50代の起業は遅くない!起業しやすい職種と成功ポイント、注意点
更新日:2023.10.5
投稿日:2023.5.4
目次
50代の起業が人気です。50代は長年の会社員経験で培った経験やスキル、人脈を活かせます。
さらに若い人と比べ資金力もあります。メリットが多く、起業しやすい年齢です。定年退職をすることもないため、好きな仕事を生涯現役で続けられるでしょう。
しかし50代なら誰でも起業に成功するわけではありません。起業には「成功しやすい仕事」と「しにくい仕事」があります。
さらに社会のニーズや市場の動向をしっかりと分析し、成功の勝算を高めることも忘れてはなりません。
今回は起業を考える50代の人が「本当に起業に踏み出すべきか」判断できるよう、以下の内容を説明します。
- 50代の起業で成功しやすい仕事・しにくい仕事
- 50代の起業の成功ポイント
- 50代で起業を決断するときの注意点
これらを理解することで、リスクを減らし起業に踏み出すことができます。本稿を参考に、これから進むべき道を見定めましょう。
50代の起業が人気!その背景とは
起業というと野心とパワー溢れる若い人が、夢を抱いて挑戦するイメージがあるかもしれません。しかし実際は50代以上の起業家は少なくありません。
とくに男性のフリーランス起業家の数が多く、50代が全体に占める割合は30.8%と全年齢層で最多です。
(参照:令和元年度(2019年度)の中小企業の動向 | 中小企業庁)
この背景には、日本人の平均寿命の上昇が挙げられます。2023年現在、平均寿命は男女ともに80歳を超え、「定年退職後の生活をどう営むか」が大きなテーマです。
長い老後を「好きな仕事をしながら過ごしたい」「収入を上げ自由な生活を手に入れたい」と考える人が多く、そうした人が定年後のキャリアを考え、50代から準備を始めるのです。
フリーランスや個人事業主として働き始め、定年後に法人を立ち上げる人もいます。50代の起業を後押しする動きもあります。
東京都では「創業サポート事業」をとおし、シニア世代(55歳〜)への融資や、セミナーの提供を行っています。「日本政策金融公庫」もシニア世代が利用しやすい融資制度を設けています。
社会全体で、50代以上の起業家を支える動きが盛んです。
(参照:創業サポート事業 | 東京都)
(参照:女性、若者/シニア起業家支援資金 | 日本政策金融公庫)
50代で起業するメリット
50代で起業するメリットを紹介します。
<50代で起業するメリット>
- 楽しさややりがいのある仕事に携われる
- 老後の生活を支える仕組みを早くからつくれる
- 副業で始めれば、定年退職後の本格始動に向けた準備ができる
- 長年の会社員生活で培った技術を活かせる
- 成功事例や失敗事例を多数経験しているため、成功するビジネスモデルを構築しやすい
- 豊富な人脈を生かしたビジネス展開ができる
- 若者と比べ資金力が豊富
とくに後進に道を譲り、会社で「自分の力を出し切れていない」と感じる人は、やりがいや技術の活用を魅力的に感じるのではないでしょうか。
50代の起業は、老後の準備に有利なだけではありません。自分が活躍する場をつくり、人生を輝かせる機会にもなります。
55歳以上の起業はシニア起業と呼ばれます。シニア起業の詳しい内容は「シニア起業の成功事例からメリット・注意点までを網羅解説」をご覧ください。
メリットを挙げましたが、50代の起業は以下の理由から、リスクが高いとみなされます。
- 年齢的にやり直しがきかないこと
- 融資が受けづらいと思われがちなこと
- 健康不安があること
たしかに50代で会社を辞め独立した場合、失敗しても会社員に戻る選択肢はありません。健康に事業を続けられるかわからないため、健康な30代・40代よりは融資も受けづらいでしょう。
メリットを享受できるよう、リスクも理解し、対策しておくことが必要です。
50代の起業で成功しやすい仕事3選
50代は起業しやすい年代です。しかし起業には「成功しやすい仕事」と「しにくい仕事」があります。成功しやすい具体的な職種や業界は次のとおりです。
- 士業・コンサルティング業
- 人材紹介業
- クリエイティブ系・IT系専門職
起業を決断する前に、まずはあなたの職種が起業で成功しやすいか判断しましょう。
実績を活かした士業やコンサルティング業
士業は行政書士や会計士、税理士、コンサルティングは経営やマーケティング、WebやSNS集客などのコンサルタントとして業務をおこなう専門職です。
