フリーランスと自営業、個人事業主の違いは?メリット・デメリット徹底比較
更新日:2023.5.3
投稿日:2022.10.19

目次
フリーランスと自営業・自由業・個人事業主の違い

フリーランスと似た言葉のなかに、自営業や自由業、個人事業主があります。すべてに共通するのは「独立している」点ですが、これらは働き方や税制上で呼び方が異なります。
仕事内容を見ると似たような業種もあるため、どの仕事がどの呼び方に該当するのか曖昧に感じる部分もあるでしょう。
本章ではそれぞれの違いを解説するので、自分が目指すべき方向性を明確にするヒントにしてください。
関連記事:「独立」とは│起業・創業と何が違う?独立を成功させる6ステップを解説
フリーランスと自営業の定義上の違い
フリーランスと自営業の違いは以下のとおりです。
- 自営業:自分で事業を営む人(法人を設立している人も含まれる)
- フリーランス:企業と雇用契約を結ばずに個人で仕事をする「働き方」
フリーランスも「自分で事業を営む人」で間違いありませんが、あくまでも「働き方」を指すため、自営業の大枠のなかにある1つの選択肢と考えましょう。
フリーランスの働き方・収入(美容師なら業務委託で働く)
より具体的にイメージするためにも美容師の例を紹介します。
フリーランスの美容師の働き方は大きく分けて2つあります。
- 業務委託
- シェアサロン・面貸し(間借り)
業務委託として働く美容師は、歩合制で美容室に勤務します。報酬は美容室によって決まっており、対応したお客様の数だけ報酬を受け取れます。美容室と結ぶ契約内容によりますが、歩合制では働く時間や日数は自由に決められることが特徴です。
シェアサロンや面貸し(間借り)は、美容室として利用できる場所だけを借りる方法です。シャンプー台などは備え付けられていますが、シャンプーやパーマ剤などはすべて自分で用意しなければいけません。
施術の料金は自分で設定できるため、業務委託よりも多くの収入を得られるチャンスがあります。しかし、顧客を獲得するための営業もすべて自分で行う必要があり、多くの手間や費用がかかります。
自営業の働き方・収入(美容師ならオーナーとして働く)
一方、自営業の美容師はいわゆる「美容室のオーナー」です。自分の店舗を持つため働く場所が限定されています。この場合、一人で美容室を経営していても、法人を設立してほかの美容師を雇っていても「自営業」であることに変わりはありません。
美容師以外にも、カメラマンやデザイナー、ライター、マッサージ師など、さまざまな職種で自営業もしくはフリーランスとして仕事ができます。自営業であれば、いずれの職種であっても収入を得るには自ら売上を上げなければなりません。
フリーランスと自由業の定義上の違い
自由業に明確な定義はありませんが、時間や雇用関係に縛られず、独立した働き方ができる高度なスキルを持つ人の総称とされています。
具体的には以下のような職業です。
- 医師
- 弁護士
- 会計士
- コンサルタント
- 芸術家
しかし、医師や弁護士でも勤務医や弁護士事務所勤めの弁護士であれば、勤め先と雇用形態を結んだうえで、時間的制約や事業組織的従属性が発生します。就業規則などのルールに従って仕事をするため、必ずしも自由業とは呼べないでしょう。
その点を踏まえると、フリーランスのなかにも自由業と呼べる働き方をしている人も存在します。
関連記事:自由業と自営業の違いとは?おもな職種一覧とメリット・デメリット
フリーランスと個人事業主の定義上の違い
個人事業主とは、税務署に開業届を提出した人を指す税制上の名称です。
つまりフリーランスとして働いている人のなかでも、開業届を提出していない人は個人事業主ではありません。また、個人事業主と呼ぶ場合、法人を設立している人は該当しません。
開業届の提出後、もしくは同時に「所得税の青色申告承認申請書」を提出すると、青色申告が可能になるため税制上のメリットを得られます。
しかし、職種と所得によっては個人事業税が課されるので、事前に把握しておきましょう。
関連記事:開業届を提出するデメリット・メリットを徹底解説!未提出の罰則はあるの?
