自由業と自営業の違いとは?おもな職種一覧とメリット・デメリット
更新日:2023.9.27
投稿日:2022.10.3
「自由業」「フリーランス」などの働き方を目にする機会が増えました。「自由に働ける印象があり、魅力的だ」との声も聞かれます。
では「自由業」とは、具体的にどのような仕事なのでしょうか。「フリーランスとは違うのか」「自由ゆえの不便さやデメリットはないのか」など、疑問がいくつも浮かぶかもしれません。
本記事では、自由業のメリット・デメリットや具体的な職業名などを解説します。自由業を理解し、働き方を考えるヒントとしてください。
目次
意外と知らない自由業とは?
自由業は、自身がもつ専門的な知識・技術を活かし、時間にしばられず働く職種を指します。
特定の企業や組織と雇用契約は結びません。対価は専門知識やスキルそのものや、生み出された作品・成果物に対して支払われます。
ただし、自由業に該当する職種が明確に定義されているわけではありません。
参考までに国税庁は、
「医師、弁護士、作家、俳優、職業野球選手、外交員、大工など」
参考:事業所得(営業等・農業) 第一表|国税庁
を自由職業として区分けしています。いずれも「専門知識やスキルが必要な職業」である点が共通しています。
自由業と自営業・フリーランス・フリーターの違い
自由業と似たイメージを持つ働き方に次の3つがあります。
- 自営業
- フリーランス
- フリーター
自由業とそれぞれの違いを、簡潔に解説します。
自由業と自営業の違い
自由業と自営業の定義は、以下のとおりです。
自由業 | 雇用による義務や時間的拘束を受けず、自分のスキル・知識を活かして働く形態。医者、弁護士、芸術家、芸能人、プロ野球選手などが該当する。 |
自営業 | 個人が独立し、自分の力で経営する事業。八百屋などの小売店、学習塾、美容院などが多い。 |
参考:自由業とは│精選版 日本国語大辞典 /自営業とは│小学館デジタル大辞泉
自営業は独立した個人が事業を営む形態です。店舗を持ち、決まった営業時間に働くのが一般的です。八百屋や雑貨屋、学習塾などをイメージしてください。個人事業主と呼ぶ場合もあります。
自由業とは「雇用されていない」「個人で働く」点は共通していますが、「拘束時間がある」「店舗を構える」点が異なります。
自由業とフリーランスの違い
「フリーランス」は次を満たす働き方をする人です。
- 特定の企業や団体、組織と雇用契約がない・専従していない
- 自身の専門知識やスキルを提供し対価を得ている
多くのフリーランスは、企業や個人から業務依頼を受け仕事をします。システムエンジニアやプログラマー、デザイナー、ライターなどは、フリーランスとして活躍する人が多い職種です。
自由業は芸術家や芸能人、作家、アーティストなどの「職種」を指し、フリーランスは「雇用に縛られない働き方」を指すと理解しましょう。
自由業の人が選択する働き方の1つにフリーランスがある、と考えると理解しやすいかもしれません。
自由業とフリーターの違い
自由業とフリーターは、明確に区別できます。自由業には専門的な知識・スキルが求められますが、フリーターには必要ないからです。
また自由業は、働き方の裁量権は自分にあります。しかしフリーターはアルバイトやパートとして雇用されるケースが多いため、就労時間は雇用主が決定します。
「専門性の有無」「働き方の自由度の違い」が、自由業とフリーターとの違いです。
自由業の形態で働く人が増えているワケ
自由業の定義があいまいなため、自由業人口を正確に算出するのは困難です。
ただ、さまざまな統計資料から、フリーランスの働き方で収入を得ている人の数は350万~500万人ほどとわかっています。
◎ フリーランス人口の推計
上記フリーランス人口は推計であり、調査対象や母数、調査方法が異なるため、同列に比較はできません。
しかし2019年から2020年にかけて、フリーランス人口が増加している様子が見てとれます。他の調査結果を踏まえても、フリーランスとして働く人の数は増えているとわかっています。
多くの人が自由な働き方を選ぶ理由の一例は、以下のとおりです。
- 自分の裁量で仕事をするため
- 働く時間や場所を自由にするため
- より自分の能力・資格を生かすため