士業やコンサルティング業の魅力は2つあります。一つはリスクが少ないこと、もう一つは豊富な経験を活かせることです。
低コストで始められる
これらの職種に大掛かりな設備は不要です。事務所には仕事机と応接机を設置すれば済みます。一人で起業ができ、最小限の資金で事業を開始できます。
顧客目線で仕事ができる
士業は経験者だけでなく、会社勤務を続けながら勉強し、資格を取得し晴れて開業する人も多いのが特徴です。
新規参入者は、専門性や実務経験ではベテランの専門家に劣ることがあるかもしれません。しかし、会社員の人生経験は顧客と共有しやすく、顧客目線で仕事を進められます。
50代の豊富な人生経験が、若手にはない魅力になり、顧客の心を掴むのです。
人脈を活かした人材紹介業
人材紹介業も低リスクで始められる業種です。人材紹介は、求職者を企業に紹介する採用支援サービスです。
大掛かりな設備は不要で、求職者の秘密が保持できるスペースがあれば仕事を始められます。
ただし都道府県の労働局に開業を申請し免許を交付してもらわなければならない「許認可事業」のため、士業やコンサルティング業ほどの手軽さはありません。
50代におすすめする理由は、これまで培った人脈を活かせるからです。
深くつきあった実績のある企業が多いほど、求職者には詳しい情報を提供できます。ビジョンや社風などを伝えられることは、求職者にとって大きなメリットです。
人脈豊かな50代が起業するからこそ、差別化が図れます。
在宅でできるクリエイティブ系・IT系専門職
リスクも資金も少なくて済むのが、クリエイティブ職やIT職などパソコンを使った職業です。
個人かつオンライン上で仕事を請け負うため、小規模に済ませるのであれば法人を設立する必要もありません。事務所も不要です。
50代には豊富な実績と信頼があります。これまでの実績から仕事を取りやすく、大掛かりな営業も必要ありません。
さらにフリーランスであれば、クラウドソーシングサービスでも仕事を探せます。そのさいにも過去の実績が、若手との差別化に繋がるでしょう。
関連記事:クラウドワークスはやめたほうがいい?稼げない9つの理由とトラブルの防ぎ方
50代の起業で避けるべき仕事2選
50代の起業で避けておきたい仕事を紹介します。
- 継続的なサービスが必要な仕事
- 体力を使う仕事
あなたが起業をして、成功しにくい仕事を選んでしまった場合、大きなリスクが伴います。起業しても成功率が低いため、対策が必要です。
ここでは対策の具体例も含め説明します。
継続的なサービスが必要な仕事
50代の起業で成功しにくい筆頭は、継続的なサービスが必要な仕事です。代表的なのは、定期的に保守・点検をしなければならない設備保全や、メンテナンス業です。
これらの仕事を50代で始めた場合、顧客は「10年後、20年後も仕事を対応してもらえるだろうか?」と不安を抱く可能性があります。
どんなに健康に自信があっても、高齢になるにつれて疾病にかかるリスクは高くなり、仕事が続けられなくなるかもしれません。
長期にわたって顧客をサポートし続けるような仕事はおすすめできません。
継続的なサービスが必要な仕事への対策方法
長期にわたる継続サービスが求めれる職種で起業する場合、極力早期に若者を雇い、育成することをおすすめします。後継者に元気な若者がいれば、顧客の安心感も変わるでしょう。
体力を使う仕事
体力を使うハードな仕事もおすすめしません。今体力に余裕があっても、10年後の状況は誰にもわからないのです。
年齢とともに、徐々に無理が効かなくなり、できる仕事の量も減少します。さらに頑張っても20代~30代の若い人に勝てなくなり、仕事を奪われることにもなりかねません。
体力を使う仕事への対策方法
体力を使う仕事で開業するなら、以下の3点を心がけましょう。
- 普段から体の調子を見極め、少しでも変調があれば早めに対処する
- 就業不能保険に入る
- 若手人材を雇い、後継者として育てる
これら3点が失敗を防ぎます。
50代での起業の成功ポイント3選
50代で起業する成功ポイントをわかりやすく説明します。
- これからの社会ニーズを慎重に探る
- やりがいを軸にしても利益を無視しない
- おすすめは一人で始める「スモールビジネス」
50代は技術も経験も申しぶんないため、「起業すれば必ず成功する」と自信をお持ちの人もいるかもしれません。
