多店舗展開のメリット・デメリットと注意点|成功に導く運営のコツ

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多店舗展開のメリット・デメリットと注意点|成功に導く運営のコツ

更新日更新日:2023.5.10

公開日投稿日:2022.9.5

多店舗化のメリット・デメリットは?多店舗経営で失敗しないための注意点

事業規模を広げるにあたり、「直営店舗の多店舗化」または「フランチャイズ化」 という選択肢が浮かび上がった方は、少なくないことでしょう。「複数件の店舗を経営する」という意味ではどちらも似ていますが、2つの事業形態の間にはそれぞれメリット・デメリットがあります。また経営者によって向き不向きがあることにも、目を向けねばなりません。

本稿では「多店舗展開」を検討している方や事業拡大を目指している方に向けて、多店舗運営のメリット・デメリットを解説します。また、複数の店舗を経営するために必要な意識や注意点をまじえながら、その手法を解説します。

目次

多店舗展開とは 

「多店舗展開」の定義を解説します。多店舗展開には、さまざまなメリットやデメリット、事業を効率化するテクニックがあります。まずは基本から理解していきましょう。

文字通り多くの店舗を構えること

「多店舗展開」とは、字面のとおり“単体ではなく、多くの店舗を構える”という意味です。

複数の店舗を同時に経営することは、簡単なことではありません。「利益の高めやすさ」というメリットと、「新たな販促展開に失敗したときの損害額ダメージ」のデメリット、どちらの側面も多店舗展開は持っています。本稿では、メリットを活かし、デメリットを克服できるよう、事業の多店舗展開について分析していきます。

「フランチャイズ」と「直営多店舗展開」違い 

「フランチャイズ(FC)」も同様に“複数の店舗を構えた事業”のことを指します。しかし事業スタイルは大きく異なります。

「多店舗展開」はすべて自社の裁量で経営を行い、「フランチャイズ化」は自社だけでなく、加盟者にも裁量を与えて店舗運営を実施する経営スタイルです。フランチャイズと多店舗展開との具体的な違いをまとめたので、チェックしていきましょう。

直営多店舗展開の特徴

  • 追加店舗の立ち上げ時に必要な資材/人材などの費用は、すべて「自社」が調達する
  • 経営方針や販売促進のための活動は「自社」が考案し、実行する
  • 利益は、各店舗の売り上げから獲得できる

関連記事:多店舗展開でビジネスを加速させる方法!成功事例も紹介

フランチャイズ化の特徴

  • FC店舗の立ち上げ時に必要な資材・人材などの費用は、すべて「加盟者」が調達する
  • 経営方針は「自社」がある程度考案・指示できるが、実際に店舗を経営するのは「加盟者」となる
  • FC店舗の売り上げは直接的に「自社」のものにはならず、「加盟者」から支払われる“ロイヤリティー”を受け取る(「毎月の売上から10%だけ受け取る」「毎月の粗利に対する、一定割合の金額を受け取る」「契約時に定めた金額を毎月受け取れる」など)

関連記事:フランチャイズ事業本部の役割と本部構築に必要なこと

多店舗展開のメリット 

多店舗展開のメリット 

複数の店舗を運営すれば、事業を成長させるチャンスは大きく膨れ上がります。ひとつの店舗だけを経営する場合と比べて、利益だけでなくブランドイメージや従業員のやる気を全体的に押し上げることが可能です。そして長く事業を継続させるための経験値、ノウハウも蓄積できます。ここからは「多店舗展開」で生み出されるメリットについて、ひとつずつ注目していきます。

利益の向上

もしあなたの事業がすでに利益を上げていれば、その利益を生み出す仕組みを活かして店舗を増やすだけで、集客数や利益の向上を期待できるでしょう。事業の規模が広がれば広がるほど「資材の仕入れ費用が安価に抑えられる」「商品の販売量を増やせる」といった恩恵を受けられます。

このように、事業を大きくして受けられる恩恵のことを「スケールメリット」と呼びます。ひとつの店舗を経営しているだけでは達成しにくい目標も、スケールメリットによる「数の力」で実現しやすくなるということです。