「自分の知識やスキルを活かせる場所で、もっと自由に働きたい」と、ポジティブな理由でフリーランスを選ぶケースが多いようです。
自由業のメリット
内閣府の調査では、調査対象の8割以上が「今後もフリーランスとして働き続けたい」と回答しています。フリーランスを含む自由業者に「これからも続けたい」と思わせるメリットは、次の3つです。
- 働く時間・日時を自分で決められる
- 会社員が悩みやすい人間関係のストレスが少ない
- 好きなことに没頭して仕事ができる
それぞれを詳しく解説します。
働く時間・日時を自分で決められる
自由業は、働く時間や日時を自分で決められます。期待されている品質の成果物を期日までに完了・納品しさえすれば、深夜に働こうが平日に休もうが自由です。
働く時間が自由だと、ワークライフバランスが実現します。子育てや介護など、仕事以外のタスクと両立しやすい点も魅力です。
内閣府の調査によると、回答したフリーランスの8割が「プライベートとの両立に満足」と答えています。
ただし自由業の中でも、医師や弁護士は拘束時間があるのが一般的です。医院や事務所を構え、営業時間内は患者・顧客対応に当たるからです。
自由業に該当するすべての職種が、働く時間の自由度が高いわけではありませんので注意しましょう。
会社員が悩みやすい人間関係のストレスが少ない
会社員は「上司や同僚と相性が合わない」「人間関係の不快がある」場合でも、我慢が必要です。
しかし特定の企業や団体、個人に雇用されない自由業なら、仕事でかかわる人や一緒に働く仲間を自分で選べます。
「嫌な相手を避ける」ほかにも、「ワクワクしながら一緒に働ける仲間を選ぶ」ことも可能です。
先に紹介した内閣府の調査でも、85.7%のフリーランスが「仕事上の人間関係に満足」と回答しています。
別の調査でも8割以上のフリーランスが同様の回答をしている事実からも、仕事の相手を自由に選べる点は自由業の大きなメリットです。
好きなことに没頭して仕事ができる
自由業は、自身の得意な、あるいは好きな分野で商品やサービスを提供し、対価を得る人も大勢います。
好きを仕事にした例を見てみましょう。
- お芝居が好き → 俳優
- ダンスが好き → ダンサー
- 絵を描くのが好き → アーティスト、イラストレーター
- 写真を撮るのが好き → 写真家、カメラマン
- 文章を書くのが好き → 作家、ライター
- 悩み相談が得意 → カウンセラー、コンサルタント
- ハンドメイドが得意 → クリエイター
好きなことが明確で、時間を忘れて没頭できる人には嬉しいメリットです。
自由業のデメリット
働き方の自由度が高いメリットの反面、自由業には以下のデメリットもあります。
- 社会的信用が低い
- 収入が安定しない
- 事務作業が多い
自由業やフリーランスになりたいと考えたとき、まっさきに障壁となる要素でもあります。ここからは自由業のデメリット3点を、詳しく解説します。
社会的な信用力がない
「社会的な信用力」とは、経済力や社会的地位などに裏付けられる信用力です。
会社員は安定した収入が保証されるため、社会的信用力が高くなります。また役職や勤続年数、所属企業の規模も社会的信用力に影響します。
一方、自由業は仕事の量や種類によって収入が変動します。毎月定額の安定収入があるわけではないため、社会的信用力が得にくい点がデメリットです。
また、不況になると契約を解除されやすい不安定な働き方も、社会的信用が低い要因です。
立場が不安定な自由業者を守るため、政府は2022年9月にフリーランスを保護する新しい法律の制定を決めました。
業務の途中終了や契約解除には30日前までの予告義務を定めるなど、フリーランスの安定に寄与すると期待されています。
収入が安定して入らない
自由な働き方が得られる反面、収入の不安定さが自由業のデメリットです。
内閣府の調査でも回答者の59.0%が「収入が少ない・安定しない」点を働く上での障壁と挙げています。
自由業は、仕事をしなければ収入を得られません。その仕事も自分で営業して獲得する必要があります。
長期的な契約が確保できれば収入は安定するものの、契約が更新されず仕事がなくなるおそれも拭えません。
多くのフリーランスは複数の取引先を確保し、収入の不安定さ軽減に努めています。フリーランス協会の調査によると、回答者全体の20.0%が「10社以上」と取引しているとわかりました。