フリーランス・自営業に共通するメリット3つ

フリーランス・自営業に共通するメリットを3つ紹介します。
フリーランスは自営業の大枠のなかにある働き方の1つであり、両者には共通する部分が多く存在します。フリーランスとして働くか、店舗を構えるような自営業者になるかは柔軟に決められるので、まずは両者のメリットを把握しましょう。
働く場所を自分で決められる
自分で事業を営むフリーランス・自営業は働く場所の制限がありません。
自分の価値観や趣味にあわせて仕事ができるため、自由度の高い生活を送れます。たとえば、サーフィンが好きなので海の近くに住む、アウトドアが好きなので田舎に住むなどです。
場合によっては旅をしながら稼ぐこともできるでしょう。観光地やリゾート地、温泉街など好きな場所を転々とするようなワークスタイルも可能です。ただし、店舗を構えるような形態の自営業だと必ずしもその限りではありません。
コロナ禍以降テレワークが普及し、会社員であっても働く場所の制限は少なくなってきましたが、まだまだ働く場所を自由に決められる会社は少ないのが現状です。
自分で働く場所を決めたい人は、フリーランス・自営業を目指してみるのもおすすめです。
働いた分だけお金を稼げる
フリーランス・自営業は完全な成果主義であるため、成果を上げ続ければ収入は青天井に伸びていきます。
一方、会社員は基本給や昇給制度など賃金体系で決められており、支給される額(会社の人件費)には上限があります。残業代なども得られますが、労働基準法によって制限がかけられており、好きなだけ働けるわけではありません。
フリーランス・自営業は働く時間が自由なので、極端にいうと24時間丸々働けます。さらに、自分で商品を販売する際は自由に値付けできるので、多くの利益を狙えます。
店舗を構える形態の自営業の場合、営業時間は限られてしまいます。しかし開発した商品などをインターネットで販売すれば、営業時間外に稼ぐことも可能です。
関連記事:フリーランスになるには?具体的なり方の基礎知識と必要なスキル
得意な業務に集中できる
フリーランス・自営業は、業務の一部を外注やアルバイトに依頼できます。自分ではなくても遂行できる業務は、ほかの人に依頼したほうが、事業が効率的に進みやすくなります。近年では事務作業が苦手なフリーランス・自営業者のためのオンライン秘書やオンライン経理などのニーズも増加しています。
会社員は苦手な業務でも上司から依頼された際にはやらなければいけません。また、本来事務作業が得意にもかかわらず、営業の部署に配属された場合、営業スキルを磨いたり、営業成績を上げたりするために努力する必要があります。
このように、会社員は自分で決められないことが多くあり、結果として心身の不調につながることも少なくありません。
一方で、フリーランス・自営業として自分の得意な業務に集中できると、仕事の質が向上します。その結果、収入の増加も期待できるでしょう。
関連記事:【楽しすぎる?それとも大変?】フリーランスの意外と知らない裏側に迫る
フリーランス・自営業に共通するデメリット3つ

フリーランス・自営業に共通するデメリットを3つ紹介します。
フリーランス・自営業には会社員からすると憧れるようなメリットがある一方で、デメリットもあります。フリーランスのメリットだけに憧れてデメリットから目を背けていると、独立後に理想と現実の乖離に苦しむ恐れもあるでしょう。フリーランス・自営業を目指す場合は、デメリットを理解して、自分なりの対策を考える必要があります。
安定した収入を得られない
フリーランス・自営業は収入の上限が設けられていない反面、稼ぎ続けなければいけません。一時的に大きく儲けられたとしても、安定した収入を得続けるのは難しいことだと認識しましょう。
たとえば、体調不良になった場合、会社員であれば有給休暇を利用できますが、フリーランス・自営業にそのような制度はありません。働けない期間が長引くと収入が0円になってしまいます。
また、企業から仕事を請け負っているフリーランスは、納期に遅れると信用を失いその後の仕事を受注できなくなる可能性があります。店舗を構えるような自営業者も競合店舗ができたり、不況の影響を受けたりと、急に稼げなくなることも起こり得るでしょう。