従業員のモチベーションを高める

複数の店舗を経営することで、「店舗Aと店舗B、店舗Cの複数店舗の運営をまとめるスーパーバイザー」といった監督役のような人材も必要になります。あなたが展開した店舗の従業員から昇進させるような形で「たたき上げのスーパーバイザー」を用意すれば、求人広告などを出す費用を抑えられ、現場の声を知る監督としての活躍が見込めます。

これはスタッフ目線で言えば、立派な出世ルートです。「将来はスーパーバイザーやマネージャー職になれるかもしれない」といったように、スタッフの将来の職歴(キャリアパス)を用意すれば、モチベーションの高い労働を期待できます。

想定外の失敗を予防する「リスクヘッジ」

複数の店舗を運営していれば、とあるひとつの店舗が業績不振に陥ったとしても、「ほかの店舗の売り上げで損害をカバーする」といった形でダメージを分散できます。このように被害や危険性を分散することを「リスクヘッジ」と呼びます。

都市部では「新たな駅が開設された」「新しい商業施設やランドマークがオープンした」といった好ましい環境変化を期待できます。しかし「商業施設の中に競合他社が含まれているため、売上が減少する」「ランドマークが閉鎖したと同時に、自店舗の集客率も下がる」など、望ましくない事態も想像できます。そういった場合に起きうる損害は、リスクヘッジの観点から、早期撤退や移転オープンするなど、できる限り早い段階で予防すると良いでしょう。

ブランド認知度の向上

多くの店舗を立ち上げれば、その数だけお店の「看板」の数が増えていきます。あなたが経営する店舗の名前や外観を知る人数が増えれば増えるほど、売り上げアップの可能性が見込めるでしょう。

事業の印象を高めることをブランディングと呼びます。ブランディングを実行できれば、ビジネスの規模はさらに広がっていきます。事業を拡大して店舗を増やし、お店を街中で見かける機会が増えれば、単に「利益が上げられる」だけでなく「宣伝広告」としての効果も生まれることでしょう。

成功の秘訣や失敗の処理方法など、“ノウハウ”をためる

店舗同士のノウハウを共有することによって、事業の成長速度を高めるチャンスも得られます。「店舗Aでうまくいった経営術を店舗Bでも試す」「店舗Bでチャレンジした新しい試みを店舗Cでも検討する」など、成功した経験を多店舗にわたって波及させられます。

その一方で「店舗Cで起きてしまった失敗を反省して、店舗Aと店舗Bでは先に対策を講じる」といったように、体制を整えられます。攻めるだけでなく、リスクを抑えた経営も実現できます。店舗が増えれば増えるほど、事業の経験値はたまっていき、成功への道筋も失敗への対処能力も「経営ノウハウ」として蓄積できることでしょう。

関連記事:多店舗展開のメリットを最大限に活かした経営手法と具体的な実行方法

多店舗展開のデメリット 

多店舗展開のデメリット 

魅力的なメリットを備える多店舗展開ですが、単一店舗の経営とは異なるスキルや能力が求められたり、「運」に左右されて思わぬ損害を招いたりする可能性もあります。多店舗展開を計画する前に、まずはひとつずつデメリットをチェックしていきましょう。

必要経費が増える

多店舗展開では、新たな店舗の立ち上げにかかる費用をすべて自らが負担することになります。土地や店舗のインテリア・エクステリア、資材や設備、人材の確保などには多額の金銭的コストがかかるため、事業全体に影響が出る可能性もあります。これらのコスト面に不安が残る場合は、必要資材の価格や雇用にかける費用を引き下げるなどして、計画を見直しましょう。黒字になってから店舗を改装したり、人員強化をしたりする手段もあります。

複数店舗の経営管理能力が求められる

ひとつのお店を切り盛りすることと、複数の店舗を管理することの間には、経営管理において大きな差があります。これまでひとつの店舗のみを運営してきた方にとっては新たなスキルが求められることになるため、事前学習なしでは苦労することが多くなるかもしれません。

複数店舗の経営ノウハウは一夕一朝で身につけられるものではないため、学習コストがかかることを念頭に置きましょう。採用した人材がすぐに辞めたり、広告を出しても効果がなかったりなど、失敗をしながら学ぶこともあります。

