フランチャイズで始める農業|開業資金やオーナーの年収・業界の将来性

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フランチャイズで始める農業|開業資金やオーナーの年収・業界の将来性

更新日更新日:2023.3.29

公開日投稿日:2022.9.5

フランチャイズで始める農業|開業資金やオーナーの年収・業界の将来性

農業と聞くと、大変で儲からないというイメージがあるかもしれません。しかしコロナ禍を経験し、食物の生産を海外からの輸入に頼っていると、輸入できなくなったとき危険だということが明らかになりました。農業を始めたいけれど経験がない。そのようにお考えの方に朗報です。農業にもフランチャイズで始める方法があることをご存じですか?今回はフランチャイズで始める農業についてメリット・デメリットや必要な準備などを解説します。

目次

フランチャイズで始める農業とは

フランチャイズで始める農業とは

フランチャイズビジネスとして始める農業とは、フランチャイズ本部と加盟店である農家がフランチャイズ契約を結び、農業ビジネスを展開することです。フランチャイズ加盟店は、本部と同じ品目の野菜や米、果物、生花を栽培・生産し、本部のブランド名のもと製品を出荷・販売します。

農業のフランチャイズは、農業の経験がない人や、営業や販路開拓に関するビジネスのノウハウがない人におすすめです。

なぜならフランチャイズに加盟することで

  • 農作物の栽培や生産方法の指導
  • 営業・販路開拓の支援
  • 商標使用
  • 新開発した商品・サービスの提供

といったサポートを本部から受けられるからです。その代わりに加盟店は加盟金やロイヤリティなどを支払うことで、農業のフランチャイズビジネスは成立します。フランチャイズオーナーは、初心者であってもスピーディーに事業を軌道に乗せられます。

しかし、農業のフランチャイズビジネスはメリットばかりではありません。一定の知識や技術を身に付けるまでに時間がかかったり、フランチャイズ加盟に一定のハードルがあったりと、デメリットとなる点もあります。

ここでフランチャイズで始める農業のメリットとデメリットを比較します。

農業をフランチャイズで始めるメリット3選

農業をフランチャイズで始めるメリット3選

農業をフランチャイズで始めるメリットを3点、紹介します。

  • 未経験からでも農業を始められる
  • 農地確保環境作りの支援を受けられる
  • 販売先がすでにある

どれも個人で農業ビジネスをする場合には、苦労を強いられることが珍しくありません。農家として生計を立てるためには、安定して農作物を生産し、一定量を供給することが必要です。さらに売上を立てるために、農作物を購入してもらえる顧客の存在が欠かせません。フランチャイズに加盟することで、こういった問題が解消されやすくなります。詳しいポイントを以下で解説します。

未経験からでも農業を始められる

農作物は家庭菜園でさえ、うまく収穫できないこともあるくらい知識がないと難しいものです。「農業は、家が農家で子どものころから農業に触れていないとできない。」「農家に弟子入りしないとできない」と思う人も少なくありません。フランチャイズの農業では、農地の獲得や農作物の栽培ノウハウのみにとどまらず、販路の確保などのサポートも受けながら運営ができます。栽培方法や販路の開拓など、自分で試行錯誤する時間が減り、要領よく進められます。したがって農業未経験者も、参入しやすいのです。

農地確保など環境りの支援を受けられる

まず農業を始めるに当たり農地を確保しなければなりません。しかし、農地確保には農業委員会や県知事の許可が必要です。許可を得るまでに以下に条件の一部をあげます。

・転用の確実性が認められるかどうか

・周辺農地への被害防除措 置が適切かどうか

・農地の利用の集積に支障がないかどうか

・一時転用の 場合に農地への 原状回復が確実と認められるかどうか

参照:農地転用許可制度の概要|農林水産省

個人で農地を確保するには、これらの条件を満たした上で市町村の農業委員会を通して都道府県知事の許可を得ます。さらに4ヘクタールを超える農地を転用する場合は農林水産大臣との協議が必要となります。フランチャイズに加盟すれば、この一連の流れを本部がサポートしてくれるところもあります。

