フランチャイジーとは?フランチャイザーとの違い、魅力やデメリットも解説
更新日:2023.10.2
投稿日:2022.8.17
フランチャイジーとは、フランチャイズ加盟店のことです。フランチャイズ事業に参加する魅力は、ビジネスを円滑に始められ、既存のノウハウを活かして事業を軌道に乗せやすいことです。「独立・開業に興味があるけど、経営の経験がないから不安」「副業として収入の柱を堅実に増やしたい」ならフランチャイジーになることをおすすめします。
また、理想のワークスタイルを実現したい方にフランチャイジーは向いています。あるフランチャイジーをされている方は、フランチャイズ事業の経営だけでなく、音楽業や福祉業もされているそうです。やり方によっては自由度の高い働き方を実現できます。
一方で「経営面で自分のアイデアを最大限に活かしたい」「ルールやマニュアルを守って事業を運営するのは苦手」ならフランチャイジーには向いていません。
フランチャイジーとして起業をして、事業を成功させるには、フランチャイズ事業に加盟する意味やメリット・デメリットを理解しておかなければなりません。そこで今回は「フランチャイジー」をテーマに、フランチャイズオーナー未経験者に向けて記事をお届けします。
フランチャイズに加盟することは、ロイヤリティが発生するから負担が大きいと考えられがちですが、一概にそうは言えません。事業によっては、経営面でのサポートなどロイヤリティ以上の見返りを受けられることもあります。フランチャイジーになることが、新たなビジネスの選択肢として適切かどうか判断するためにも、必要な情報をまとめていますので、ぜひご活用ください。
目次
フランチャイジーとは
「フランチャイジー」とは、フランチャイズ本部から、お店の看板やブランド、確立されたサービスや商品を扱う権利を与えられた個人、または法人のことです。
フランチャイズ加盟店とも呼ばれ、略語ではジー、またはFC加盟店といいます。
フランチャイジーは社員ではなくフランチャイズオーナーとして独立しており、本部とも対等な関係にあります。
フランチャイジーとフランチャイザーの違い
フランチャイジーに対して、フランチャイザーと呼ばれるのはフランチャイズの本部のことです。
フランチャイザーはお店のブランドや商品、ノウハウなどを提供する代わりに、フランチャイジーからロイヤリティや加盟金などの利益を得ます。
フランチャイズ本部の立ち上げ方は「フランチャイズ事業本部の役割と本部構築に必要なこと」をご覧ください。
フランチャイジーと代理店の違い
フランチャイズと似ている形態に、代理店があります。
代理店とは、メーカーや商社などの販売元と契約を結び、販売元が提供する製品やサービスを代理販売する外部のパートナーのことです。主な業種は、広告代理店や保険代理店などがあげられます。
フランチャイジーと代理店は、以下の点が異なります。
- 加盟金・ロイヤリティの有無
- 営業可能な地域の制約の有無
- マニュアル・サポートがあるか
- 販売・営業ノウハウの提供が受けられるか
代理店契約では、サービスを提供する事業者や商品の製造元と販売委託契約を締結します。商品やサービスが売れたときに販売手数料が支払われる仕組みです。
フランチャイジーとは異なり、加盟金やロイヤリティは支払いません。営業可能な地域の制約(テリトリー権)がなく、販売方法の自由度が高いのも代理店の特徴です。
フランチャイジーのようにマニュアルやサポート、ノウハウの提供は、ほとんどありません。自力で販路を確立する必要があります。
「はじめて事業を立ち上げる」「販売ノウハウがない」ときは、本部からサポートが受けられるフランチャイジーがおすすめです。
関連記事:フランチャイズは儲かる?儲かる業種・仕組み、成功のヒントが満載!