そのほかにも自然災害で被災したときの対策など、考えなければならないことは山程あります。会社のように守ってくれる存在はないため、自分で自分の身を守らなければいけません。
関連記事:仕事がないフリーランスに共通する6つの特徴|案件の依頼が殺到する仕事術
会社員と比べて福利厚生が充実していない
フリーランス・自営業には、会社員のような福利厚生がありません。
たとえば家賃手当や通勤手当、育児手当などです。
そのため、会社員よりも多く稼がないと、企業に勤めていたときよりも手残り金額が減ってしまう恐れがあります。
福利厚生を受けるならエージェントサービスを利用する
とはいえ、フリーランスの場合はエージェントサービスなどを利用すると、福利厚生を受けられるケースもあります。エージェントサービスとは、フリーランスへの案件紹介や企業との交渉・契約手続きのサポートをしてくれるサービスです。
エージェントサービスのなかには、サービスの一貫として会計ソフトの提供や、弁護士相談などの福利厚生を用意しています。しかし、会社員と比べると内容の充実度が低い点に注意しましょう。
なお自営業の場合は、従業員を雇用すれば福利厚生を導入できます。
もらえる年金の額が少ない
フリーランスは会社員と加入している年金が違うため、もらえる年金の額が少なくなります。フリーランスと会社員が加入している年金は以下のとおりです。
- フリーランス:国民年金
- 会社員:国民年金+厚生年金
国民年金は20〜60歳の間に全額納付した場合、令和4年現在だと月額約64,000円を受給できます。一方、20〜60歳までの平均年収が500万円の会社員は、国民年金にプラスして月額約134,000円の厚生年金を受給できます。
つまり、それぞれの年金額は以下のとおりです。
- フリーランス:月額64,000円
- 会社員(平均年収500万円):月額198,000円
このようにフリーランスは将来受け取れる年金が少ないため、貯蓄や投資など、自分で備える必要があります。具体的には国民年金基金や付加年金、iDeCoなどを検討してみましょう。
フリーランス・自営業で成功する秘訣5選

フリーランス・自営業で成功する秘訣5選を紹介します。
ここまでの内容でフリーランスや自営業を目指したいと感じた人も多いでしょう。しかし「自分のビジネスは成功するのか」「本当に独立していいのか」と、不安を感じている人も多いはずです。
本章で解説する5つの秘訣を実践すれば、フリーランス・自営業に必要な能力が身につくことにくわえ、独立のリスクを軽減できます。フリーランス・自営業を目指す人は5つの秘訣をぜひ実践してみてください。
ビジネスの人脈を増やす
フリーランス・自営業として成功するには、情報が大切です。たとえば、流行りのSNSや発信方法の情報があれば、集客に活かせます。また、競合店舗のオープンや競合サービスのリリース情報が事前に分かれば、差別化ポイントを見つけるなどの対策も考えられるでしょう。
一人でも仕事ができるフリーランス・自営業は人との交流が少なくなりがちなので、新鮮な情報が入ってきにくくなります。情報をビジネスに活かすためにも、意識的に人と会う機会を設けましょう。
たとえば、ビジネス交流会への参加やビジネス系のマッチングアプリの利用です。
また、同業で横のつながりがうまれると、相談相手ができるため、一人で抱えていた悩みごとを解消する糸口が見つかるかもしれません。円滑に事業を進めるためにも、人脈はフリーランス・自営業の強い味方となります。
コミュニケーション能力を身につける
フリーランス・自営業として稼ぐには、自分で仕事を獲得しなければいけません。
企業への営業や来店顧客への対応など、さまざまな場面でコミュニケーション能力が求められます。レベルの高いサービスや商品を提供していても、他者とスムーズに意思疎通を図れる力がなければ、新規の仕事やリピーターが獲得できず経営が傾いてしまうでしょう。
しかし、コミュニケーション能力は一朝一夕で身につくスキルではありません。物事を魅力的にわかりやすく伝える力や、相手の本音を聴く技術などの書籍や動画を見て学習し、身近な人に対して身につけたスキルを実践してみましょう。
できる限り初期コストを抑える