しかし、事業の成功にはポイントがあります。これらのポイントを抑えて事業を始めましょう。
50代で起業したい女性向けの記事「50代女性が起業して成功するには?アラフィフから好きな仕事に挑戦する方法」もあわせてご覧ください。
これからの社会ニーズを慎重に探る
現代はテクノロジーや情報技術の発展により、社会のニーズが刻々と変化しています。
起業前には長期的な視点で事業を見つめ、成功の可否を見極めなければなりません。60代・70代まで仕事を続けると仮定すると、20年続くビジネスを構築しなければならないのです。
たとえば、あなたがホームページデザインで独立するケースでは、「テクノロジーの進化でプロとアマの垣根がなくなってきている」ことを念頭におかなければなりません。
今の時代、ホームページをつくるだけなら誰でもできます。単にコーディングの能力が高いだけでは、5年後にはニーズがなくなるでしょう。
将来を見据えたビジネスプランの必要性
思わず「さすがプロ!」と唸らせる優れたデザイン力を活かすことや、Webコンサルティングまで業務を拡大するなど、将来を見据えたビジネスプランを考えなければなりません。
50代は技術的に高度な人が多く、技術を売りにすれば儲かると思いがちです。現在のニーズだけでなく、未来を見つめ、慎重に事業計画をする必要があります。
関連記事:これから伸びる10業界!今後縮小する業界と将来性のある資格も紹介
やりがいを軸にしても利益を無視しない
年齢が上がるほど、起業の目的をやりがいに据える人が多くなります(※注1)。しかしどんなにやりがいを重視しても、事業である以上利益は無視できません。
社会貢献だけに焦点を当てると、利益を出すことと結びつかなくなります。「社会貢献をしつつ、自分や家族の生活を支える」と考え、しっかりと利益を出せるビジネスモデルを構築しましょう。
またこれまで会社で営業活動に携わらなかった人には、「お金の話が苦手」な人も少なくありません。
顧客からもらうお金は、提供するビジネスの対価です。適切なお金をもらうことで、はじめて責任ある取引関係が成立します。
お金が介在する関係性にも慣れていかなければなりません。
※注1)(参照:シニア起業家の開業〜2012年度「新規開業実態調査」から〜 | 日本政策金融公庫総合研究所)
おすすめは一人で始める「スモールビジネス」
大企業で規模の大きな事業に携わってきた人は、自分の事業まで規模を大きく捉え、起業のハードルを上げてしまいがちです。
仲間を何人も引き連れ法人を起こすなら別ですが、単身独立し事業を始めるなら、大きな規模にはなり得ません。一人でできる仕事には限界があります。
独立に大切なのは、身の丈にあう規模からスタートすることです。事業の全体像をあなた一人で把握しうるのが理想です。
起業は無料でもできます。資金をかけずに事業をはじめる方法は「低資金で開業できる仕事13選|自己資金0円~300万円以下のコスト別で紹介」をご覧ください。
ひとり起業のススメ
おすすめは一人でできるスモールビジネスです。
これはひとり起業とも呼ばれています。可能であれば借入もせず、あなた自身のお金で賄える範囲から始めます。
自宅でできる仕事ならば、わざわざ事務所を借りる必要もないでしょう。
できるだけリスクを下げ、事業の進み具合を一つひとつ確かめながら、確実に利益を出せるビジネスモデルを確立します。そこから大きな会社に育てたいなら、さらなる投資を行い、人員を増やせばよいのです。
関連記事:一人で起業するには?ひとり起業のメリットや向いている人、アイデアの出し方
50代の起業で失敗を防ぐ3つの注意点
成功ポイントがあるいっぽう、失敗しがちなポイントもあります。起業を決断する前に、必ず注意点を確認しましょう。
- 未経験の分野には手を出さない
- 巨額の資金がかかる規模の大きなビジネスは避ける
- 自身の体と向きあい健康リスクを管理する
万一注意点を考えずに起業した場合、老後の幸せな生活が崩れ去る事態にもなりかねません。
50代は若者と違い、やり直しがきかない年齢です。一度の起業で成功できるよう、慎重になるべきところには、慎重を期します。
未経験の分野には手を出さない
50代の中にも、これまでの会社員生活とまったく別の道で独立を考える人がいます。
- 会社とは別に長年趣味で知識をつけてきた
- 会社と並行して長年アルバイトに従事した
など、なんらかの根拠があれば良いのですが、そうでない場合はおすすめできません。
