家族でオランダ移住を叶える手段として起業を選択!複業家の仕事と人生の価値観

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家族でオランダ移住を叶える手段として起業を選択!複業家の仕事と人生の価値観

更新日更新日:2023.8.3

公開日投稿日:2023.8.1

多くの芸能人が海外移住するニュースをよく目にする昨今。海外移住に興味を持つ人もいるのではないでしょうか。

しかし、実際に移住するとなったら仕事はどうしていくのか?言葉の問題をいかに乗り越えるのか?多くの疑問や不安が生まれます。

今回インタビューをしたのは、報道記者の肩書を捨てオランダに移住をし、起業をされた鈴木隆秀さんです。現在では、複業でいくつもの事業を手がけていらっしゃいます。

「複業」体制で7年間にもわたり活躍されている原動力に迫りました。なぜ家族とともに移住する決断をしたのか、海外のビジネスで生き残るには何が必要なのかもお伺いしました。

日本社会の働き方に疑問を感じている人や、これからの時代をグローバルに生きていきたい人は、ぜひご覧ください。 

目次

自己紹介をお願いします。

オランダ在住7年目の鈴木隆秀と申します。妻と6歳と3歳の息子がいます。

オランダではあえていろいろな仕事をする「複業」体制で働いています。趣味はたくさんあり、星占いや動画制作、化石探しなど多岐にわたります。大切にしていることは睡眠です。

もとは静岡で放送局に勤めていました。そこから会社員を辞めてオランダに移住。現在は、被雇用者としての仕事が2つ、さらに自分の事業としている仕事が大きく分けると3つあります。

被雇用者としての仕事では「アムステルダム日本語補習授業校」という学校で校長を務めています。

日本語の補習校というのは世界中に230校ほどあるのですが、ご存知ですか。私たちの学校では、オランダの小中学校やインターナショナルスクールに通う主に日本人の子どもに、週一回、毎週土曜日に日本の国語や算数、社会などを教えています。

もう一つ被雇用者の仕事として、ライデン大学(ライデンにあるオランダ最古の大学・1575年創設)の日本学科で講師を務めています。 

自分の事業では「お茶」「日本語日本文化」「発信」の3つを仕事にしています。

1つ目は、静岡の名産であるお茶の卸売事業です。お茶文化を広めるためのワークショップも開いていて、日本の歴史や文化をオランダに住む世界中の人たちに伝えています。

2つ目は、日本語や日本文化の教師として、主に大人のオランダ人向けに学校や個人で教えています。

3つ目は、オランダ移住や働き方についての講演や、オランダに関して取材したり取材されたりする発信業を日本の国内外でしています。

<日本のお茶文化を伝えるワークショップの一場面>

オランダに移住されたきっかけは何ですか?

海外移住しようと思ったきっかけは、私個人の生き方から日本社会のあり方に至るまで、実はたくさんあって短い時間では語りつくせないのですが、ここでは2つ紹介します。

▼鈴木さんがオランダに移住するにあたってまとめた100の理由

会社を辞めオランダに移った100の理由|鈴木隆秀 (note.com)

1つ目のきっかけは自然災害です。日本は地震が多く、とくに住んでいた静岡は南海トラフの巨大地震が近い将来にやってくると言われています。

報道の仕事で東日本大震災や新燃岳噴火の取材にも行きました。この目で自然災害の恐ろしさをまざまざとみているので、住む場所を選ぶことの大切さは身に染みていました。 

静岡は津波のリスクも大きいです。仕事の関係上、外出する機会も多かったですが、海の近くにいたら逃げることはほとんど不可能です。

静岡に家を建てて、仕事をしながら暮らすことは選択肢から外しました。人生はいつ何が起こるかわからないものですが、避けられるものであれば避けようというリスクヘッジです。

▼鈴木さんのオランダライフを伝えるYouTubeチャンネルより

2つ目は、朝ゆっくり寝ていたい、きちんと休みを取りたいという理由です。私が知る限り、日本のサラリーマンは本当に働きすぎだと感じます。

とくに私が携わっていた報道の仕事は、それなりにやりがいがありましたが、休みが少なく、家族との時間が取れないことや定年してからでないとゆっくりした旅行に出かけられないことに疑問を感じていました。 