また、仕入れや資材の整理、諸経費の計算などを店舗の数だけ処理する必要がありますし、仕入れミスなど偶然の事故が起きる可能性も増えます。そうしたアクシデントに備えるためにも、書籍、インターネット上から情報を集めて「ひとつの店舗を見る力」だけでなく「複数の店舗を見る力」を養う必要があります。また、同業・異業の他者から多店舗経営のコツを聞くなどして、今まで培ってこなかった大局的な管理能力を身につけていきましょう。

「出店エリア」と「出店タイミング」に左右される

店舗の経営がうまくいくか否かは、エリアやタイミングに影響されます。フランチャイズでは、市場調査や出店場所・物件に関するアドバイスやコンサルティングを受けられるケースも珍しくありません。しかし、多店舗展開は自前でエリアとタイミングを選ばなければなりません。

複数の店舗展開では、「店舗A」に続いて立ち上げた「店舗B」でうまく利益を上げられたのに「店舗C」では赤字続き……というケースも想定できます。出店した地域によっては、同業他社との競争が起きることもあるでしょう。そもそも店舗の業態によって「住宅街」「駅付近」「大通りに面した立地」など、適切な出店エリアもあるはずです。

さらには同業他社と出店タイミングが重なるなど、そのときの経済情勢や時事的な出来事といった「運」に等しい要素も絡む場合があります。そういった不安要素を回避するために、日頃からニュースや市場に関する情報を収集していくよう、注意が必要となってくるでしょう。

関連記事:多店舗展開のデメリットを解決し最適な時期に出店する方法

「フランチャイズ」と「多店舗」どちらを選ぶべきか

「フランチャイズ」と「多店舗」どちらを選ぶべきか

「フランチャイズ化」と「多店舗展開」に関して、どちらの経営戦略が自社の事業にマッチしているか考えてみましょう。

「フランチャイズ」が向いている方人

新規出店をするための資金や新たな人材を調達する金銭的な余裕がなかったり、自らの手で複数の店舗を経営する管理能力に自信がなかったりする場合は、「フランチャイズ」としての多店舗展開を検討してみましょう。

フランチャイズであれば「加盟者」が店舗の立ち上げから雇用、業務のオペレーションを行うことになるので、費用と時間の両方に余裕が生まれ、「お店ひとつの経営にかかる金額と労力」に近いコストを負担せずに済みます。ただし、その場合の主たる利益元はロイヤリティーなどから得るため、バックは直営ほど大きくありません。

関連記事:フランチャイズオーナーの年収・仕事内容・向いている人の特徴を徹底解説

「直営多店舗」が向いている人 

新たな直営店舗の立ち上げに向けて、自己資金・借入金の調達などに不都合がない場合、「直営店舗の複数展開」は有効な選択肢です。

直営であれば、事業主が自分で資金・資材・人材を用意しますが、利益は店舗から直接獲得できます。また、販促活動においても自由に実施でき、フランチャイズ加盟者とのコミュニケーションや指導などを行う必要もありません。

多店舗展開で注意すべき2つのこと

多店舗展開で注意すべき2つのこと

「多店舗展開」に向けて動き出す前に注意しておくべきポイントを解説します。 「勝負はときの運」とはならないように、丁寧な下準備を重ねた上で実行に移していきましょう。

資金面の余裕

「直営店舗の複数展開」には相応の費用を要します。例えば、都内の物件を借りて飲食関係の新店舗をオープンする際には、資材・設備とは別に「賃料10ヶ月〜12ヶ月分」を保証金として支払わなければならない場合もあります。

仮に賃料15万円/月とした場合では、150万円から180万円ほどの金額が必要となります。業態にもよりますが、居抜き物件(内装や設備などを引き継ぐ)でも数十万円から数百万円の金額がかかることもあります。

