焼き芋屋を開業するには?出店に必要な準備と儲かるノウハウ
更新日:2023.4.23
投稿日:2022.11.10

目次
焼き芋屋での開業を検討している方の中には
「飲食店なら、焼き芋屋での開業が簡単と聞くけど、実際はどうやればいいのか」
「焼き芋ブームに便乗して、年収を上げられないか」
「儲かる焼き芋屋は、一体何が違うのか。失敗しないコツはあるのか」
と疑問を抱く方もいるでしょう。
今回は、焼き芋屋の開業方法やメリットとデメリット、必要な資金など、開業に必要な情報を解説します。
焼き芋屋の開業で成功するポイントもお伝えするので、開業や独立を考えている方は必見です。
焼き芋屋を開業するメリット

焼き芋屋は、開業時の設備投資が少なく、試験が必要な資格も不要なため、比較的簡単に開業できる業種です。
この章では、飲食店の中でも、特に焼き芋屋を開業するメリットを解説します。
調理が簡単で始めやすい
焼き芋は調理が簡単で特殊な技能が必要ないので、誰でもはじめやすいのがメリットです。
最低限の調理工程としては、芋を洗って業務用の焼き芋機(焼き芋を焼くための設備)に入れるだけで、調理できてしまいます。
材料となる芋は、土が付いたまま12度~17度ほどの温度で保管すれば1週間以上日持ちするので、材料が無駄にならないのもおすすめの理由です。
開業資金が少なくて済む

焼き芋屋は、他の飲食店と比べて開業資金が圧倒的に少なくて済むのが特徴です。
開業形態は、実店舗と移動販売(キッチンカー)があります。
店舗を構える場合でも、テイクアウトのみであれば10坪以下でも十分なので賃料が安くて済むでしょう。
移動販売する場合には、専用のリアカーや軽トラックが必要となります。リアカーなら30万円、軽トラックなら100万円が必要な車両購入費の相場です。
関連記事:キッチンカーの開業!儲かるメニュー・出店場所は?移動販売で儲けるコツ
面倒な資格の取得が不要

焼き芋屋の開業には、資格取得が不要です。特定の試験を受験する手間もかかりません。しかし、簡易な講習の受講や届出は必要です。
開業に要する届出と資格は次の2つです。
- 食品衛生責任者
- 営業届出
それぞれ紹介します。
飲食業では、食品に関する講習を受けた食品衛生責任者がいなければいけません。この資格は、自治体ごとに開催している講習会を受講すれば誰でも取得できます。
講習会には次の2つがあり、いずれも約6時間で受講料12,000円がかかります。
- 会場集合型養成講習会
- eラーニング型養成講習会
参考:食品衛生責任者について│一般社団法人東京都食品衛生協会
また、従来焼き芋屋は保健所の営業許可が不要でしたが、2021年6月からは「営業届出」が必要になりました。
届出は、厚生労働省のサイトから簡単に行えます。
また、消防法による火気規制は建物のみが対象なので、車両には適用されません。
最後に、移動しながらの販売であれば道路交通法は適用されませんが、道路に停止して販売する場合は、道路使用許可を管轄の警察署に届けましょう。
疑問がある場合には、事前に余裕を持ってそれぞれの機関に問い合わせましょう。
焼き芋屋を開業するデメリット

開業のハードルが低い焼き芋屋ですが、デメリットも確認しておく必要があります。
誰でも簡単に参入できる業態なので、他の人との差別化や出店場所の確保が大切です。
ここでは、それぞれの事前にできる対策も解説します。
差別化が難しい
焼き芋屋は、競争が激しく差別化が難しいのがデメリットです。
焼き芋屋が近くにあると、独自性を発揮して差別化するのが難しいでしょう。なぜなら、焼き芋は商品や値段帯など、他店と特徴が似た傾向になる商品だからです。対策を講じなければ、売上を見込めません。
また、焼き芋屋だけが焼き芋屋の競合ではありません。最近は、焼き芋アイスや焼き芋ラテ、焼き芋パフェなど焼き芋を使用した進化系スイーツが登場し、トレンドになっています。
歩いて行ける距離に複数のコンビニがあったり、人気のカフェがあったりすると、焼き芋をはじめスイーツを求める需要が分散されます。
出店場所の確保に苦労する場合も
駅周辺や公園・イベント会場は、焼き芋屋に限らずキッチンカーが並ぶ人気スポットです。
出店したいと思っても、他の出店者に押さえられてしまったり、土地の所有者との交渉が難航したりして販売できない場合があります。
許可を受けるタイミングを逃すと、出店場所の確保に苦労する場合もあるので注意しましょう。
事前に対策を立てておこう
デメリットがわかれば、事前に対策を立てておくことができます。
他の販売者との差別化には、独自メニューなどで差別化を図ると良いでしょう。
例えば、品種や産地・生産者などブランド力のある芋を商品にすると、プレミアム感を演出できます。また、品種ごとの食べ比べや、焼きとうもろこしなどとのセット販売、アイスクリームをトッピングするなどオリジナル感を出すのもよいでしょう。より具体的な施策は後述します。
出店場所の確保は、普段から「良い出店場所はないか」に注意して、人が集まりそうなイベントなどの情報も積極的に集めるよう工夫が求められます。
出店場所は事業の明暗に大きく関わるので、日ごろから自分で探したり、情報を仕入れたりするようにしましょう。
焼き芋屋の開業に必要な資金の目安