販売先がすでにある

「本当に自分の製品が売れるのか」という不安は、農業だけに限りませんが、商品を生産して販売するビジネスをする人なら一度は抱えるものです。とくに独立起業では、販路開拓ができなければ事業を続けられません。

営業活動に注目をしたいところですが、個人で開業をすると、すべての業務を自分で行わなければなりません。販売先の獲得や栽培などの力が分散してしまいます。

フランチャイズの農業では、本部が販売先や輸送経路の開拓などをサポートしてもらえます。なかにはスーパーマーケットや市場などへの販売先や輸送ルートが整備されている、もしくは販路開拓を代行してもらえることもあります。いずれにしてもフランチャイズ加盟は、ゼロから販売先を探す必要がなく、栽培に専念できます。そして農産物には、鮮度も大切です。朝収穫した野菜が、昼前には店頭に並ぶルートが確保されているフランチャイズ本部もあります。

農業をフランチャイズで始めるデメリット2選

農業のフランチャイズは「すぐに成果を出したい」「時間をかけずにノウハウを吸収したい」「小規模で生産活動をしたい」という経営者には向きません。

農家として事業を成功させるには、消費者の需要にこたえられるよう、一定レベルの品質の農作物を安定供給することがポイントです。これを実現するためには、フランチャイズ本部による研修や一定の生産力が求められますが、加盟店によってはデメリットに感じることがあるかもしれません。詳しくデメリットの内容を説明します。

研修期間が長め

農業のフランチャイズ本部は長期間の研修期間を設けています。おおよそ1年~2年が目安です。農作物は天候や気候により年間を通して状況が変わりやすいため、短期間の研修では確かな知識や技能を習得することが難しいので研修期間が長めに設けられています。

また、農業は地域の人々との関わりが重要なビジネスでもあります。長い研修期間は周囲の人々と関係を構築するためにも必要です。

ただし1~2年の研修期間をきっちりこなすことで本部が蓄積してきた、数年では得られないような農作物の栽培方法やビニールハウス建設のサポートなど農業の知識やノウハウ、さらにはマーケティングの知識を習得することができると考えれば、決して長すぎることはないでしょう。

小規模だと加盟は難しい

フランチャイズの農業は、一定数の収穫量を確保して販売するのが基本です。小規模な事業を理想としている場合は、希望に沿ったフランチャイズ本部を見つけるのが難しいかもしれません。

また、初心者からも始めやすいとはいえ、経験者やすでにビニールハウスを持っている方限定という本部もあります。経験者と比べて未経験者は本部の選択肢が限定されます。

しかし、未経験であってもフランチャイズに加盟することは不可能ではありません。最近では、農業に参入する若者も増えていることから、未経験者向けのプランを提供する本部もあります。どの本部であれば自分が加盟条件に当てはまるのかよく調べてみましょう。

フランチャイズの農業、開業・運営費用はどのくらいかかる?

フランチャイズの農業、開業・運営費用はどのくらいかかる?

フランチャイズの農業を始める場合、開業資金および運営資金の費用がどのくらいかかるのかを紹介します。

開業資金は500~600万円が目安

一般的に農業を始めるために必要な開業資金は、1000万円程度です。しかし、フランチャイズであれば、開業資金の目安は500~600万円で済みます。

ただし本部によって変動するため詳細はご確認ください。中には初期費用は0円でも始められるフランチャイズもあります。

開業資金が発生しない代わりに、売上から一定の料金(コスト)が差し引かれるビジネスモデルが採用されています。

開業資金は500~600万円が目安

フランチャイズの農業の主な開業資金のうちわけとしては、以下のとおりです。

  • ビニールハウスの建設
  • 土代
  • 農具・設備費
  • 研修費
  • 生活費

ただし、それぞれの費用は取り扱う農作物によって変わることに注意してください。例えば大規模な農地で稲作を行う場合は大型農機を調達する必要があります。

また、農業フランチャイズには1~2年間の研修期間を設けている本部が多いため、研修期間中の生活費についても開業資金の1つとして見積もっておきましょう。

運転資金は上限150万円まで

運転資金は上限150万円まで

農業フランチャイズの運営資金は、1ヵ月で数十万円~150万円程度です。

主な運営資金の内訳としては、

  • 人件費
  • 肥料費
  • 農業薬剤費
  • 農機具賃借料
  • 燃料費
  • 出荷費
  • ビニールハウスの電気代・修理費
  • ロイヤリティ

