多店舗展開でビジネスを加速させる方法!成功事例も紹介
更新日:2023.10.2
投稿日:2022.9.5
店舗や事業所を経営している人、あるいはこれから経営したいと考えている人にとって、いかに収益を増やすか、ということは大きな関心ごとでしょう。効率よくビジネスを加速させるなら「多店舗展開」が有効です。
多店舗展開とは、収益を増やすための経営手法の一つです。文字通り店舗や事業所数を増やすことで、1店舗・1事業所では限界のある収益拡大が期待できます。さらにブランディングや経営の安定にも、多店舗展開は効果を発揮します。
しかし、経営の複雑化やコストの増大など、多店舗展開によるデメリットもあります。このようなデメリットを回避して、失敗しないためには多店舗展開のタイミングが重要です。軸となる事業を安定させ、成功ノウハウを構築したうえで、新しい出店をすることで成功する確率は上がるでしょう。
今回は、多店舗展開で期待通りの成果を得るために知っておきたい内容を、わかりやすくまとめました。とくに多店舗展開のメリット・デメリットを学ぶことで、今後の店舗展開に役立てて頂けます。
目次
多店舗展開の種類とメリット・デメリット
「多店舗展開」はおもに3つの方法があります。
- 直営店舗
- フランチャイズ
- のれん分け
それぞれの特徴や、メリットとデメリットをみていきましょう。
直営店舗
直営店舗による多店舗展開は、本部で新しい店舗を出店し、その店舗を直接本部が運営する仕組みです。
【メリット】
各店舗の店長やスタッフは、本部の企業が直接雇用をします。
業務フローや接客に関するマニュアルを徹底するなど、人材育成や管理を行いやすく、会社の方針や理念を店舗運営に反映しやすいことがメリットです。
また、販促の費用などを自由に配分することができ、店舗運営の自由度が高いことも特徴の一つです。
店舗の収益がそのまま本部の収益となるため、利益幅が大きいこともメリットといえるでしょう。
【デメリット】
変動費および固定費がデメリットとして挙げられます。人員は本部で直接雇用することになるため、各店舗の人件費は本部が負担します。
そのほか、店舗設備に関する投資など、出店や運営にかかわる経費を本部が支払うことになります。経費を抑えなければ利益を生み出しにくい経営体質になるでしょう。
フランチャイズ
フランチャイズによる多店舗展開は、フランチャイズ本部と加盟店が、フランチャイズ契約を結ぶことで成立します。
加盟店は、各店舗の売上のうち、フランチャイズ本部に一定の対価(ロイヤリティ、加盟金)を支払うことで、フランチャイズ本部の商標やノウハウ、運営サポートなどを得られます。
人材の確保や経費の負担などは、本部ではなく加盟店が担わなければなりません。
【メリット】
フランチャイズ本部と加盟店は、おのおのに業務に専念し、経営の効率化を図ることができます。
具体的には、フランチャイズ加盟店は日々の運営業務に専念しながら、フランチャイズ本部の専門的なアドバイスやサポートを受け、フランチャイズ本部は加盟店が多店舗展開することで自社ブランドの普及を図れます。
【デメリット】
フランチャイズ契約では、加盟店のオーナーは、フランチャイズ本部の直接雇用ではありません。
フランチャイズ本部は各店舗への命令権はないため、運営管理のレベルや徹底度合いは店舗ごとにばらつきが生じやすくなるといえるでしょう。十分な運営マニュアルの整備などが必要となります。
また、フランチャイズ加盟店の説明不足による顧客との契約トラブルなど、店舗の経営上の不手際が本部のイメージダウンになるリスクなどがあります。
のれん分け
のれん分けとは、本部の社員が独立して、本部の経営ノウハウにより事業を展開する制度です。
【メリット】
本部の企業からは独立をして店舗を経営するという意味ではフランチャイズと同様です。しかし、オーナーがもともと本部の人材であることで、一定の基準を保った店舗運営が期待できます。
【デメリット】
通常のフランチャイズ契約と比較すると、オーナーがもと従業員ということもあり、ロイヤリティは業界相場の最低限の額になるなど、本部に入る報酬額や取り分が低くなる傾向があります。
(※ロイヤリティの相場は、業界や本部によって異なりますが、基本的には契約時に両者が合意することで決まります)
フランチャイズ・直営店、あなたはどちらが向いている?