取引先を分散させ、急に収入が途絶えるリスクに備えていると考えられます。
事務作業から確定申告まで自分で行う必要がある
独立すると、日々の経費精算から帳簿記録、確定申告など、事務作業のすべてを自分で行う必要があります。
請求書作成や領収書の保管など細かい作業も多く、慣れるまでは面倒に感じる場面も多いでしょう。税理士に管理を依頼すれば手間は省けますが、費用がかかります。
とくに確定申告は、自由な働き方をはじめた多くの人が悩むポイントです。最大65万円の特別控除が受けられる「青色申告」は複式簿記での記録が必要で、簿記知識がないためにハードルを高く感じる方もいます。
クラウド型のシンプルな会計ソフトなど、自動的に仕分けしてくれるツールを使うのが事務作業効率化の秘訣です。
代表的な自由業の職業・職種一覧│10選
自由業として認知されている職業・職種は数多くあります。ここでは代表的な職業の仕事内容や体験談を一覧で紹介します。
紹介する職業は、10個あります。「IT企業に勤務するシステムエンジニア」など、雇用されているケースは含みません。独立し、持つ知識とスキルを活かして収入を得ていることが前提です。
エンジニア
フリーのエンジニアは、携わりたい案件を選び、システムの設計・構築・運用・保守に携わります。エンジニアの種類は、Webエンジニアや制御・組み込みエンジニア、ゲームエンジニア、AIエンジニアなどです。
仕事は「エンジニア専門のエージェントから紹介を受ける」「企業と直接契約を交わす」などの方法で見つけられます。
常駐案件(派遣先企業に常駐が求められる仕事)でない限り自宅でも仕事ができ、働く時間も自由に決められます。
企業勤めだと、一定の年齢になると管理職になります。現場でシステムに携わり続けたかった自分には合わないと感じ、フリーエンジニアになりました。現在は大手IT企業のインフラチームで、サーバー構築を担当しています。最新技術に触れ続けられるのが嬉しくてたまりません。 (30代・男性・正社員からフリーに) |
デザイナー
フリーデザイナーは、デザインにかかわる案件を個人で受注し、依頼元企業から対価を得る仕事です。デザイナーの一例は次のとおりです。
- Webデザイナー:Webサイトをデザインする
- グラフィックデザイナー:雑誌など紙媒体をデザインする
- CGデザイナー:コンピューターグラフィックス(CG)を制作する
- ファッションデザイナー:ファッションアイテムをデザインする
デザイナーの多くは、フリーで活躍しています。「クラウドソーシングサイトで案件を探す」「企業と直接契約する」などが、仕事を得る主な手段です。
ブックデザインを請け負うフリーデザイナーをしています。自分がデザインした本やポスターが世にでる喜びはこの仕事の醍醐味です。評価次第で収入が上がることもやりがいになっています。 (30代・男性・出版社アルバイトからフリーデザイナーへ) |
ライター
ライターは、書籍やメディアに載る文章を書く仕事です。クライアントの依頼に沿って書く点で、自由な発想で文章を書くエッセイストや小説家とは異なります。
ライターが書く媒体は、主に次のとおりです。
- 紙:書籍や雑誌、フリーペーパーなど
- Web:ニュースサイトや企業のオウンドメディア、コラムなど
ライターは出版社やメディアと直接契約し、仕事を獲得します。クラウドソーシングサイトで募集されている案件に応募し、仕事を得るケースもあります。
フリーのWebライターとして、広告代理店やビジネス系サイトに寄稿しています。ライターの収入だけで、子どもを大学まで行かせることができました。ライターの仕事は、継続こそが命だと思います。続けているとクライアントとの信頼関係もでき、継続的に契約してもらえます。 (50代・女性・会社員からフリーライターへ) |
YouTuber
YouTuber(ユーチューバー)は、動画共有サイトYouTubeに自作の動画作品を継続的に公開している人です。YouTube Creator(ユーチューブ・クリエイター)ともいいます。
YouTuberの収入源は広告収入です。ただし、動画に広告がつくためには「総再生時間」「チャンネル登録者数」などの条件と審査があります。ユーザーに好まれる良質な動画を継続的に投稿し、ファンを増やす地道な努力が欠かせません。