などがあげられます。

農地は購入ではなく賃貸やリース利用することが多いのですが、その場合は毎月の賃貸料もかかります。

賃貸料の目安は2019年度に全国新規就農相談センターが実施した調査結果によると、農地を賃貸する場合は10アール(約302.5坪)あたり月1.5~2万円が相場です。地方によって金額が違います。

さいたま市を例にあげると、平均額が13,200円となっています(ここでさいたま市を例に挙げた理由はありません。1つの参考情報としてご確認ください)。

参照:農地の賃借料情報|さいたま市

施設栽培を予定している方で農地を賃貸せずに済んだとしても、ビニールハウス内の温度や湿度を整える設備のメンテナンスに費用がかかります。

事業規模や栽培する作物などによっても費用がかかるポイントが変わってきます。

農業のフランチャイズオーナーの平均年収

農業のフランチャイズオーナーの平均年収

農業のフランチャイズオーナーの平均年収は400~500万円程度が見込めます。ボーナスは見込めないため、月給に換算すると33万円~42万円程度です。

兼業や副業として農業に取り組む場合は約300~400万円、主業農家で約400~600万円ほどです。

なかには800万円~1,000万円を得る、高収入のオーナーもいます。あるフランチャイズ本部では、すべての農作物をその本部が規定の価格で買い取り、前もって契約していた小売店や飲食店に作物を転売するというビジネスモデルを採用しています。

このようなフランチャイズの農家は作物の価格変動や在庫に悩まされることはありません。本部のブランド力を活かして、設定している買取価格は一般的な買取価格よりも高額なため、その本部のフランチャイズ農家になり年収1,000万円になった農家もあります。

なお、フランチャイズにかかわらず農業を主業とする農家での農業所得は425万円です。

参照:農業構造及び所得の動向|農林水産省

フランチャイズの資格・免許

フランチャイズの資格・免許

農業フランチャイズを始める際に、特別な資格は必要ありません。

しかし農作物の運搬に軽トラックを運転する、作物の量によってはトラクターで公道を走ることもあります。そのため業務で使う車両にあわせて、必要な自動車免許を取得する必要があります。

ほかにも、

  • 農薬管理指導士
  • 農業機械士
  • 日本農業技術検定
  • 日本農業検定
  • 農業簿記検定
  • 土壌医検定
  • 野菜ソムリエ

上記のような資格を持っておくこともおすすめです。農業全般や農機、農薬にまつわる資格です。資格を持っていることが条件ではありませんが、農業の知識を深められるため持っておくと良いでしょう。

フランチャイズの農業にはどんな準備が必要?

フランチャイズの農業にはどんな準備が必要?

農業のフランチャイズに加盟をした後、開業に向けてどのような準備をするのか紹介します。

フランチャイズ加盟者がやるべきことは、おもに研修の受講と農地・農業設備の確保です。項目としては多くはありませんが、時間や手間がかかる内容が含まれていることをご了承ください。

準備を怠ってしまうと、フランチャイズ事業を始めた後でわからないことや足りないものが出て、スムーズに日々の農業業務を行えなくなるリスクがあります。

ここでは農業のフランチャイズで事前に知っておくべき準備について説明します。

本部による研修の受講

まずフランチャイズ本部による研修を修了する必要があります。研修の内容や費用、期間はそれぞれの本部の方針によりますが、一般的な内容は以下のとおりです。

<座学>

  • 栽培する作物の知識
  • 農業を運営する上でのマネジメント知識

<実務研修>

  • 設備準備
  • 栽培管理と収穫
  • 独立に向けて準備すべきこと

研修でさまざまな農業に関する基礎を学べます。

農業の知識がない方は研修が手厚い本部を選ぶことで、農作業だけでなくマーケティングについての知識も深められるでしょう。

農地や農業設備の確保

農地は、農業委員会や県知事の定める基準を満たしている必要があります。条件は「農業をフランチャイズで始めるメリット3選」でも記したとおりたくさんありますが、基本的には本部がサポートしてくれるため心配ありません。