なかには店舗や設備にこだわり、多くの初期費用をかける人がいます。もちろん、店舗や設備が整っていたり、充実したりしていると、新規顧客やリピーターの獲得につながるため、投資の観点では間違いではありません。
しかし、これから事業が軌道に乗るか不透明な状況では、抑えられるコストはできる限り抑えるほうが賢明です。開業したばかりの時点では、必要最低限の備品・設備でスタートすることをおすすめします。こだわりたい部分は事業によって得た利益を充てましょう。
自己管理できるようになる
フリーランス・自営業は良くも悪くも自由な働き方です。極端な例ですが、月の前半だけ働いて、後半は休むこともできます。
しかし、自由だからといって不規則な生活を続けると、体調を崩してしまう可能性もあります。このような自由な働き方と向きあうためにも、自己管理を徹底しましょう。
自由に働ける環境にいながらも、会社員のように働く時間を決めたり、食事の時間を決めたりと、自分のなかでの習慣を確立することが大切です。
自己管理できるようになると、生産性の向上も期待できます。
ニッチな領域に特化する
競合となるフリーランス・自営業がたくさんいるなかで成功するには、ニッチな領域に絞る必要があります。
たとえば以下のような考え方です。
- 飲食店を開業する:生姜焼き専門店にする
- パーソナルトレーナーになる:産後の体を絞ることに特化したトレーナーになる
このようにニッチな領域に特化すると、競合と被りにくくなります。しかし、あまりにもニッチな領域はそもそもの需要がない可能性もあるため、どのようなニーズが市場にあるかを考えてみる必要があります。
関連記事:未経験・スキルなしからフリーランスになる方法とおすすめの仕事8選
フリーランスと自営業として活躍するためコツ

フリーランスと自営業への理解をさらに深めるために、それぞれの活躍のポイントを紹介します。
フリーランス(Web系職種の場合)
フリーランスの働き方の代表例は、Web系の職種です。
具体的には、WebエンジニアやWebデザイナーなどです。このようなフリーランスはクライアントから仕事を請け負い、納期までに成果物を納品して報酬を受け取ります。
特定の会社に出向く必要がないことに加え、納期にさえ間にあえば働き方に制限がないので、自由な働き方を実現できます。
しかし、実績がない状態で条件の良い仕事を受注するのは困難です。そのため、最初のころは仕事を受注できなかったり、報酬が低かったりと苦労もあるでしょう。
絶えず自分のスキルを磨き続けなければいけません。
関連記事:なぜフリーランスは増えすぎたのか?5つの理由と競争を生き抜く秘訣
自営業(飲食店の場合)
自営業は飲食店をイメージするとわかりやすいでしょう。
店舗を構えてスタッフを雇用する人もいれば、一人で店を切り盛りする人もいます。飲食店の場合は店舗を借りる必要がありますが、店舗をどこに構えるかなどはすべて自分で決められます。
リゾートが好きなのであれば、リゾート地に出店するのもいいでしょう。
しかし、新型コロナによる影響からもわかるとおり、外的要因で閉店に追い込まれるなど、厳しい面があるのも事実です。柔軟な営業ができるように雇用するスタッフは最小限にする、最低でも半年分の生活費は蓄えた上で独立するなど、独立のリスクを予測して備えましょう。
まとめ
今回はフリーランスと自営業の違いや成功する秘訣、働き方の事例を解説しました。
フリーランスも自営業も「自分で事業を営む人」を、指すことに違いはありません。ただし、フリーランスは企業と雇用契約を結ばずに個人で仕事をする「働き方」であるため、自営業の大枠のなかにある1つの選択肢と考えましょう。
フリーランス・自営業には共通するメリット・デメリットがあります。会社員からすると、魅力的な部分と、不安な部分が混在しているでしょう。フリーランス・自営業は夢がある一方で、リスクもあります。
これらの内容を踏まえてフリーランス・自営業を目指す人は、今回紹介した成功する秘訣5選を実践してみてください。成功するために必要な能力が身につくでしょう。
関連記事:一人で開業できる仕事14選!成功のコツや始め方、魅力・デメリットを解説
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