メガフランチャイジー(上場企業)
メガフランチャイジーとは、フランチャイジーの中でも契約店舗数が多く売上が高いフランチャイジーを指します。複数のフランチャイズに加盟しているケースもあります。
メガフランチャイジーの事業規模に法的な定めはありません。
一般的には、以下の項目がメガフランチャイジーの基準です。
- 30店舗以上のフランチャイズ加盟店を抱える
- 加盟店全体の売上高が20億円を超える
どちらか一方、あるいは両方の基準を満たしていればメガフランチャイジーです。株式公開している企業や上場企業も含まれます。
フランチャイジーのメリット
フランチャイジーになる最大のメリットは、店舗運営のサポートを受けられるから未経験でも始めやすいことです。さらに多店舗展開もしやすいのが特徴です。
- 未経験でも始めやすい
- サポートを受けながら経営できる
- 事業(店舗)を広げやすい
フランチャイズ本部は、すでに成功している店舗運営ノウハウを有しています。これまでの失敗経験も、改善点を蓄積しています。
有益な経営のコツを、フランチャイザーから共有してもらえるため、はじめてフランチャイジーになる場合でも、始めやすいことが魅力です。
フランチャイズ業界が未経験でも実績豊富なフランチャイズ本部の名を借りて、知名度のある看板(ブランド)や商品・サービスを扱える、失敗しにくいことがあげられます。
さらにフランチャイジーは、運営しながら本部から経営のアドバイスを受けられることもあり、安心して運営できます。
オーナー自身にも本部のノウハウが蓄積されます。1店舗目で運営に成功したオーナーは、そこで培った経験を活かして、2店舗目、3店舗目と事業を広げやすいこともメリットです。
フランチャイジーのデメリット
フランチャイジーのデメリットは、制約があるため自由に経営したい人には向かないことです。
- 自由に運営できない
- ロイヤリティがかかる
- 途中解約や解約後の独立に制約があることもある
フランチャイズ事業は運営マニュアルがあり、事業を始めやすいということは、反対に自由に経営できない、とも言えます。
マニュアルを遵守して事業を運営することは、ブランドイメージを守るために欠かせません。さらに自由度が低い分、堅実な経営を行うため失敗もしにくいことを意味します。
そして、売り上げから人件費、光熱費などに加えロイヤリティを引かれてしまうため、利益が少ないと感じられることがあるかもしれません。
ロイヤリティは低い業種で数%台ですが、高くなると30%を超えることがあります。
とくにロイヤリティに見合ったサポートを受けられないと、その不釣り合いな利害関係を不満に感じるフランチャイジーも少なくないようです。
また、ほとんどのフランチャイズでは、契約期間や、競合避止義務があります。一般的に契約期間は5年のところが多いのですが、短くて半年、長いと10年以上のところもあるので注意が必要です。
契約期間内に解約となると違約金が発生することがあり、契約終了後にもノウハウの流出を防ぐため、独立にも制限があるかもしれないということは念頭に置いておきましょう。
関連記事:フランチャイズでよくあるトラブル事例|問題点を回避する方法
フランチャイジーはどれくらい儲かる?
フランチャイジーのオーナーは、年収300万円~1,500万円が目安です。経営する店舗の数や業種で収入に差があります。
単独店舗のオーナーよりも、数十店舗経営するメガフランチャイジーのオーナーのほうが収入は高くなりやすいでしょう。業種選びも収入を左右するポイントです。
収益が高い業種であっても、必要経費の負担が大きければ、手元に残るお金は下がります。
必要経費は、仕入れや人件費、店舗・事務所賃料、フランチャイズ本部に支払うロイヤリティなどです。
フランチャイズが儲かる仕組みや、収入の目安は「フランチャイズは儲かる?儲かる業種・仕組み、成功のヒントが満載!」で詳しく解説しています。
フランチャイジーの人気業種
フランチャイジーの人気業種を3つ厳選しました。
- 飲食業
- サービス業
- 小売業
飲食業には、飲食店の経営だけでなくデリバリー特化型(ゴーストレストラン)や、キッチンカーも含まれます。
サービス業は介護関連、ジム・フィットネス、エステサロン、家事代行などです。学習塾も人気があります。
小売業で代表的な職種はコンビニエンスストア、リサイクルショップ、ECショップです。無人販売や食品自販機も注目されています。
ビジネスの再現性があり、将来性を見込めることが人気の理由です。業界全体の需要が伸びている業種は、フランチャイジーからの注目度が高い傾向にあります。
今後伸びると予想されるフランチャイズの業種は「これから伸びるフランチャイズ7業種!将来性があるおすすめの分野は?」を参考にしてください。
フランチャイジーの業界ごとの働き方
フランチャイザーの働き方は、業界によって大きく変わります。
フランチャイジーが参加できるフランチャイズの業界にはさまざま様々な形態があります。
代表事例を紹介すると以下の3つです。
- 小売業(コンビニ、スーパー、リサイクルショップなど)
- サービス業(クリーニング、マッサージなど)