また、フランチャイズの農業運営では、運搬用自動車、トラクター、コンバイン、草刈り機、クワやカマのような農機や設備が必要です。種類は扱う農作物にもよるのであくまでも一例です。使う頻度の少ないものに関しては借りることもできます。設備調達の方法については、本部から情報提供をしてもらえるのでまずは相談してみましょう。

フランチャイズ本部選びのポイント

フランチャイズ本部選びのポイント

フランチャイズ本部には、さまざまなコンセプトがあります。自社のレストランや居酒屋に卸すために農作物を作っているところもあれば、大型スーパーへ卸すことを専門にしているところもあります。また、扱う農作物によっても必要な準備が異なります。

たとえばレタスなど土を使わず水耕栽培できるものの場合は農地よりも工場を用意しなければならないということも考えられますので、本部のコンセプトや方針をよく調べて、共感する本部を選びましょう。

フランチャイズの農業は研修期間が長いため、研修内容が充実しているかどうかも重要なポイントとなります。どのような教育が行われているのか、さまざまな会社を比べてみることをおすすめします。

最後に作業の効率化を図っているかどうかも重要です。マンパワーだけでなく、在庫の管理にうまくIT(在庫管理アプリやソフト、ほかにもIoT技術など)を取り入れて効率化を図ることができれば、収益を伸ばすことができるでしょう。

フランチャイズの農業事業におけるリスク

フランチャイズの農業事業におけるリスク

自然を相手にする農業では、大雨や台風など、自然災害のリスクがつきものです。

大きな被害を受けたときのことを考えて、国や地方自治体の支援制度を調べておくと安心できるでしょう。自然災害だけでなく農業従事者に対する支援制度が整備されています。一例を挙げると「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」 「経営所得安定対策」「農業経営基盤強化準備金制度」「農業次世代人材投資事業(経営開始型)」などです。

自然災害以外にも農作業によるケガ、害虫問題などのリスクも考えられます。基本は本部の研修の中で学ぶこともできますが、さまざまなケースが考えられますので、自分の農地で予測されるリスクや対処法などをあらかじめチェックしておくとスムーズです。

また、農業に携わる上で、地域の方々や販売先の方など多くの人々とかかわることになります。販売先は本部が確保してくれたとしても、良好な関係を構築できるよう、コミュニケーションを円滑にすることが大切です。

フランチャイズで始める農業の将来性

フランチャイズで始める農業の将来性

農業従事者の高齢化により、若者の新規就農に期待が高まっています。しかし、農業は簡単に習得できるものではないので、なかなか未経験者が参入することが難しい業界です。それでも農業に興味があり、経験ゼロから挑戦するのであればフランチャイズ事業への加盟が近道です。

フランチャイズの農業であれば、初期費用、ノウハウの習得に関してハードルが低くなるといえます。中には初期費用0円で始められるという本部もあるほどです。飲食店やコンビニエンスストアなどに比べると、まだフランチャイズが普及していないので、参入の間口は広いでしょう。

また最近ではスマート農業といったIT技術の活用を積極的に取り入れている本部もあります。例えば、ビッグデータを活用して24時間体制で温度などの管理をしたり、ドローンを使って種まきや農薬の散布を行ったりすることもできます。従来では人の手で行っていたことが、スマート農業の導入により、コスト削減にもつながります。それだけでなく、フードロスを減らすことができれば、環境にも優しい取り組みになるかもしれません。

まとめ

農業をフランチャイズで始める方法やメリット・デメリットを見てきました。

新規参入をしやすい業界ではありませんが、フランチャイズでなら参入のハードルが低いと言えるでしょう。

フランチャイズの農業ビジネスは、まだまだ普及しておらず、これから発展が見込まれる業態ですので、ぜひフランチャイズの農業で開業してみてはいかがでしょうか。

開業後すぐにイメージは湧きづらいかもしれませんが、地域経済の発展や日本の食にも貢献できる社会的な意義も大きいビジネスと言えるので、農家としてのやりがいを長期にわたって感じられるでしょう。

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DokTech編集部
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