「多店舗展開」といっても、その形態がフランチャイズなのか、直営店なのかで、経営の仕方やメリット・デメリットは大きく異なります。
それぞれの形態で向いている人が異なります。
【フランチャイズによる多店舗展開】
フランチャイズ本部のサポートやアドバイスを受けながら、経営していきたい人には適した方法です。
フランチャイズ本部に加盟店は、加盟金やロイヤリティを支払い、フランチャイズ本部は加盟店に運営ノウハウやサポートを提供します。
加盟店の自由度は高くありませんが、ある程度定められた経営方針やルールの中で、できる範囲で創意工夫しながら店舗運営ができます。
【直営店による多店舗展開】
資金に余裕があり、経営者自身の想いやアイデアを反映しながら自由に経営していきたい人に適した方法です。
本部が店舗を直接運営するため、店舗運営の自由度は高いと言えます。しかし開業資金や人材雇用、人件費などもすべて本部の管轄となり、本部の業務と経費の負担は大きくなります。
そのためフランチャイズのようなスピーディな多店舗化は難しいことを念頭に置いておきましょう。
ただし、組織全体を統一しやすく、ルールや方針変更は柔軟に対応しやすい点はメリットです。着実に基盤を固めていくことが可能です。
どんな業種が多店舗化しているのか?
「多店舗化」している業種にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは私たちの生活に密着した、馴染みのある業種を挙げます。
- コンビニエンスストア
- 飲食店
- 美容院
- 学習塾や幼児教室
- 整体やマッサージ店
- コインパーキング
- ガソリンスタンド
このほかにも、幅広い業種が多店舗展開を行っています。いずれにしても自身が理想とする業種や働き方を、じっくりと検討することが大切です。
例えば、深夜営業が標準的な業種では、自身のライフスタイルで無理がないか、また参入しようとしている業種は好きや得意が活かせる分野なのか、といった内容を吟味します。
飲食店の多店舗展開で注意したいこと
なお、多店舗展開でもとくに人気を集めているのが飲食店です。
1店舗が軌道に乗れば、その成功ノウハウを活かして、次の店舗展開をしやすい業種だからです。また飲食業界では、「成功したい」という想いを持つ人が少なくありません。
飲食店の多店舗展開で失敗しないためのポイントがあります。料理や接客のレベルを上げることは大切ですが、それ以上に衛生管理など法的なルールをしっかりと把握して実践することです。
■2021年より、厚生労働省の政策として、食品等事業者のうちの飲食店営業に該当する
事業者に対し、HACCP(ハサップ)(※1)の考え方を取り入れた衛生管理が義務付けられています。厚生労働省が内容を確認した手引きを参照してください。
(※1)
HACCPとは、食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法です。この手法は 国連の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格 (コーデックス) 委員会から発表され,各国にその採用を推奨している国際的に認められたものです。
引用:HACCP(ハサップ)|厚生労働省
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理については、「食品等事業者団体が作成した業種別手引書」を参考にしてください。
これらの手引きを参考に手順書を準備し、従業員に周知するとともに、記録様式を利用して衛生管理の状況を記録、保存することが必要です。
多店舗展開で失敗しないための注意点
多店舗化を検討しているなら、タイミングの見極めが大切です。具体的にどのようなことに注意すればよいのでしょうか。
既存店の経営が安定している
既存店が安定して収益を出していることが重要です。新店舗が軌道に乗るまではある程度の時間が必要です。一般的には6か月~2年ほどで店舗経営の黒字化はできます。
多店舗展開で、3店舗4店舗と出店数が多くなれば、黒字化のスピードが短縮されるかもしれません。いずれにしても既存店の収益により、新店舗の資金繰りができる状態であれば当面は安心です。
成功事例の経営ノウハウが構築されている
既存店の成功により、そのノウハウを構築できていることが重要です。
どの集客ツールが効果的なのか、もっとも販売につながるキャンペーンやイベントはどれか、いかにリピート率を上げるかなどを分析して、構築されたノウハウを新店舗に応用します。
それにより集客や業務の効率化を図ることができ、新店舗の業績も成功しやすくなるのです。
人材の確保・教育および労働管理体制ができている
新店舗の立ち上げ業務に追われる中では、既存店を切り盛りできる人材が必要です。人材が不足していては店舗経営は上手く回りません。
多店舗化を失敗しないためには、十分な人材を採用し、接遇マナーのレベルを落とさないよう育成することが重要です。
なお、店舗運営を任せる店長や管理者の労働管理では、厚生労働省が定める「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化」について記載されたリーフレット(労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために)を参照してください。
近年、飲食店では時間外労働が問題視されています。労働基準法で定める時間外割増賃金や深夜割増賃金の支払いを行なわず裁判になるケースも珍しくありません。
労働基準法を準拠したうえで多店舗展開ができるように、管理監督者の労働管理にも配慮しましょう。