- 飲食業(レストラン、牛丼、焼き肉など)
フランチャイズという意味では同じ部類ですが、業界によってそれぞれ開業資金や運営方法がまったく違うということを理解しておきましょう。ほかにもハウスクリーニングや便利屋など無店舗型のフランチャイズもあり多種多様です。
ここでは小売業・サービス業・飲食業を例に、働き方の特徴を見比べます。
小売業
小売業といっても、扱う商品の幅は広いため、地域のニーズや特色にあわせて選びましょう。
例えば首都圏では、ハイコスト・ハイプライスのお店が多く、人々が日々の買い物に困るだろうという視点から、ある地域密着型の小型食品スーパーが店舗を拡大しています。
このように地域によってどんなニーズがあるかを調べることは大切です。ニーズが分かれば、すでに売れている商品を効率よく仕入れられるのがフランチャイズに加盟するメリットです。
小売業は多店舗展開がしやすいので、効率よく年収を上げたい方に向いています。
関連記事:多店舗展開のメリット・デメリットと注意点|成功に導く運営のコツ
サービス業
サービス業は、接客業の経験がある方や、人と接するのが好きな方に向いている業種です。飲食店や小売業のように商品や食材を仕入れる必要がないので在庫リスクが少ないこともメリットの一つです。
設備費用もほかの業種に比べて低い場合が多く、低資金での開業を強く希望する人に向いている業種です。また、無店舗経営ができるものも有り、自由な時間で働くことができます。
飲食業
フランチャイズの飲食店は、個人経営のお店とは違い、「すでに人気の高い味」を提供できます。
多くのファンから信頼を得ている看板を掲げていますので、オープンすぐに集客を期待できるでしょう。立地も重要なポイントです。立地が良く、人が入りやすい場所選びが重要になってきます。
出店場所の調査はフランチャイズ本部にサポートしてもらえることが珍しくありません。
ライバル店の出店状況や集客の需要予測や売上のシミュレーションなどの情報を提供してもらうことで、円滑に出店を進められます。
最近ではデリバリーやテイクアウトに特化した飲食事業も人気です。「自分のお店を持ちたいけど、個人店はリスクが高い」と考える方に向いているのが飲食店のフランチャイジーです。
飲食店のフランチャイズに興味がある方は以下の記事を参考にしてみてください。
フランチャイジーの始め方
ここからはフランチャイジーの始め方を見ていきましょう。フランチャイズ事業の始め方を4つのステップで簡潔にまとめました。
- フランチャイズについて知る
- フランチャイズ本部の比較と検討
- 加盟するフランチャイズ本部を決める
- いよいよ開業準備
それぞれの項目を説明します。
フランチャイズについて知る
フランチャイズとはどんなビジネスなのか、何となくの理解ではなく、基本はしっかりと頭に入れておく必要があります。
改めて以下の3つを振り返っておきましょう。ご自分のワークスタイル・ライフスタイルと照らし合わせて、適当かどうか判断していきます。
①フランチャイズの仕組み
フランチャイジーはフランチャイザーにロイヤリティや加盟金を支払うことで、ブランド、商品を扱うことができ、経営ノウハウなどのサポートを受けられます。
より詳しく仕組みを理解したい人は「フランチャイズのビジネスモデル・5つのタイプと失敗しない選び方を紹介」をご覧ください。
②フランチャイジーのメリット・デメリット
<メリット>
・未経験でも始めやすい
・サポートを受けながら経営できる
・事業(店舗)を広げやすい
<デメリット>
・自由に運営できない
・ロイヤリティがかかる
・途中解約や、解約後の独立に制約があることもある
関連記事:フランチャイズのメリット・デメリット│FC業界のプロが解説
フ③ランチャイザーを選ぶ
小売業、サービス業、飲食業など、ほかにもさまざまな業種・業態があることを理解した上で、ご自身の希望や適性に合ったフランチャイザーをピックアップしましょう。
フランチャイズ本部選びには、以下の記事もぜひお役立てください。
フランチャイズ本部の比較と検討
フランチャイザーは、無料の説明会を行っています。
「フランチャイズ 説明会」で検索すると、開催予定の説明会情報が出てくるので、興味のあるものを選び、参加してみましょう。
最近ではオンラインで受けられる説明会も増えており、個別でも参加できるので質疑応答も気軽にできます。
また説明会のスケジュールが合わない場合は資料請求をして事業に関する詳細情報を取り寄せてください。
- ロイヤリティは適当か
- 加盟金はどのくらいか
- サポートはどのくらいあるのか
など気になるポイントをチェックしていきます。
フランチャイズ本部を「慎重に選びたい」「肌で確かめたい」という方は、本部の担当者に直接会ってみる、ほかの店舗にお客さんとして行ってみるなどさまざまなアプローチで検討しましょう。
条件面での比較検討には「フランチャイズ加盟の条件を徹底比較!各々の特徴と加盟の注意点」をお役立てください。
加盟するフランチャイズ本部を決める
どんなフランチャイザーがあるのか情報を収集したら、次は選定をします。フランチャイザーの選び方は目標や理想を軸にすると良いでしょう。目指すべきものは個人と法人によって異なります。