「店舗A」に次ぐ「店舗B」「店舗C」の展開によって、事業全体を動かす資金力が落ちないよう、金銭的な余裕が見込める状態で、店舗数を拡大しましょう。

金銭以外の“資源”の余裕 

資金以外の資源として、余裕のある人的資源を確保しなければなりません。「求人広告を出す」のであれば、紙媒体であるのかインターネット媒体であるのか、検討するべきです。「既存店舗のベテランスタッフを新店舗のマネージャーにする」という方針を取る際も、「指導役として適切かどうか」を慎重に見定めましょう。

また、コロナ禍による物流混乱による「新店舗のための資材」についても配慮しましょう。特に海外からの輸入が必要である場合は、取引先の国の中での物流、通関、国内での物流と、思わぬ遅延が起きる危険性が格段に増えてしまいます。

多店舗展開を失敗に終わらせない秘訣

多店舗展開を失敗に終わらせない秘訣

多店舗展開をした後は、どのような経営を行えば良いのでしょうか。本項目は「多店舗展開」だからこそ使える戦術や、次の一手を指すためのポイントを抑えていきます。

成功したノウハウを全店舗で取り入れる

「多店舗展開のメリット」のひとつとして紹介したように、2店舗目や3店舗目の運営で得られた成功をほかの店舗で活かせるか否か、都度検討するようにしましょう。成功体験を見過ごさず「なぜうまくいったのか」「どのように他店舗にノウハウを展開していくか」を考えながら実行に移します。

仮に「駅から近い立地の店舗Bで行った“季節のイベントに合わせた販促キャンペーン”で、売上15%アップした」のであれば、「大通り沿いの店舗Cで同じことをして、上手くいくか」などを検討し、店舗Cのためのプランを練る必要があります。

「ブランディング」を意識した経営方針を作る

自社が持つ強みを全店舗で活かせるようブランディングを図ります。店舗によって「○○のサービスは提供できない」「△△の販促活動を実施できない」といった状態にならないよう、経営方針を作ることが大切です。スタッフと顧客のためにも、全店で強みが発揮されるようにブランディングをします。

しかし、お店によっては、お客様のニーズや地域の特性を活かしたサービス提供も効果的です。例えばコンビニエンスストアでは、「住宅街付近の店舗であれば、品質の高い生活用品を多めにそろえる」「駅近くの店舗であれば、出勤・退勤時の会社員やOLのニーズに応じた品ぞろえにする」など、店舗ごとの個性を出せるようにしてみましょう。こういった対策をすることで、ブランドイメージを変えず、顧客のニーズを満たした経営ができるようになります。

「ドミナント戦略」を身につける

ドミナント(dominant)とは、英語で「支配力を持つ」「最有力な」などの意味を持つ単語です。また、ひとつのブランドを同じ地域に集中的に出店し、そのエリアを支配することをドミナント戦略と呼びます。ドミナント戦略は、特に競合他社を意識した上での経営戦略です。

ブランドイメージを高めるだけでなく、その印象の強さでライバルの参入を妨げたり、店舗同士の連携力を向上できたりと、相乗効果を見込めます。特に立ち上げから間もない時期であれば、店舗間のスタッフや資材の移動・搬送なども考えられます。ひとつのエリアを「ビジネスの縄張り」として意識することは、多店舗展開を成功させるために重要なポイントです。

コンビニエンスストアのような事業であれば、「大通りを挟んだ向かい側に同じ店舗を構える」「駅から商業施設までの間で、数百メートルおきの位置間隔で店舗を出す」といった形でドミナント戦略を実行できます。これにより、特定エリアの利用者に「コンビニと言えばこの店」といった意識を持たせられますし、競合他社も店舗をオープンしにくくなることでしょう。

最後に

本稿では「直営店舗の多店舗店開」について説明しましたが、事業によってはフランチャイズ化が向いているケースもあります。「他者に諸費用を負担してもらい、業務を委託していく」という手段が適切であればフランチャイズ化、「すべてのコストを自身の手で支えながら仕切っていくこと」を目指したいのであれば、直営店舗の多店舗化がマッチするはずです。

店舗を複数展開することで発生する心配事は多々あるかもしれませんが、メリットはそれ以上にあります。特に、“数”を増やすことによって得られるブランドイメージの向上は、BtoB/BtoCに限らず大きな魅力となることでしょう。

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DokTech編集部
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