集客とマーケティングの違いとは?収益アップにつながる基礎知識
更新日:2023.7.6
投稿日:2023.6.26
今回のテーマは、集客とマーケティングの違いです。
集客とマーケティングを適切に実施すれば、新規顧客・リピーターの獲得につながり、収益アップが期待できます。
しかし、「具体的にどのような施策を行えば自社の収益が向上するのか」と悩んでいる方も多いでしょう。
まずは、集客・マーケティングの目的や特徴の違いを理解することが重要です。そのうえで具体的な施策に落とし込む流れを知ることで、最適な一手を打てるようになるでしょう。
目次
集客とは
集客とは、顧客を集めることを指す用語です。企業の収益をあげるには、商品を購入したり、サービスを利用したりする顧客を増やさなければなりません。
現在あらゆる企業で顧客を集めるための施策が講じられています。集客の手段は、インターネットやスマートフォンの普及により多様化しました。
従来の折込チラシやDM、看板などのオフライン集客のほか、リスティング広告やSNS、公式サイトの運用などのオンライン集客も多くの企業で取り入れられている手段です。
集客では、一度きりの売上で終わるのではなく、リピーターの獲得や将来的に顧客になる見込み層を増やす施策も重要視されています。
マーケティングとは
マーケティングとは、商品やサービスが効率良く売れる仕組みをつくるためのあらゆる施策を指す用語です。
マーケティングでは、市場リサーチ、新商品の開発、既存商品のリニューアル、宣伝・広報、流通網の構築、製造ラインの効率化などが行われます。
「販売戦略」や「販売推進」、「市場活動」と呼ばれることもあります。マーケティングは、企業によって施策内容が異なるのも特徴です。
集客とマーケティングの違い
企業の収益に直結する「集客」と「マーケティング」は、混同しやすい用語です。具体的には、以下の違いがあります。
集客はマーケティングの一部
企業の収益を向上させるために行う施策がマーケティングであり、集客もマーケティングの一部に含まれます。
顧客を集めるのは収益に直結します。顧客を集めなければ商品やサービスが売れず、収益にならないためです。
一方で、顧客の注目を集めて購買意欲を刺激するには、魅力的な商品やサービスを提供しなければなりません。
どのような商品に需要があるか市場リサーチを行って判断するほか、顧客の手元に商品がスムーズに届くように流通網の整備も必要になるでしょう。
マーケティングは、商品やサービスを効率良く販売するために行う施策全般を指します。マーケティングのうち、顧客を集めることに特化した施策が集客です。
大きな違いは「目的」
集客とマーケティングの大きな違いは、施策を講じる上で設定する目的(ゴール)が異なる点です。
集客は、顧客(見込み・リピーター含む)を集めることがゴールに設定されています。
一方マーケティングは、企業の収益を伸ばすことが最終的なゴールです。マーケティングでは、収益を伸ばすために市場リサーチや商品開発、集客を含め、多角的なアプローチを行います。
集客とマーケティングの目的の違いを理解した上で、どのような施策を実施するか検討することが大切です。
マーケティングにおける集客の重要性
企業の収益向上を図るマーケティングで、集客は重要な施策の1つです。マーケティング施策で集客が重要視される背景には、以下の3つの理由があります。
- 集客力の有無が企業の収益に直結する
- 集客は顧客ニーズと自社商品・サービスのマッチングにつながる
- マーケティングと集客は相互関係にある
ここでは、上記3点の理由を解説します。
集客力の有無が企業の収益に直結する
マーケティングで集客が重要視されるのは、集客力の有無が企業の収益に直結することが理由の1つです。
顧客が商品購入やサービス利用を行う際に、支払った料金・費用が企業の売上・収益になります。
顧客が少なければ企業の業績も悪くなるため、集客活動を行って顧客を集めなければなりません。
集客力が高ければ、商品購入者やサービス利用者が増加し、マーケティングの目的である「企業の収益向上」につながります。
集客は顧客ニーズと自社商品・サービスのマッチング
マーケティングで集客が重要視されるのは、集客を行えば顧客ニーズと自社商品・サービスを結び付けられることも影響しています。
集客は、顧客を集めることを指しますが、顧客のニーズを満たす商品・サービスが自社にあることをアピールする役割も担っています。具体的には、以下のような例です。
- 手土産に適した個包装の和菓子商品を提供する
- 仕事の昼休み時間中に完了する短時間のヘアカットサービスを提供する
- 子連れの顧客が利用しやすいようにイートインスペース横にキッズスペースを設ける
マーケティング施策で顧客のニーズにマッチする商品やサービスを開発しても、顧客に認知してもらわなければ収益につながりません。