副業でYouTuberをしています。投稿開始から収益が発生するまでは、10カ月かかりました。撮影に必要な機材、作業時間の確保が大変だったな、と思います。でも見た人からのコメントが嬉しく、好きなことでお金が入るやりがいも感じています。正直、本業より楽しいです! (30代・男性・副業YouTuber) |
カメラマン
フリーカメラマンは、会社に属さずフリーで活躍するカメラマンです。フリーカメラマンが収入を得る方法は、主に次の3つです。
- 自分で撮影した写真作品を販売
- クライアントからの依頼で撮影
- フォトスタジオやエージェントと契約
飲食店のメニュー写真や企業のPR画像、学校で行われる運動会の撮影に呼ばれるケースもあります。ただしカメラ機材は高価なものが多いため、初期投資にややコストがかかるかもしれません。
カメラマンになるのに、特別な才能はいりません。心が強く動く感覚に敏感になり、撮影する。それだけです。常に「もっと良く撮れそう」「次こそはもっと良い写真を」と、貪欲に走り続けられるのがこの仕事の魅力です。 (20代・男性・クリエイティブ会社から独立) |
作詞家
作詞家は、自由業の代表的な職業の一つです。楽曲のメロディーに対して、歌詞となる言葉を創作します。著名な作詞家のほとんどは、企業に属さず、独立して作品を制作しています。
ただし専業で作詞家を営む人はごくわずかで、多くの歌は文筆業などの兼務しています。
フリー作詞家の主な収入源は、著作権印税です。契約に基づき、印税が支払われます。また作品自体が買い上げられ、収入となる場合もあります。
フリーといえども、プロの作詞家になるにはスキルとセンスが必要です。少ない文字数で伝えたいメッセージを表現しきるのは簡単なことではありませんが、自分の作品が世に出たときの喜びは何にも代えがたいものがあります。 (30代・男性・大学卒業と同時にフリー作詞家) |
美容師
店舗に雇用されずに働く、フリーの美容師も増えています。自身でも店舗を持たず、顧客の依頼に合わせて出向き、施術します。
施術の内容は、カットやシャンプー、トリートメント、カラーリング、パーマ、セットなど、美容技術を使ったヘアスタイル創り全般です。
「既存の美容室を間借りする」「結婚式場でヘアメイクをする」などの仕事もあります。
フリー美容師の認知はまだ高いとはいえません。しかしフリー美容師が利用できるシェアサロンの拡大を進める企業もあるなど、今後注目が予想される職業です。
フリー美容師の収入は、お客様の数に比例します。ある程度顧客がいる美容師なら、フリーになったほうが収入が上がると思います。僕は今の収入に満足しています。働き方も比較的自由に決められる点も気に入っています。 (30代・男性・美容室に勤務したのちフリーに) |
ミュージシャン
ミュージシャンは音楽家全般、とくにポップミュージックなど、現代の音楽を創作する人を指します。
作曲や演奏を担当し、活躍する場所は次のとおりです。
- スタジオミュージシャン:レコーディングスタジオで演奏する
- ライブミュージシャン:ライブなどステージで演奏する
- バックミュージシャン:歌手に合わせて伴奏する
- サポートミュージシャン:バンドの足りないパートを補う
フリーミュージシャンの主な収入源は、ライブや収録のギャランティー(報酬)です。
音楽関係の仕事はそもそも募集が少ないので、仕事を見つけるまでが大変です。仕事をとるには、得意なジャンルや作品を売り込む営業力が欠かせません。「自分にしかできないことは何か」を考え、積極的に行動してみてください。 (30代・女性・講師職と兼務) |
芸術家
美的な創造活動をおこなう芸術家も、自由業に多い職業です。絵画、彫刻、工芸など作品を創るほか、舞踊や演劇など無形作品に携わる人もいます。
芸術家は、主に次の方法で収入を得ています。
- 個展などで作品を販売する
- クライアントから発注を受け作品を創る
- ネットショップで販売する
芸術家一本で生計を立てられる人は、多くはありません。アルバイトや副業で収入を得ながら、創作活動を続ける人も大勢います。YouTubeで制作過程を発信し、広告収入を得る芸術家もいます。
幼いころから絵を描くのが好きで、いつのまにか芸術で身を立てるようになっていました。インスピレーションを形にする時間が、何より至福です。(50代・男性・会社員から芸術家) |