次に、焼き芋屋の開業資金の目安を解説します。
移動販売の場合は、販売車両の取得や設備にかかる費用、材料となるサツマイモの仕入れ費など、詳しく解説します。
キッチンカーの取得にかかる費用
移動販売で販売するには、キッチンカーや軽トラックなどの車両が必要です。
基本的に、焼き芋屋は芋を焼いて販売するだけなので、本格的なキッチンカーではなく、リアカーや軽トラックで十分運営ができます。
各車両の購入費用は、リアカーは10万〜30万円程度、軽トラックは50万〜100万円が目安です。
新車のキッチンカーは200万円以上かかります。用意できる資金を考えて、予算に合ったものを購入しましょう。また、当面キッチンカーのコストを下げるには、レンタルするのもおすすめです。
設備にかかる費用
焼き芋屋に必要となる設備は、焼き芋機とレジ・のぼり・看板などです。
焼き芋機は、新品なら20万〜30万円でネット販売でも購入できます。レンタルも利用できますが、長く使うものなので資金に余裕があれば購入したほうがよいでしょう。
売上げを管理するレジも必要です。本格的なものは必要なく、月額1万円以下で利用できるタブレットでも十分でしょう。
電子マネーやバーコード決済にも対応していると、若い層に喜ばれるだけでなく、現金の管理も楽になります。
仕入れ費
焼き芋屋の開業には、何よりもさつまいもの仕入れ先の確保が必要です。
さつまいもを安く仕入れて原材料を押さえられれば、高い利益が残ります。飲食業では原価率は30%程度のところが多いので、価格設定の参考にしてください。
販売価格は、1本300円~500円が一般的です。この場合90円~150円が、製造にかけられる原価になります。さつまいもの原材料は、70円前後が目安でしょうか。
また、仕入れ先によっては、最低限の購入数が決まっていたり、季節により必要数が確保できなかったりする場合もあります。
目安としては、さつまいも1kg(Sサイズで 5本~10本、Mサイズで3~5本、Lサイズで2~3本)あたり300円~が卸売市場の流通価格です。ブランドものになれば1,000円を超えることもあります。複数の仕入れ先も視野に交渉できると、安定して安く仕入れを行えます。
焼き芋屋で開業するには

焼き芋屋を開業するには、個人で開業する形態とフランチャイズに加盟する形態があります。
それぞれの特徴について解説しましょう。
個人で開業する
街中では、個人が運営する焼き芋の実店舗や移動販売をよく目にします。最近では、都心部で焼き芋の専門店も多数オープンしています。
個人で開業すれば、自分の意思で特色あるメニューを決定できるといった特徴があります。
一方で、開業資金や設備購入・仕入れ・広告などは自分でしなければなりません。
初めて開業するのは大変ですが、フランチャイズのように本部の営業方針に従う必要が無いので、自由に経営したい人に向いています。
フランチャイズに加盟する
フランチャイズに加盟して開業すると、個人で開業するよりも準備が簡単です。
移動販売であれば、軽トラックをフランチャイズ本部から借りて、毎月ロイヤリティを支払えば営業できます。
サツマイモの仕入れも本部が手配してくれるので、販売に専念できるのがメリットです。
フランチャイズで支払う費用には、初期費用とランニング費用の2種類があります。フランチャイズ本部への加盟店料(初期費用)は、企業によって大きく差があります。
また、ランニング費用として支払う本部へのロイヤリティもまちまちで、毎月定額で決まっていたり、売上に応じてロイヤリティが決まっていたりします。
フランチャイズ先を選ぶ際には、複数の中から自分に合った条件のところを選定するとよいでしょう。
関連記事:フランチャイズ(FC)のメリット10選・デメリット4選│業界のプロが解説
焼き芋屋を開業した際の平均売上・年収

焼き芋屋を開業するにあたり、売上や年収も気になるでしょう。ここでは、焼き芋屋の売上や年収の目安を解説します。
焼き芋屋の売上目安

焼き芋屋の売上は、まずは1日1万円が目指すべきラインです。一般的に月20万~30万円が、焼き芋屋の売上の目安です。専業で販売に注力をして、月100万円を売り上げる焼き芋屋もあります。好調な日は、1日5万~10万円の売上を見込めます。
店舗や移動での販売形態、季節、イベントなどの繁忙期で売上に幅はありますが、事業計画など見込みを立てる際には参考となるでしょう。
焼き芋屋の年収