マーケティングの目的である収益向上を目指すには、集客を通じて顧客のニーズと自社商品・サービスをマッチングさせることが大切です。
マーケティングと集客は相互関係にある
マーケティングと集客が相互関係にあるのも、マーケティングで集客が重要視される理由の1つです。
多くの企業では、マーケティング施策を通じて商品・サービスの価値を高め、集客施策で顧客を集めて売上をあげ、収益につなげます。マーケティングと集客のどちらが不足しても、企業の収益向上は達成できません。
集客施策のみに力を入れて顧客を集めても、商品に魅力がなく、手続きが煩雑で購入までのハードルが高ければ、顧客は商品購入やサービス利用を断念するでしょう。
マーケティングと集客は相互関係にあり、どちらの施策にも注力することが大切です。
現代のマーケティングと集客に求められる戦略
企業が収益を得るためのマーケティングや集客の戦略は、時代と共に変化しています。
例えば「リスティング広告」「SNS公式アカウント運用」「公式サイトの整備」などは、インターネットやスマートフォンが普及してから新たに実施されるようになった集客手段です。
どのような施策が顧客の目を惹くかをいち早く判断し、戦略に盛り込まなければ競合に顧客が流れかねません。
ここでは、現代のマーケティング・集客に求められる戦略の傾向や、顧客の購買行動に基づく施策立案のフレームワークを紹介します。
顧客の声を活かした商品開発とサービスの提供
顧客の声を活かした商品開発とサービスの提供が求められています。
従来の集客では、顧客を集めることに特化しており、商品やサービスの情報発信が中心に行われていました。
しかし、商品やサービスが多様化する現代で、顧客が価値を見出せない商品やサービスの情報をいくら発信しても収益化にはつながりません。
現代のマーケティングや集客では、顧客の声(ニーズ)をリサーチし、商品開発やサービス提供に反映することが大切です。
「顧客の購買行動」を理解するためのモデル
顧客が商品購入やサービス利用にいたるまでに経る段階を「顧客の購買行動」といいます。
企業では、顧客の購買行動に合わせてマーケティングや集客戦略を立てます。以下は、顧客の購買行動を理解するための代表的なモデル・フレームワークです。
- 「AISAS」の法則
- 「DECAX」の法則
- 「ZMOT」モデル
それぞれの特徴や考え方を解説します。
「AISAS」の法則
「AISAS」の法則は、電通が提唱した顧客の購買行動に関するモデルです。AISASの法則では、顧客の購買行動を5つの段階で示しています。
- Attention(認知・注目):商品やサービスの存在を認知する
- Interest(興味・関心):商品やサービスに興味・関心をもつ
- Search(検索):商品やサービスの情報収集を行う
- Action(行動):商品購入やサービス利用を行う
- Share(共有):商品やサービスの情報を共有する
購買行動モデル「AISAS」の特徴は、商品やサービスの情報収集にインターネット検索(Search)を活用し、商品やサービスに関する情報共有(Share)を他社に向けて行う点です。
顧客の購買行動モデル「AISAS」のフレームワークをもとに、具体的な集客戦略を立てる方法は以下のページでも詳しく解説しています。
関連記事:面白い集客方法14選|競合と差別化できる集客の意外なアイデアが満載
「DECAX」の法則
顧客の購買行動モデルの中で、コンテンツマーケティングの要素を取り入れたフレームワークが「DECAX」の法則です。
コンテンツマーケティングとは、ブログやコラムなどの読者にとって有益な情報をオンライン上で発信し、顧客の購買行動を刺激するマーケティング戦略です。
自社商品やサービスに関連するキーワードを検索したユーザーに対して情報提供を行い、商品購入やサービス利用までの導線を整える狙いがあります。
「DECAX」の法則は、顧客の購買行動を5段階にわけた考え方です。
- Discovery(発見):コンテンツから商品やサービスの情報を発見する
- Engagement(関係構築):有益な情報を発信し、企業を信頼する
- Check(確認):コンテンツから得た情報の信憑性を確認する
- Action(行動):商品購入やサービス利用を行う
- eXperience(体験と共有):商品やサービスを体験した情報を共有する
「AISAS」と「DECAX」の大きな違いは、顧客が自ら商品やサービスの情報を発見する能動的な情報収集を行う点です。
「DECAX」のモデルでは、企業が発信する商品やサービスの情報を受け取るのではなく、顧客が情報収集を行う過程で商品やサービスに辿り着きます。
例えば、靴下に穴がすぐ開くことに悩んでいる顧客が、靴下の穴が開きづらくなる方法を検索しているうちに、「穴が開きにくい靴下」の商品ページに辿り着くイメージです。