移住する5年ほど前から海外の情報を集め始めて、ドイツやフィンランドなど色々な国が候補に挙がりましたが、移住のしやすさとタイミングなどが合いオランダ移住を決めました。

オランダは起業することでビザがとりやすい特徴もあり、起業は夢の実現のためというよりは、移住の手段でしたね。(1912年に交わされた日蘭条約により、日本人が起業して移住するハードルが低く、優遇されています。)

<ご家族で子どもの誕生日祝いをしている一場面>

オランダでの生活や仕事において、日本との違いを感じることはありますか?

人が生きていくときに何を大事にするか、という優先順位に違いがあると思います。

日本の社会では、社会や組織が先にあり、そこに個人が属しているように感じます。オランダは個人が先にあり、そのような個人が集って社会や組織ができている印象です。これはあくまで私の主観で、どちらが良いというものでもありません。

日本ではどうしても組織が優先されがちなので、折々に窮屈さを感じることがありました。私はもう少し自由に暮らしたかったのでオランダ移住を決めました。 

決して日本の社会が仕事をしにくいというわけではありません。例えば「組織の中で出世したい」のであれば、日本のほうが目標に向けて動きやすいかもしれません。

別の世界を試してみたい気持ちでオランダへ

一概にどちらがよいとは言えない話ですが、自分のことに話を戻すと、私は新卒で就職して40歳まで日本社会で働いてみて、別の世界を試してみたい気持ちもあってオランダに来ました。

結果的には今まで生きたことがない別の価値観、世界観にふれることができ、またそうした中で新しい人生をつかめていることにとても満足しています。

ただし、日本人がオランダで暮らしていくためにはそもそも言葉の壁、文化の壁を乗り越えて生きていかなくてはならず、それはそれで並大抵の苦労ではないと感じています。

それらをふまえてもなお、私は日本を出てよかったと感じています。

オランダでの子育て(教育)は日本でのものと違いはありますか?

オランダの社会が「個人」を大切にする価値観で、日本は「集団」を大切にする価値観があると思います。その「個人主義」が、教育にも色濃く反映されていると思います。

私自身は日本で子育てをしたことがありませんが、自分の子ども時代、1980年代から90年代に教育を受けた立場として、日本では「勝つことが良いこと」という価値観の下で育てられたと感じています。

これが「個人主義」とどんな関係があるのかと思われるかもしれませんが、人それぞれの自由意思に基づいた進路選択を本当に尊重しているかといえば、当時、中学生または高校生の私には信じられませんでした。

たとえば、みんなが目指すべき大きな広い通りがあり、そこをまっすぐ突き進んで行けるのか行けないのかという価値観に支配されていたように感じているということです。

今になって振り返ると、常に競争を意識していました。両親は勉強しろとうるさく言うタイプではなかったので、学校や社会の空気とでもいうか、私の身の回りを取り囲んでいた価値観だったのだろうと思います。 転校が多かったことも影響しているかもしれません。

ごく簡単に言ってしまうと、私が育った時代は偏差値が高い学校に行くことや、有名な大企業に就職することが良いとされるような価値観があったと感じます。

 そうはいっても、私はそうした価値観に従順な子どもではありませんでしたが、自分が大人として社会の中で生きていくことを考えた時に、どのようなポジションを取るのがよいかということは自然に身についていった気がしています。

同時に、この歳になって自覚するのは、自分には優しさや思いやりが欠けているのではないかという反省です。

私が出会ってきたオランダの人たちはとても優しく思いやりがあり、彼らを見ていると、自分はなんと狭量な人間だろうかと情けなくなります。

人間らしさや優しさを体重に子育てをするオランダ

オランダでは社会的地位や収入などで計る「勝ち負け」よりも、人間らしさや優しさを大事にして子育てがされているように見えます。

「負け」が存在しないというと言い過ぎかもしれませんが、少なくとも「勝ち負け」にとらわれすぎない価値観とでも言えますかね。

「個人主義」を持ち出したのも、子どもや学生が何を勉強したいのか、どのような仕事につきたいのかについて、世間一般の価値観に左右されることが少なく、自分次第で比較的実現されやすい仕組みになっていると感じます。