もちろん「長年の夢」「人生の目標」など、起業をするには理由があるはずです。しかしそれを叶えるには、起業して成功できるだけの根拠が必要です。
根拠は、十分な知識や経験、強みに裏付けられることが多く、未経験で実現し得るものではありません。未経験分野には手を出さないのが賢明です。
どうしても飛び込みたい場合は、
- 会社員のうちに副業をしてスキル・ノウハウをつける
- まずはアルバイトで実地経験をする
など、経験と実績をつくる努力が必要です。
関連記事:副業から起業を目指すメリット3選!未経験者の起業アイディアの見つけ方
巨額の資金がかかる規模の大きなビジネスは避ける
前章でスモールビジネスをおすすめしたとおり、最初から多額の資金が必要な大規模なビジネスを手掛けるべきではありません。
これまで規模の大きなビジネスを行えたのは、会社員だからです。会社に長年の実績と信頼があり、各部門が協力しあい仕事を進められたからこそ、実現できたことです。
起業直後は信頼も実績もありません。人を集めることは容易ではなく、事業を推進するのに時間もかかるでしょう。
また、規模の大きな仕事は借入金額も大きくなり、リスクも上がります。
失敗して負債を背負えば、幸せな老後を考えている場合ではありません。やり直しがききにくいぶん、初期費用を抑え、極力リスクを低くする意識も大切です。
関連記事:シニア起業でやってはいけないことと事業を成功に導くポイント
自身の体と向きあい健康リスクを管理する
50代は健康問題も起こります。これまで元気に動いていた体も、徐々に衰えを感じはじめます。
病気のリスクも高く、とくに心筋梗塞と脳卒中のリスクは50代から高まります(※注3)。起業のさいには自身の健康と正面から向きあうことが大切です。
条件は3つあります。
- 無理をしないこと
- 定期的に健診を受けること
- 就業不能保険に入ること
中でも「無理をしないこと」が意外と難しいポイントです。会社員時代は労務管理されており、あなたが無理をするようならそれを引き止める人がいます。しかし独立すると労務管理もあなたの仕事です。
起業後は誰しも頑張ります。ついつい働きすぎても、止めてくれる人はいません。体を壊してから、健康の大切さに気付いても遅いのです。
50代で起業をする人は、10年、20年と長く働くことを目指しているはずです。そのためには、自身の健康管理を怠らず、ときには仕事をセーブする姿勢も必要です。
※注3)心疾患の人口動態
(参照:心疾患-脳血管疾患死亡統計の概況 人口動態統計特殊報告|厚生労働省)
脳卒中の人口動態(東京都)
(参照:脳卒中と診断された患者|東京都福祉保健局)
さいごに
50代で起業する人が増えています。会社員時代に培った技術や経験、人脈があり、資金も豊富なため起業しやすい環境だからです。
しかし起業をすれば誰でも成功するわけではありません。起業に向いている職種、向いていない職種があります。
<起業に向いている職種>
士業、コンサルティング業、人材紹介業、クリエイティブ職、IT職
<起業に不向きな職種>
継続的なサービスが必要な仕事、体力を使う仕事
また起業で成功を引き寄せるには、「成功ポイント」をおさえた上で、「失敗を避けるポイント」に留意する必要があります。
<成功ポイント>
- 得意分野だけでなく社会のニーズ、とくに未来のニーズを探る
- 社会貢献を重視しても、利益を無視しない
- 「スモールビジネス」から始める
<失敗を避けるポイント>
- 未経験分野には手を出さない
- 規模の大きな事業を計画しない
- 自身の健康状態と向きあう
本稿の内容をしっかりとおさえ、まずは起業の可否を判断します。
起業が可能であると判断できたら、本格的にビジネスプランを考えましょう。具体的な起業準備の手法は、以下の会員記事でお届けしています。
■起業準備で大切なこと 『ToDoリスト付き!事前リサーチ~資金調達でやるべき起業準備の完全まとめ』 『再就職は難しいミドル・シニア世代ならではの起業術!準備で成功を勝ち取った事例集』 ■会社員のうちに取り組みたいこと 『ミドル・シニア世代が理解しておきたい「キャリア自律」の重要性』 『ミドル・シニア世代必見!成功を引き寄せるキャリア自律の5ステップ』 *ご登録はこちら |
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