焼き芋屋オーナーの年収は、フランチャイズで200万~300万円、個人の開業で300万~400万円が目安です。ただし副業で焼き芋屋を運営している人も多いので、専業にすれば400万~500万円ほどを目指せるでしょう。
開業して売上げが好調であれば、多店舗展開をおすすめします。数店舗のオーナーとして事業を展開することで、さらに年収アップできる可能性があります。
関連記事:多店舗展開でビジネスを加速させる方法!成功事例も紹介
「焼き芋ブーム」で更に売上が上がる可能性も!
焼き芋は、昭和の時代から根強い人気があり、特に秋冬は季節の風物詩です。
安定した人気がある商品でありながらも、2003年から現在にかけては、より日本人の好みに合った品種が生まれたり、健康志向の高まっていたりという背景から「第4次ブーム」と言われています。
今では、コンビニやカフェ・スーパーなどでも目にする機会が多く、ビタミンと繊維質が豊富な焼き芋は健康志向の人にも好まれています。
休日に楽しむスイーツとしても評価されているので、消費者のニーズに合った焼き芋を提供できれば、更に売り上げアップを狙えるでしょう。
焼き芋屋の開業で成功するポイント

最後に、焼き芋屋の開業で成功するポイントを解説します。
焼き芋屋の運営で、特に重要なのが「差別化」です。「焼き芋」はどこも商品が似通ってしまうため、他店との違いを打ち出すのは難しいと考えられるかもしれません。しかし、他店と同じような運営をしていては、失敗を招くことになるでしょう。
ちょっとした工夫で強みのある焼き芋屋づくりは実現できる。差別化をして成功するためのポイントを3つご紹介します。
人通りがあるところに出店する
キッチンカーで焼き芋の移動販売をするには、一つのエリアに留まらず複数の場所を移動しましょう。
「移動販売が可能」という特徴を最大限に活かして、なるべく人通りの多いところに出店し続けられると売上が上がりやすくなります。
どの場所にどの時間帯に出店したらよいかをメモしておいたり、出店した際にデータを取っておいたりすると、売れ行きのいい出店場所を把握しやすくなります。
ただし、土地所有者か管理者に許可が必要な場合があるので、出店条件はよく確認することが必要です。
店舗で販売する場合でも、人通りが十分あるか近くに公共施設やショッピングセンターなどの集客施設があるかなどの立地条件に注意しましょう。
移動販売でも店舗販売でも、集客しやすい場所を確保することが成功の鍵となります。
SNSなどを活用して宣伝する
焼き芋屋の開業に、TwitterやInstagram、Facebook・LINEなどのSNSによる発信はとても効果があります。
定期的に情報を発信することでファンになってもらったり、いつどこで販売しているかの情報をお知らせしたりすることが可能です。
多数の登録者がいれば、有力な広告手段になってくれます。
例えば、「いも子のやきいも阿佐美や」さんはインスタグラムでファンを増やしながら、出店情報やキャンペーン情報を発信しており、その人気はテレビにも取り上げられるほどです。
<SNSを活用した集客に役立つ記事>
仕入れにこだわる
焼き芋屋を差別化するには、仕入れにこだわることも大切です。
最初から高い原材料を仕入れをすると、原価率が上昇するのでおすすめしませんが、戦略的に仕入れにこだわる手法は、焼き芋屋をはじめ飲食店でよく用いられています。
「最高級の○○をふんだんに使用した△△」などといったフレーズに惹かれて、つい買ってしまったという経験は皆さんもあるのではないでしょうか。
焼き芋の場合だと、ホクホクした食感の「紅はるか」や、ねっとりとした食感と濃厚な甘みが堪能できる「安納芋」、絹のような上品な舌触りの「シルクスイート」などが、挙げられます。品種や産地がはっきりしているブランド芋を仕入れできれば、差別化の好材料になります。
さらに、さつまいもの種類ごとに、美味しさを引き立たせる焼き方ができれば、よりアピールポイントになるでしょう。
まとめ
焼き芋屋は次の理由から、他の飲食業と比べ開業するのが比較的簡単です。
- 調理が簡単で始めやすい
- 開業資金が少なくて済む
- 面倒な資格の取得が不要
しかし、開業が簡単だからこそ、出店場所やSNS・仕入れを重視して他店と差別化を図る必要があります。
焼き芋は、安定した需要が、今後も見込める商品です。近年第4次ブームといわれており、消費者のニーズに合った商品やサービスを提供すれば、売上を伸ばすことも可能です。SNSを駆使したり、仕入れや出店場所を工夫したりすれば、よくある焼き芋屋でも、ほかにはない独自性のある店舗づくりが実現します。また、芋掘り体験教室を開催して、独自路線をとるお店もあるようです。
今回は移動販売や店舗販売、個人やフランチャイズでの開業の違いにも触れました。それぞれの特徴を理解して、自分に合った販売形態を選びましょう。
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著者情報

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