自分の子どもはまだ小学校の低学年にいて、社会全体がよく見えているわけではないですが、こう感じるのは、社会が個人を尊重することに価値を置いているからではないかと感じています。 

教育のあり方も少し違います。

オランダで育った友人に聞いたことがあるのですが、小学校に通い始める4歳からの2年間、本格的な学校の勉強を始める前に、

同級生で輪になって他の子がどんなことを考えているのか、それに対して自分はどう思うのか、自分の考えをきちんと言葉にする練習をしているそうです。

そうして他人に共感することや思いやりを持つことなどを学んでいるそうです。

< 息子さんと過ごす一場面>

仕事をするうえで最も大切だと思われるスキルや能力は何だと思いますか?

仕事や人によっても違うと思いますが、私にとっては「日本語力」と「行動力」です。

移民一世が、オランダ人とオランダ語で競り合うのは無理がありますね。

そこでオランダの社会において、私が自分を生かせるポイントは何かと考えたら「日本語力」だと思いました。だから「日本語」を生かせる仕事を探しましたし、これが、私がオランダの社会でお役に立てる一番の近道になるとも思いました。

海外で生活をしていると、英語や他の言語力がついてくると思われるかもしれませんが、私は自分の母語である日本語を自分の大切な道具として手放すことなく生きています。

もちろん最低限の英語や現地語は必要ですが、外国語の能力が高くなくても手に職があったりしたら海外でも十分に生きていけると思います。 

起業にあたっては自分で仕事を作っていかなければなりません。そこで「行動力」は必要最低限の条件です。

行動力がなければ、仕事を生み出していけません。やってみようかと思ったら、その日に行動を起こします。

独立の妨げになったことや「これはきれいごと」だと思うことはありましたか?

行動力が大事だと話しましたが、行動に移す前の戦略も必要だと感じます。

ある程度貯金も必要でしょうし、自分が何に焦点を絞って力を注ぐのか、特に外国で生活していくとなると、行動力だけでは生きていけないと感じます。

友人にオランダに来て数年の寿司職人がいますが、彼はほとんど英語もしゃべれないと言います。

しかし寿司を握る腕前が一流なので、口コミでどんどん仕事の幅が広がっています。英語力がなくても、手に職があればそれを生かして生計を立てて行けると思います。

行動力はとても大事ですが、自分の強みをどのように社会に生かせるか、その自己分析と市場価値を考える戦略がないと、自分で仕事を続けて行くことは難しいと思います。

今後のビジョンや目標を教えてください。

まずはオランダでちゃんと生計を立てて、長く活動することです。移民としてオランダに暮らしていますが、オランダの社会にもっと溶け込むのが目標ですね。

子どもが成人する頃には、日本とオランダで二拠点生活をして、日本の将来に何か貢献できるようにすることも考えています。

今も日本に一時帰国するたびにオランダでの暮らしや働き方などについてお伝えする講演活動をしていますが、こうした活動をもっと広げようと考えています。 

そのためには健康でなければならないので、これからも睡眠を大事にしていきます。

最後に、起業を考えている方に向けて、アドバイスをおねがいいたします。

「行動力」と「戦略」が必要だというのはさっきお話した通りですが、日々の社会生活を営んでいると、例えば起業や独立をして今までの生活から抜け出すということはとても大きな力がいることです。

あきらめず、慎重かつ大胆に人生を切り拓いて行けるとよいですね。その先には、本当に充実した世界が待っていると思います。

もう一つ、私はオランダに来てわずか1か月で、当初想定していた仕事では十分な収入が得られないことが判明しました。

自分の軸を持ちながら臨機応変に仕事を見出し、また複業体制を築くというリスクヘッジを意識していたことで乗り越えることができました。

自分が持っているあらゆる能力を総動員して生き抜くんだという気概が、今につながっていると感じています。こうした私の話が、起業を考えている方のお役に立てればうれしいです。

「DokTech」取材担当者より

鈴木さん、ありがとうございました!オランダでの益々のご活躍を応援しています。

著者情報

DokTech編集部
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