、加盟金の一部が加盟者側に返還されています。

ただし、この場合は加盟金が800万円と高額である点が裁判の焦点となっているため、加盟金が100万~400万円の場合にも同じ結果が適用されるかは分かりません。

フランチャイズ加盟金の返還請求が認められた事例2

平成22年(2012年)には、フランチャイズ加盟金の返還を求める集団訴訟がありました。

無理な勧誘と加盟後の経営指導がなかったことが争点となり、加盟金を含む計4,000万円以上の支払いが認められています。

(参照:東京法律事務所|事件紹介

この事例では、フランチャイズ本部による経営指導不足や無理な勧誘によって被った損失があったことから、フランチャイズ加盟店の主張が認められました。

これらの事例は、あくまでフランチャイズ本部に明らかな契約違反があったケースです。基本的に「加盟金不返還特約」が契約内容に含まれている場合、支払った加盟金が返還されることはありません。

まとめ

フランチャイズの加盟金は、本部に加盟するために支払う必要がある初期費用を指します。

開業までに必要な支援に充てられることが多く、業種によって金額は異なりますが、100万~400万円が相場です。一度支払うと返ってこないため、契約のタイミングは慎重に見定めるようにしましょう。

また事業の開始には、加盟金のほかにも保証金や設備費、仕入れ費などがかかります。

「開業資金をどれくらいで回収し黒字化できるか」「資金繰りに不安はないか」など、しっかり黒字化までの目途を立てておくことが大切です。

加盟金が0円の場合は、初期投資を抑えることで事業の運転資金を確保しやすくし、軌道に乗るまでのスピードがアップするというメリットもあります。加盟金の金額と本部のサポート体制などを総合的に比較するようにしましょう。

フランチャイズビジネスをもっと学びたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください!!
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DokTech編集部
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