芸能人
芸能で生計を立てる人を「芸能人」といいます。俳優やタレントなどテレビで見かける人のほか、伝統芸能に携わる人も含みます。
芸能人は、テレビやドラマ、CM、映画などへの出演料が主な収入源です。自由業の代表選手といわれる場合もありますが、撮影などで拘束時間も多く、働き方の自由度はさまざまです。
オーディションやスカウトを経て芸能事務所に所属する方法が一般的ですが、近年はSNSなどのインフルエンサーから芸能人になる人も増えています。
華やかな世界で注目を浴びられることや、応援してくれるファンの存在がやりがいになっています。売れっ子にならないと収入は不安定ですが、夢に向かって頑張る日々を送れているので満足です。 (10代・女性・学業のかたわらタレント活動) |
弁護士
弁護士は、国家資格を取得した法律の専門家です。刑事・民事事件や離婚問題、相続問題、不動産売買関連のトラブルなどの訴訟や和解交渉、法律事務の処理に携わります。
基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とし、この使命に基づき、職務を遂行します。
(参照:弁護士の使命と役割│日本弁護士連合会)
投資家
投資家は、株式や債券、通貨、仮想通貨、不動産などに投資をし、資金を運用することで、売却益や配当金を得る人のことです。個人で活動する投資家を、個人投資家と呼びます。
ほかの自由業の仕事に比べると、一定の収入を得るには、大きな元手が求められます。また、金融取引にはリスクがあるため、確実に儲かるわけではありません。
自由業になる方法
自由業になる方法を説明します。
自由業に欠かせないのは、専門分野の知識・スキルです。まずはどの自由業になるかを決め、その仕事で求められる特定の知識・スキルを身につけましょう。
自由業の種類によっては、特定の資格や資金が求められることもあります。たとえば、エンジニアであればフロントエンドやバックエンドなどシステム開発の勉強をしなければなりません。
IT系の資格の定番として基本情報技術者試験や応用情報技術者試験があります。これらを取得しておくと、自由業でも仕事を受注するうえで有利に働きます。
知識・スキルを蓄えながら、実践することで自由業への道が近くなるでしょう。
自由業として活動する前にやっておくべき手続き
もし「自由業をやってみたい!」と思った場合に済ませるべき手続きは、次の3つです。
- お金関連の準備
- 社会保険の切り替え
- 開業届の提出
それぞれの目的や手続きの内容を解説します。
クレジットカードやローン、賃貸などの契約
自由業は社会的信用力が低いため、金融関係の申請が通らない場合があります。
また独立直後は「収入が一時的に下がる」「収入を証明できる書類が準備できない」などの困りごとにも直面します。
次の3つは、会社員のうちに会社名の信用力で済ませておきましょう。
- クレジットカードの作成
- ローンの申し込み
- 賃貸などの契約
事業専用のクレジットカードをつくっておくと、使った経費をまとめて帳簿に付けられ経理業務が効率化できます。
個人名義のクレジットカードを事業用に使っても構いません。事業用カードは1枚つくっておくと便利です。
国民健康保険・国民年金への切り替え
自由業になると、健康保険と年金の加入先が変わります。それぞれ切り替え手続きが必要です。
会社員 | 自由業 | |
健康保険 | 健康保険 | 国民健康保険 |
公的年金 | 厚生年金 | 国民年金 |
切り替え手続きは市役所・区役所の窓口で行います。
手続きには、保険証や年金手帳のほか、退職日を証明する書類(退職証明書、離職票、健康保険喪失証明書など)も必要です。必要な書類が手元に揃ったら手続きに行きましょう。
開業届の提出
「開業届」は、新しく事業をはじめた旨を税務署に知らせる届けです。自由業の場合も忘れずに届出ておきましょう。
手続き自体は書類を1枚提出するだけなので、個人でも簡単に済ませられます。税務署の窓口のほか、オンライン提出も可能です。
関連記事:【開業届の書き方まとめ】書くべき18の項目と必要書類を4つ解説
また開業届と同時に「所得税の青色申告承認申請書」も提出しましょう。確定申告の際に最大65万円の特別控除が受けられる「青色申告」ができるようになります。