個人を例をあげると・・・
■今会社員をしていて、副業に興味がある方
目標:年収を今よりアップしたい・本業でも活かせるビジネススキルを習得したい・老後の生活資金を準備したい
■今会社員をしていて、これから独立を目指したい方
目標:好きな仕事を本業にしたい、自由な時間で働きたい
など、理想のワークスタイル・ライフスタイルに合ったところに決めてください。ただし、フランチャイジーになれば、誰でも自由な時間が手に入るわけではありません。
事業を従業員に一任しておけば勝手に収入を得られるわけではありません。効率的な経営をするための努力は求められます。
経営を軌道に乗せ、時間の余裕をうまく作ることで、ほかの事業や自己実現のための時間を作れるようになります。
法人の場合は、フランチャイズ事業に加盟することで収入の柱が増えます。
「メイン事業とはまったく違う分野に事業拡大をしたい」「経営基盤を強固なものにしたい」など、それぞれの目的を叶えられるフランチャイザーを選びましょう。
開業準備
加盟契約の締結までは、「契約書の開示→加盟契約の申し込み→本部による審査」という順に進んでいきます。加盟契約を締結したら、いよいよ開業準備スタートです。
ここからオープンに向けて実際に人材の採用、備品の準備などが始まります。ほとんどのフランチャイザーでは開業前に研修があります。
接客や運営について研修がありますので開業前に十分に備えましょう。
関連記事:フランチャイズビジネスとは?ビジネスモデルやメリット・デメリットを解説
フランチャイジーに必要な開業資金
フランチャイジーとなる上で気になる「開業資金」ですが、一般的に100万円から300万円前後の開業資金が必要と言われています。
その内訳にはさまざまな項目があります。あるコンビニエンスストアの開業資金を見てみましょう。
例)コンビニエンスストアAの場合
5年契約での開業時必要資金・・・310万円
内訳 加盟金 110万円(研修費55万円、開業準備手数料55万円)
出資金 100万円
店舗運営必要金 100万円
このほかにも、保証金、物件取得費、内装・外装工事費など、フランチャイザーによって異なりますので確認が必要です。
リターンに関しては基本的に、
- 開業資金が高い→ハイリスクハイリターン
- 開業資金が低い→ロイヤリティが高い→ローリターン
と考えられます。あとはご自身の資金と相談ということになります。
関連記事:フランチャイズの加盟金│相場や経費計上・返済義務を丸ごと解説
フランチャイズのロイヤリティとは?
フランチャイジーは、フランチャイザーの知名度、ブランド力、商品、サービスやノウハウなどを使用して利益を得ることから、その利益の何パーセントかをフランチャイザーに支払うことになります。
これをロイヤリティと言います。
ロイヤリティはフランチャイザーによって違いますので、どのくらいのサポートを受けられてどのくらいの値段なら承諾できるのかをよく検討しましょう。
<サポート内容の具体例>
- 開店準備・・・什器の調達設置、商品の供給、従業員の雇用に関するサポート
- 店舗の宣伝や販売に関するサポート
- 資金調達に関するサポート
- 運営に関するサポート・・・運営状況をみて必要なアドバイスがもらえる
- 新商品やサービスに関する情報提供
この検討をするために参考になるのが、サポート内容を外部の企業に依頼をしたときよりもコスト高となるか、否かです。
例えば、新人の人材育成を専門の企業に依頼すると、1回で5万円前後の受講料は1人につき発生します。
外部講師を招いて研修を実施する場合は、少なくとも1日10万円以上、専門性が高くなれば50万円を超えることもあります。
人材育成だけではありません。経営に関するアドバイス(コンサルティング)から宣伝・PR戦略、人材獲得まで、さまざまなサービスを利用した場合のコストが、ロイヤリティよりも上回るのであれば、ロイヤリティを支払う価値はあるでしょう。
フランチャイズをより学びたい方はこちらの記事もお役立てください! 「フランチャイズはやめたほうがいい」は本当?失敗する人の特徴 フランチャイズの失敗事例から学ぶ開業を成功させるコツ フランチャイズオーナーの年収・仕事内容・向いている人の特徴を徹底解説 |
まとめ
フランチャイジーには様々な働き方が存在します。
全てに共通するのは、すでに成功しているビジネスモデルで、フランチャイザーの経営サポートを受けながら事業をスタートできる点です。
ご自分の理想を明確にし、フランチャイジーとなって理想のワークスタイルを確立してください。
「DokTech」は、福祉サービスのフランチャイズ事業を運営する会社が運営しています。全国190拠点を展開した経験から、フランチャイズ経営のノウハウを蓄積してきました。
フランチャイズの開業・運営に役立つ情報を「DokTech」で発信しています。会員向けの限定記事もあるので、ぜひご登録ください。
著者情報
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