DECAXモデルを活用してマーケティングや集客戦略を実施するには、顧客の問題解決につながるコンテンツを提供し、自社商品に誘導する流れを構築すると良いでしょう。
「ZMOT」モデル
顧客の購買行動のうち、購入決定の意思判断をする重要なタイミングは「店舗に来店する前段階にある」との考え方をもとにした理論が「ZMOT」モデルです。
Zero Moment Of Truth(真実の瞬間)の頭文字を取った言葉で、2011年にGoogleが提唱しました。
顧客が購入意思決定を行う重要なポイントは「First(第一段階)の前のZero(第零段階)にある」とする理論です。
顧客の購買行動は、インターネットが普及するまでは店舗への来店が第一段階でした。
インターネットが普及してから、顧客は店舗へ訪れる前にインターネットで検索し、商品やサービスの情報収集を行う方向へ変化しています。
ZMOTモデルを活用してマーケティングや集客戦略を立てる場合は、店舗に来店する前(Zero)のインターネット検索を行う段階で顧客との接点をもつことが重要です。
公式サイトの整備やSNS公式アカウントの運用、コンテンツマーケティングなど、インターネット検索に対応できる施策を取り入れましょう。
マーケティングで集客を成功させる施策フロー
マーケティングで集客を成功させるには、施策を検討して実施するまでの流れを把握しておくことが大切です。
マーケティングや集客施策を検討する際は、以下の流れを意識すると良いでしょう。
- 目的・ターゲットを明確にする
- 市場リサーチを行う
- 集客方法を選定する
- 効果測定を行って改善する
この項では、それぞれの工程における概要や重要性を解説します。
目的・ターゲットを明確にする
まず目的・ターゲットを明確にしましょう。
目的とは、施策を実施したときに得たい効果を指します。マーケティングや集客を行う際に目指すゴールを具体化したものです。
例えば「店舗来店者数前年比5%増」「資料請求〇〇件」「SNS公式アカウントの友だち追加数〇〇件」など、数値目標を盛り込むと必要な施策が明確になります。
一方で、ターゲットはどのような相手に対して訴求効果がある施策を行うのか、理想的な顧客像をイメージします。
ターゲット設定を行う場合は、年齢や性別、居住地、趣味、家族構成、生活習慣など、人物像を詳細に具体化した「ペルソナ設定」を行うと良いでしょう。
市場リサーチを行う
マーケティングで集客を成功させるには、市場リサーチも欠かせません。市場リサーチは、顧客の需要動向を探る手段として多くの企業で行われています。
例えば、既存の顧客やターゲットとなる顧客層へのアンケート調査は「定量調査」と呼ばれる市場リサーチ方法の1つです。
また、ターゲット層や既存顧客、モニターなどに対して直接インタビューを行う「定性調査」で需要動向を探る方法もあります。
市場リサーチを行えば、顧客の需要にマッチする商品開発や販路開拓・整備、訴求力の高い宣伝・集客などのマーケティング施策の企画立案に役立てられます。
集客方法を選定する
市場リサーチで需要動向が分かれば集客方法の選定を行います。
集客方法はイベントやチラシ、SNS、インターネットなど多岐にわたるため、ターゲットとなる顧客層への訴求力が高い方法を見極めることが大切です。
集客方法の種類や選び方、集客を成功させるポイントは、以下のページでも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:効果のある集客方法26選(オフライン・オンライン)と巧みに使い分けるコツ
効果測定を行って改善する
マーケティングで集客を成功させるには、施策を実施した後に効果測定を行うことが重要です。
効果測定では、実施したマーケティングや集客でどのような効果が得られたか、企画段階で設定した目的(ゴール)の達成状況などを確認します。
また、施策実施にあたって投じたコストから、成果1件あたりにかかった費用を算出するのも良いでしょう。
効果測定は、施策を実施する前と実施した後の変化や、過去に実施した施策との比較ができるのも特徴です。
販売数や流入数などの数値測定だけでなく、アンケートを実施して顧客の反応を把握する方法もあります。
重要なのは「改善点はあるか」「顧客の反応が良かったのはどのポイントか」を見極めることです。
効果測定を通じて次回以降に行う施策の費用対効果や訴求力を高めるために、繰り返し施策内容をブラッシュアップしましょう。
集客力をアップさせる3つのポイント
マーケティングや集客施策を実施した際に、集客力をアップさせるには以下のポイントを意識することが大切です。
- 商品・サービスの価値を向上させる
- 顧客の導線をチェックする
- 他社と異なる面白い集客イベントで差別化する
ここでは、それぞれの重要性や意識すべきポイントを解説します。
商品・サービスの価値を向上させる