所得税は、収入から経費と控除を差し引いた所得に対してかかります。できるだけ大きな控除を受けられるようにしておくのは、節税対策の基本です。
自由業の人が仕事を獲得する方法
自由業者が仕事を得る手段として、4つを紹介します。
- クラウドソーシングを利用する
- エージェントサービスを利用する
- 企業に直接営業する
- ビジネス交流会に参加する
自由業は企業に雇用されていないため、待っていても仕事はありません。自ら動き、営業し、仕事を獲得する必要があります。
クラウドソーシングを利用する
クラウドソーシングとは、インターネットを介して依頼主とワーカーを仲介するサービスです。
大手では「クラウドワークス」「ランサーズ」などが有名ですが、デザイナーやライターなどに特化したサービスも増えています。
ワーカーはサイトに掲載されている案件から、希望にあった仕事に応募します。依頼主とマッチングが成立すると仕事が発注され、成果物の納品をもって報酬が支払われる仕組みです。
クラウドソーシングは、フリーランスが最初に仕事を見つける登竜門としても活用されています。
ただし依頼主のリクエストに沿ったアウトプットが求められるため、自由な創作活動をしたい人には向いていません。
関連記事:クラウドワークスはやめたほうがいい?稼げない9つの理由とトラブルの防ぎ方
エージェントサービスを利用する
エージェントサービスは、ワーカーのスキルや希望の働き方にあう案件を探し、紹介してくれるサービスです。企業への営業代行や報酬額の交渉など、働き手側がしにくい業務を担う場合もあります。
ワーカーは希望のエージェントに登録し、必要に応じて面談やカウンセリングを受けます。その後、エージェントが案件を紹介します。依頼クライアントと面談・交渉を経て受注しましょう。
事務作業の代行サービスやキャリアプランの相談、福利厚生を受けられるエージェントもあります。ただし登録や面談に時間がかかるケースが多いため、「すぐに仕事が欲しい」方には向いていません。
企業に直接営業する
クラウドソーシングサービスやエージェントサービスは、案件成立時に手数料がかかります。
手数料を節約したいフリーランスには、企業に直接営業し仕事を得る方法が向いています。直接契約のため手数料がかかる心配はありません。
仲介を挟まない分、報酬も高く設定される傾向にあります。
企業に直接営業する際は、自分の強みを活かせる業界・企業に行くようにしましょう。
また過去の作品や実績をまとめた「ポートフォリオ」も欠かせません。企業は実績を見て、依頼するか判断するためです。
報酬額の交渉も、自ら行う必要があります。相場と希望とを照らし合わせ、適正額を算出しておきましょう。
ビジネス交流会に参加する
自営業者や自由業者、フリーランスなどが参加できるビジネス交流会や異業種交流会へ参加すると、思わぬ出会いから仕事につながる可能性があります。
ビジネス交流会は、「フリーランスと企業のマッチングを行う会社主催のもの」「中小企業家同友会や商工会議所などが主催するもの」などがあります。
ただ、ビジネス交流会とは名ばかりで、「社交辞令の応酬で終わった」「愚痴の言い合いばかりだった」などの感想も見られます。参加する際は目的を明確にし、ポジティブな発信を心がけましょう。
主催者に「本日のキーパーソン」を聞き出し紹介してもらうと、良い人脈が広がる場合もあります。
まとめ
自由業とは、特定の企業や組織と雇用関係を結ばず、専門知識やスキルを活かし生計を立てる職種です。
働き方や働く時間を自由に選べるため、近年は「フリーランス」と同義で使われるケースもあります。
働き方の多様化が進む現代、自由な働き方を求める人の数は増え続けています。副業やリモートワークが推進され、少ない拘束時間の働き方が浸透してきた現実も、自由な働き方への憧れを増す一因と考えられます。
自由業やフリーランスのメリットは、自由度の高さです。ただし自由の反対側には、自己責任が付帯する点は押さえておきましょう。自分から動かないと仕事はなく、収入も保証されません。
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著者情報
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