金融機関からの信用が得られ、資金の準備ができている
新店舗の立ち上げには、自己資金と融資を併用するケースが多いでしょう。金融機関の信用を得ていることで、好条件で融資を受けられる場合があります。
金融機関に相談し、希望に沿った融資が受けられるのかどうか、多店舗展開の際に事前に確認がとれていることが大切です。
多店舗展開の相乗効果を高められる3つのポイント
多店舗展開は、収益を増やす経営手法の一つです。業績を伸ばすためには、以下3つのポイントをうまく活用すれば相乗効果を高められます。
売上の増加・仕入れ費用のコストダウン
店舗数が増えることで全体の集客数の増加が期待できます。新規顧客・リピーターが増えれば、売上拡大に直結します。
また、仕入れの面では、発注数の増加により単価あたりのコストが抑えられます。すなわち、手元に利益が残りやすくなるという意味です。
認知度向上とブランディング
一定の地域内に新店舗を開業することで認知度があがり、ブランディングを図れます。
認知度向上やブランディングが上手くいくと、顧客に信頼性やロイヤリティを高められ、ライバル店よりも優位な立場となるため、結果的に集客数の増加が見込めるのです。
リスクの分散・回避
多店舗展開をしていることで、仮に1店舗が赤字でも、他店の収益でカバーできる場合があります。
1つの店舗の売上に固執するのではなく、展開する店舗全体で黒字になるように経営を安定化させられます。
多店舗展開で事前に回避しておきたい3つのポイント
多店舗展開における損失やデメリットを最小限に抑えるために、事前に回避しておきたいポイントを3つ紹介します。
経費が増加する
店舗を増やすことで、立ち上げにともなう費用のほか、店舗維持のための設備費、光熱費、人件費など諸経費が増加します。
売上が増えたとしても、それ以上に経費が増えれば、多店舗展開をしても利益は残せません。
経営管理が複雑化する
一般的に、店舗数が増えるごとに経営管理が複雑化します。スタッフの管理、教育から在庫管理まで、複数店舗で行わなければいけません。
管理が行き届かずに接客の質が落ちたり、在庫切れで売り上げの損失が起きたりなど、結果的に収益が下がってしまうという事態になりかねません。
十分な人員確保と人材教育が必要となる
店舗増加にともない、新しい人員が必要となります。また、オーナーが新店舗立ち上げの業務に追われる中で、既存の店舗を切り盛りできる人材も配置しなければなりません。
店舗増加の分だけ、十分な人員確保と行き届いた人材教育を要するため、コストと手間が増えてしまうことがあります。
これらのポイントを解決するには、効率的な経営努力が求められます。有効な手立てを次の章で取り上げます。
多店舗展開を成功させる秘訣とは?
多店舗展開をするならば、収益を増やして成功させたい、と誰もが考えるでしょう。多店舗展開を成功させるためのポイントについて、解説します。
資金面での入念な準備
店舗を増やすためには多くの資金が必要となります。自己資金や融資による十分な資金
の確保と、既存店の安定した収益が見込まれることが大切です。また、飲食店の休業や時短営業などが余儀なくされた状況では、産業雇用安定助成金や休業支援金などの制度が利用できます。
こうした情報収集も含めた準備が必要です。補助金に関しては、管轄の行政の窓口や補助金関連の情報サイトで確認できます。
運営面での入念な準備
フランチャイズ展開では、各店に経営を丸投げしてしまうと、店舗ごとに運営基準のばらつきが生じやすくなります。
対策として、運営マニュアルの完備と徹底を図ること、本部のアドバイスや運営サポートを適切に受けることが重要です。
また、店舗の立地に関しては、集客が見込め、既存店と競合しない出店エリアを分析、検討するなどの事前の市場リサーチ・戦略づくりも徹底しなければなりません。
成功事例にみる多店舗展開の戦略
多店舗展開を成功させるためには、前述している運営面や資金面での入念な準備のほか、デジタルツールの導入も注目されています。
とくに多店舗化に伴う経営管理の複雑化に関しては、近年DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用が普及してきています。これは、デジタル技術やデータをビジネスに活用させたものです。
例えば、飲食店の戦略的な多店舗展開をサポートするDXは、「人気メニューはなにか」、「来客数はどの程度か」、などを容易に把握することができ、業務の効率化や集客に活用できます。
【DX活用の成功事例】
(A社 小売業 東京都)
店舗での販売とオンラインの注文を併用していたため、在庫管理が複雑化し、在庫切れによる売り上げの損失が生じることがありました
。DX導入により、在庫管理が一元化され、リアルタイムで在庫把握ができるようになり、売り上げのロスが減少し、補充もスムーズになるなど、作業効率が上がりました。
多店舗経営に不安があるなら、フランチャイズがおすすめ!
多店舗展開をする際は、業種選びや資金・運営面での入念な準備が必要となりますが、それでも経営が成り立つのか、誰もが不安をもつものです。
フランチャイズなら、本部のノウハウやサポートで、安定した収益や経営が見込みやすくなります。フランチャイズの仕組みを賢く利用しながら、あなたも多店舗化を実現してみませんか?
当社では、フランチャイズに関するさまざまな不安や疑問にお答えし、アドバイスをさせて
いただきます。興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
著者情報
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