施策を講じても、商品・サービスに魅力がなければ集客効果は得られません。
集客力を高めるには、施策のみにとらわれず、商品・サービスの価値向上を並行して実施することが不可欠です。
具体的には、商品改良や新商品の開発、サービスの改善やアフターフォローの充実などが挙げられます。
集客力向上に加え、リピーターの獲得につながるのも商品・サービスの価値を向上させるメリットです。
顧客アンケートや口コミ、SNSの投稿などから顧客の声を吸い上げ、商品開発やサービスのブラッシュアップに活かすのも良いでしょう。
集客力を高めるには、顧客が「購入したい」「利用したい」と感じられているか、マーケティング施策全体を俯瞰して見ることが重要です。
顧客の導線をチェックする
顧客の導線をチェックするのもポイントの1つです。
顧客の導線とは、顧客が商品購入やサービス利用にいたるまでに辿るルートを指します。
飲食店の場合、予約はスムーズに行えるか、入口はわかりやすいか、店舗の第一印象に関わる清潔さや店内の雰囲気は整っているかなどの顧客視点での客観的な評価です。
顧客の購買意欲を阻害する要因が導線の中にあると、集客できた顧客が商品購入やサービス利用にいたる前に離脱する原因になります。
ECサイトであれば、購入手続きの煩雑さはないか、デザインと商品イメージはマッチしているかをチェックしましょう。課題があれば改善を図ります。
また、サイト内で顧客が目にする文字やレイアウトなどのUI(ユーザーインターフェース)が、直感的に操作しやすいものになっているかも重要です。
他社と異なる面白い集客方法で差別化する
集客力をアップさせるには、競合他社とは異なる面白い集客方法を取り入れて差別化を図る方法もあります。
面白い集客方法とは、一般的な広告やDM、チラシ配布、テレビCMなどに、ユニークな要素を取り入れたものです。
施策が話題になれば、SNSなどで拡散されて投じたコスト以上の集客効果が得られる可能性があります。
例えば「VR体験で世界旅行気分が味わえる」「チラシの代わりに風変わりなデザインのボールペンを配布する」ような、思わず顧客の目を惹く集客方法です。
商品やサービスの魅力をPRでき、かつ思わず気になって目を留めてしまう施策を講じると良いでしょう。
面白い集客方法のアイデアや、顧客の目に留まるユニークな宣伝方法は、以下のページでも解説しています。
収益アップにつながる集客を学ぶ方法
収益アップにマーケティングや集客が欠かせない一方で、顧客が興味関心をもつ媒体やコンテンツ、イベントは日々変化しています。
変化に対応するためには集客方法を学び続け、知識をアップデートしながら自社のマーケティングや集客の戦略に顧客のニーズを取り入れ続けることが大切です。
この項では、収益アップにつながる集客を学ぶ方法を紹介します。
書籍やスクールで学ぶ
マーケティングや集客方法は、書籍やスクールを通じて学ぶ方法があります。
書店で販売されている書籍を購入して学べるほか、企業やコンサルタントが開講しているスクールを受講するのも良いでしょう。
スクールによってはマーケティング関連資格の取得が可能な講座も多くあります。自身の状況に応じて書籍や受講するスクールを選択してみましょう。
オンラインで学ぶ
収益アップにつながるマーケティングや集客に関する知識を身に付けたい場合、オンラインで学ぶ方法もおすすめです。
- オンラインセミナーを受講する
- 動画教材で学ぶ
- ビジネス関連のオンラインサロンに参加する
- マーケティングや集客関連の情報発信を行うサイトで学ぶ
などの方法があります。
オンラインでマーケティングや集客を学ぶメリットは、隙間時間の有効活用ができる点です。
通勤時間や就業後など、任意のタイミングで知識を身に付けられます。書店やスクールに足を運ぶ必要がないため、自宅ですぐに学べるのも魅力です。
DokTechでも、マーケティングや集客に関する最新情報や会員専用コンテンツを随時更新しています。会員登録は無料です。マーケティングや集客に関する最新情報をチェックするツールとして、ぜひお役立てください。
まとめ
マーケティングと集客は、企業の収益向上に欠かせないものです。顧客のニーズを満たす商品やサービスの提供と、ニーズをもつ顧客へのアプローチを両立しなければなりません。
マーケティングと集客を別の施策として独立させて切り離すのではなく、双方の効力を伸ばせるような戦略を検討することが大切です。
著者情報
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独立・起業の最新ニュースや、明日からすぐ使えるテクニックを、分かりやすくご紹介!
フランチャイズ経営者やフリーランス、法人役員など、多種多様なキャリアをもつメンバーでお届けしています。
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